
「N,N-Dimethylformamide(DMF)をCDCl3に溶かした試料の1H-NMRを室温で測定すると、
8.0、3.0、2.9ppmのケミカルシフトに1:3:3のピークを与える」という文章があったのですが、
2つあるmethyl基のHが等価ではなかった、ということに疑問を感じました。
「アミド結合の構造上の特徴」が理由であるようなのですが、
共鳴構造くらいしか思いつかず、よく分かりません。
なぜ2本ではなく3本のピークが出るのか、教えていただけないでしょうか。
また、「温度を上げていくとシグナルが変化する」とあったのですが、
どのように変化するのか分かりません。
「温度可変NMR」という質問
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa1838559.htmlを見ても
よく理解できませんでした。
こちらも教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
共鳴構造のせいであってますよ。
窒素のローンペアからカルボニル基に電子が流れ込んだ極限構造の寄与が大きいため、Me2N(+)=CH-O(ー)のようなエノラート型構造に近づきます。これだと、アルケンと同じで、窒素上の二つのメチル基は非等価ですよね?
また、温度可変NMRで温度を上げていくと、二つのメチル基のシグナルはじょじょに広がり、ある温度で融合して一本となり、さらに温度を上げていくと通常の鋭い一本線となるでしょう。
上述したように、N-C間には二重結合性がありますが、これは完全な二重結合ではないため、十分な熱エネルギーを与えれば回転して異性化できます。
室温以下ではこの異性化はNMRのタイムスケールに比べて遅いため、NMRで観察する限り、あたかもDMFは上述した極限構造の形で止まっているかのように見えます。
しかし温度を上げてやると、N-C結合周りの回転は速まり、NMRでは両者がだんだん混じってしまって区別できなくなります。
そうですね、自転車や車のホイールのリムを考えてみましょうか。
止まっていたり、回転が遅いとリムは目で見えますね。
でも、回転が速くなると、目では追いきれなくなってしまいます。
(もっとも、このたとえだと、回転が速くなったときに全部が区別されなくなる、というのが説明できないけど(汗)
この現象はDMFに限らず、二つ(あるいはそれ以上)の構造の間でゆっくりとした構造変化が起こっている場合に観察できます。
条件は、相互変換のスピードがだいたい秒のオーダーであること。これはNMRの原理的な問題です。
それ以上に速い反応になると、より高速な分光法が必要です。
逆にもっと遅い反応となりますが、X線回折などで反応変化を追う、というおもしろい実験もあります。
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