

人を好きになるという経験は誰にでもあると思うのですが、異性間において誰かを「好きになる」という感情は自明のようで自明ではない気がします。
おそらく心理学上では異性間での「好き」という感情に対してカテゴリー分けがなされていると思うのですが、どのようなものがあるのでしょうか?
1.カテゴリーの種類
2.それぞれの種類での脳の活性部位
3.それぞれの種類での体に現れる反応
などをお教え頂けたらと思います。(2,3は興味で入れてみたのですが、1と親和性がわるければ省いて下さっても結構です)
よろしくお願い致しますm(_ _)m
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
#1です。回答をお読み頂きありがとう御座います。
>なるほどなるほど。では、反応や行動の結果を分類した、人間の感情のカテゴリーわけはされているのでしょうか?
そうですね、このようなことは心理学の歴史でも長年に渡って論議が繰り返されていましたが、脳科学の時代に入って一部に終止符が打たれると共に、解明されるべき新たな課題がまた山積みになっています。
「喜び」「悲しみ」「怒り」「不安」、我々が日常に体験する感情、もしくは心理学の対象となり得る心理現象といいますのは、その全てが「与えられた状況に対して発生した身体反応の結果」、これに基づいて分類されたものです。そして、前回答で申し上げましたように、
これらは必ずや
「報酬刺激:接近行動・能動的自律反応」
「嫌悪刺激:回避行動・防衛的自律反応」
このどちらかのカテゴリーに属します。
何故ならば、大脳辺縁系の情動反応といいますの「快情動」と「不快情動」の二種類しかないからです。
>「感情⇔反応、行動」といった対応表のようなものが作られているのでしょうか?
かつては我々の脳内には「喜怒哀楽」などの情動が発生し、これに対応した行動が選択されると考えられていましたが、現在ではこのような考え方は用いられていません。環境からの入力に対する情動反応の判定結果は「快・不快」の二種類しかありません。では我々の「感情とは」、この何れかが脳内の神経伝達の過程で様々な身体反応に分岐した結果、それが「特定の表出パターンとして分類の可能になった状態」をいいます。
前回答でご紹介しましたように、新たな解剖学的知見や神経伝達物質の化学的特性などを基に、「報酬系回路の幸福感」や「中脳中心灰白質の攻撃行動」といいますのは情動の分岐・表出に関わる機能なのではないかと考えられるようになってきました。ですが、このような研究は始まったばかりでありまして、これがなぜ我々の複雑かつ多彩な感情に反映し、また「どうしてそれを人類に共通のパターンとして分類することができるのか」といったことは、まだほとんど解明されていません。
丁寧な回答ありがとうございます。
また、お礼が遅くなってしまい申し訳ありません。
未解明の部分もいつか解明される日がくるのでしょうか?
難しそうですが。。。
大変勉強になりました。ありがとうございましたm(_ _)m
No.1
- 回答日時:
こんにちは。
>1.カテゴリーの種類
「好き・嫌い」といいますのは「脳の判定規準」でありまして、これは感情ではないです。ですから、心理学にはそのような感情の分類はないと思います。
好き・嫌いといいますのは「利益・不利益の判定」であり、これに基づく欲求が実現されるならば「喜び」や「満足感」が発生し、阻止されるならばそれは「怒り」や「悲しみ」となって表れます。ですから、この好き・嫌いの判定が下されることにより、「身体に表出された様々な反応や行動の結果を分類したもの」、我々はこちらを感情と呼びます。
>2.それぞれの種類での脳の活性部位
我々の脳内には環境からの入力に対して「利益・不利益の判定」を下す中枢機能が二系統あります。
「生命中枢:無条件反射:本能行動」
「大脳辺縁系:情動反応:学習行動」
「異性に対する接近行動」といいますのは遺伝的に定められた判定規準に基づく本能行動です。これに対しまして、「特定の異性に対する接近行動」といいますのは大脳辺縁系内に「特定の異性(恋人)=報酬刺激」という判定規準が学習されることによって選択される「情動行動」です。
この学習は「生殖行動」という、「生得的に定められた本能行動の規準」に従って行なわれるものであるため、誰を好きになるかは人それぞれですが、相手は必ずや異性でなければなりません。従いまして、我々が異性を好きになるというのは「全人類に共通の学習行動」であり、これは「自明の理」と解釈して全く構わないのではないかと思います。
>3.それぞれの種類での体に現れる反応
中枢系の役割とは感覚器官が捉えた環境の変化に対して利益・不利益の判定を下すことです。この結果が運動系や自律系に出力されることにより、我々の身体では与えられた状況に対応した適切な行動や反応が選択されます。選択の基準は二種類であり、対応する結果は以下の通りです。
「報酬刺激:接近行動・能動的自律反応」
「嫌悪刺激:回避行動・防衛的自律反応」
生命中枢ではどのような刺激に対してどちらの判定を行なうかが遺伝的なプログラムとして予め決定されています。そして、これに従って選択される身体反応が「反射」であり、この反射が複数組み合わされたものを「本能行動」といいます。これに対しまして、「学習行動の判定規準」といいますのは生後体験を基に後天的に獲得されるものであり、この学習結果は「大脳辺縁系の情動反応」として再生されます。
この大脳辺縁系の情動反応が他の神経系に出力されることにより、我々の心身には以下のような変化が発生します。
「中枢神経系」
情動反応の結果が中枢神経系に出力されますと、我々の脳内には「NA(ノルアドレナリン)」や「DA(ドーパミン)」といった神経伝達物質が広域投射されます。NAは神経系全体の覚醒状態を亢進させ、注意力や記憶力を高めます。報酬系回路に投射されるDAは満足感や幸福感を発生させ、「中脳中心灰白質」は嫌悪刺激に対する情動反応を「怒り(攻撃)」か「悲しみ(諦め)」かに分岐させるのではないかと考えられています。
「自律神経系」
大脳辺縁系の情動反応は「視床下部」を介して全身の自律神経系に出力されます。この結果、我々の身体には様々な生理的変化が発生します。例えば、好きなひとの前で胸がドキドキするというのは、これは「心臓の情動性自律反応」です。
「運動神経系」
顔の表情が変わる。思わず立ち止まって見惚れてしまう。恋をするひとの態度といいますのはしばしば他人からも分かってしまいます。このようなものは「情動行動」であり、大脳皮質が特に注意を払っていなければ「無意識行動」として知らぬ間に選択されてしまいます。
回答ありがとうございます!
>「好き・嫌い」といいますのは「脳の判定規準」でありまして、これは感情ではないです。ですから、心理学にはそのような感情の分類はないと思います。
>この好き・嫌いの判定が下されることにより、「身体に表出された様々な反応や行動の結果を分類したもの」、我々はこちらを感情と呼びます。
なるほどなるほど。では、反応や行動の結果を分類した、人間の感情のカテゴリーわけはされているのでしょうか?
「感情⇔反応、行動」といった対応表のようなものが作られているのでしょうか?
脳および反応への回答もありがとうございます。大変勉強になりました。
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