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ドイツにおいてはナチスの存在自体が禁止され、ナチス式敬礼をはじめ、ナチスやその政策を宣伝・扇情することは処罰対象であると聞いたことがあります。
たとえばWikipediaでも「ドイツ国内では刑法第86条でナチズムのプロパガンダ及びそれに類する行為が禁じられている」という記述が見られます。
日本ではある個別の事件や団体を宣伝しようが、強盗や殺人一般を賛美しようが、具体的な犯罪行為(予備罪に該当する準備等も含め)に至らなければ処罰されないはずです(出版停止などの措置はあるかもしれませんが)。

また、ナチスによる犯罪の公訴時効は無期限停止され、21世紀に入ってもナチス親衛隊長が起訴されたことがありました。
このようにナチスによる犯罪の時効無期限停止を定めた法律は、ナチスによる一連の活動後に成立した事後法であるはずです。

西欧はとくに基本的人権を重視する風潮があると思っていました。ナチスについては、表現の自由や法の不遡及という基本的人権を侵してまで徹底的に取り締まることについて、ドイツをはじめ関係国はどのように説明しているのでしょう?

※法律や歴史的経緯は無知なところがあるので、質問中に間違った記述があれば併せて指摘していただければ幸いです。

A 回答 (3件)

正直なところナチス思想を取り締まっているかどうかは分かりませんが…


(Wikipediaは必ずしも信用できるとは限らないです。私ですら加筆修正できるんですもん(笑))

ドイツは俗に言う「闘う民主主義」思想を取っており、
「自由で民主的な基本秩序に挑戦する思想は許さん」という姿勢をとっています。(ドイツ憲法18条)
基本思想がそうなので、そういう法律があったとしても不思議には感じません。

一方、日本国憲法は思想良心の自由を保障していますが(19条)、
これは日本国憲法を否定するような思想を持つ自由すらも日本国憲法によって保障されると解されています。

これは結局、自由や民主主義を守るためにはどうすればいいかという
思想の違いとしか説明のしようがないです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

ドイツ連邦共和国基本法18条「意見表明の自由、とくに出版の自由(第5条1項)(中略)を、自由で民主的な基本秩序を攻撃するために濫用する者は、これらの基本権を喪失する。喪失とその程度は、連邦憲法裁判所によって宣告される。」というくだりですね。
Wikipedia以外のサイトで刑法にあたってみても、裁判所で上記宣告を受けた団体の宣伝を厳しく規制しているようで驚きました。

日本では思想良心の自由はとくに尊重されるものと解釈されている反面、ドイツでは明確に「意思表明の自由を喪失する」と規定されているとは、基本的人権に対する考え方もまちまちであると再認識しました。

お礼日時:2007/08/18 02:20

>ナチスやその政策を宣伝・扇情することは処罰対象である



このような法律を制定することが許されるかどうかは、法律の上位法である憲法の許容するところかどうかによると思います。

日本国憲法では思想良心の自由が19条で定められており、また表現の自由を定める21条1項によって、他人の権利を侵害しない限りは何を考えても何をやっても自由ですので、法律で処罰することは憲法に反することになります。

これに対してドイツ憲法についてはわかりませんが、憲法自体がナチスを禁じているのであれば、これを処罰しても憲法には反しないことになります。

そもそも表現の自由も絶対的に自由ではないので、国民の決めた憲法でナチスを禁じているのであれば、許容される基本的人権の制約と言えると思います。

>ナチスによる犯罪の時効無期限停止を定めた法律は、ナチスによる一連の活動後に成立した事後法であるはずです。

この点については、事後法として禁止されるのは刑罰の中身を決めるいわゆる実体法というもので、刑法に代表されます。
これに対して、時効は犯罪の中身そのものを定めているのではなくいわゆる手続法とされ、刑事訴訟法に代表されます。

実体法については事後法は日本国憲法でも39条で禁止されていますし、
近代法の大原則なのでどこの国でも法治国家であれば禁止されていると思います。

これに対して手続法には事後法の禁止は及びませんので、直ちに無効とはいえないと思います。日本の最高裁判所でも手続法に関してはこれを認めたものがあります。
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この回答へのお礼

憲法についてはNo.1の方も説明して下さいましたが、憲法の規定、ひいては国民の基本的人権に対する考え方に大きく依存するものであると再認識しました。

事後法についての説明はよく分かりました。ナチスの犯罪そのものを新たに規定し遡って処罰する法律を作ってはいけないが、もともと刑法等に抵触する犯罪の「時効」を停止するということで、実体法の事後法を免れているわけですね。

分かりやすい説明をありがとうございました。

お礼日時:2007/08/18 03:02

>日本ではある個別の事件や団体を宣伝しようが、強盗や殺人一般を賛美しようが、具体的な犯罪行為(予備罪に該当する準備等も含め)に至らなければ処罰されないはずです(出版停止などの措置はあるかもしれませんが)。



破壊活動防止法で規制されています。
http://www.houko.com/00/01/S27/240.HTM
オウム真理教事件にうまく適用できなかった反省から、団体規制法という法律も制定されています。
http://www.ron.gr.jp/law/law/musabetu.htm

公安調査庁という専門組織も持っています。
http://www.moj.go.jp/KOUAN/

>西欧はとくに基本的人権を重視する風潮があると思っていました。ナチスについては、表現の自由や法の不遡及という基本的人権を侵してまで徹底的に取り締まることについて、ドイツをはじめ関係国はどのように説明しているのでしょう?

私はドイツをはじめ関係国は説明はしていないし、説明不要と思います。その理由は以下の通りです。

1.基本的人権を重視する人に対しては、基本的人権を尊重し最大限社会はこれを守る義務がありますが、基本的人権を無視する人については、その人の基本的人権は無視され、社会もその人の基本的人権は当然に無視する制度でこれを法制度的に担保するというのが、自由主義社会の基本的考え方でしょう。

2.たとえば、法律界では「クリーンハンズの原則」というものがあって、法律を無視する人は法律の保護は受けられないことになっています。もし他人の物を盗んだAが、Bにその物を盗まれた場合、AはBを訴えることができない、と言う場合が一番簡単な例でしょう。

3.ナチスとは「国家主義者」のことでしょう。国家主義者とは「国家は何でもすることはできる。」ということで、極論すれば「国家がすることに犯罪は無い」ということでしょう。フランスの国王ルイ18世(16世?17世?)は「我は国家なり」と述べたことで有名ですが、こういうアンティテーゼとして自由主義国家、資本主義国家が生まれたのです。
国家の名の元に犯罪を犯す個人、組織は存在しえます。(至近的例で言えば社会保険庁の不祥事、公務員による官製談合事件、国会議員年金法事件、政治資金違反事件など、現在の日本でも国家主義の名目で行われている犯罪、疑惑に事欠かないでしょう。)国家主義、すなわち国家の利益を名目に行われることについては、国民の十分な監視監督下におかれればならないというのが自由主義社会・資本主義社会の鉄則であって、説明は不要と私は思います。

>このようにナチスによる犯罪の時効無期限停止を定めた法律は、ナチスによる一連の活動後に成立した事後法であるはずです。

私はドイツ法に詳しくありませんが、日本の破壊活動防止法、団体活動規制法に類似の法律は当然にして制定されているはずでしょう。

自由主義社会の基本原則は「思想の自由」であって「国家主義」「共産主義」を唱える自由は尊重されるべきですが「暴力を伴う国家主義(極右)」「暴力を伴う共産主義(極左)」「暴力を伴う特定的宗教信条(テロリズム)」については、一般人の身体生命財産の保護の観点から、厳しく規制されるべきというのが私の意見です。

ついでにいうと、公務員の言う「談合の自由」「天下りの自由」「公務員宿舎に住む恩恵は国家主義の残賽でしょう。
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この回答へのお礼

破防法でも、内乱や外患誘致を教唆・扇動することを禁止し罰則を設けていますね。第6章を読んだことがなかったため、せいぜい広告禁止や解散命令にとどまるものと勘違いしていました。
ただ、破防法が内乱などの具体的罪名を挙げていることに対して、ドイツの刑法では国家社会主義組織を禁じている点が興味深いと感じました(本質的には大差ないのかもしれませんが)。

信義則に基づき基本的人権が認められる範囲を定め、国家は常に国民に監視されるべきであるとの立場から法律を定めたと考えれば、不自然ではないですね。回答を読ませていただくと、自由や人権の本来の考え方に忠実であるという印象を受けました。いたずらに権利だけをふりかざす日本にいると、素人目からは気づきにくいですが。

3つ目の回答についても納得いたしました。ドイツでも思想の自由自体は最大限尊重されることにはかわりはなく、たとえばナチスが「ユダヤ人は馬鹿だ」と言っているだけならば処罰対象にならないわけですね。あくまで「暴力で」他者の自由や安全を脅かすことを党是としていることが問題なのでしょう。そして現代においてナチスを手放しに賞賛し宣伝することは、国民にとって具体的な脅威となることを考えれば、当然と言えるかもしれません。

詳しい説明をありがとうございました。

お礼日時:2007/08/18 02:57

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