
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
FerstDRさんのお答えは材料力学を糸口にされているようですが、最後にちょっとお書きのように、今回のお話は電子材料に関するものなので別物と思われます。
絶縁破壊は、絶縁性物質に非常に強い電場(電界)をかけると、急に絶縁性を失って電気を通してしまう現象をいいます。一番身近な例は雷でしょう。
雷の場合はまず最初に、空気中にわずかに存在する電子やイオンが強い電場によって加速されて他の分子にぶち当たります。ぶつかられた分子は電子が弾き飛ばされてイオン化し、生じたイオンや電子は同様に電場で加速されてさらに他の分子に当たります。これがなだれ式に繰り返されることで大きな電流が流れます。参考ページの[1][2]をご覧下さい。
イオンや電子が衝突によって生じてから、他の分子にぶち当たるまでに十分なエネルギーを電場から得ることができないとこの連鎖反応は成り立ちません。よって電場の強さ(加える電圧と読み替えてもよい)がある値に達した時に急激に電流が流れ始めるのです。
固体に高電圧を加えた場合もほぼ同様ですが、固体内では原子は通常動けませんので、電子だけが動いて他の原子にぶつかり、そこから電子を叩き出し、叩き出された電子が電界で加速されてさらに他の原子にぶつかる、といった過程を繰り返して大きな電流が流れます(電子なだれ)。
降伏現象とは通常、半導体のpn接合に逆方向の電圧(pにマイナス、nにプラス)を印加していったときに、ある電圧から急に電流が流れはじめる現象を指します。広義の降伏現象は上記の「電子なだれ」を含みますが、狭義では以下に説明するツェナー現象による降伏を指します。
半導体のpn接合でp側にプラス、n側にマイナスの電圧をかけると電流が流れます。その機構については参考ページ[3]をご覧下さい。一方、その逆に電圧をかけると電流はほとんど流れません。これがダイオードの整流作用です。
ところが逆方向に電圧をかけた場合でもその電圧を次第に高くすると、p型側の価電子帯のエネルギー準位がn型側の伝導帯のエネルギー準位より高くなるため、pn接合間のごく薄い空乏層を介してp型の価電子がn型の伝導帯に直接ジャンプできるようになります。こうなると逆方向の電圧であっても急に電流が流れ始めます(参考ページ[3]の図1-6-2を見て下さい)。このように逆方向に電圧をかけた時にある電圧から急に電流が流れ始める現象を「ツェナー現象」といいます。
まとめると大体次のようになると思います。鍵となる用語は既に上に示しましたから、この先はご自身でネットを検索したり図書館で本を探したりして調べてみて下さい。
絶縁破壊
(1)絶縁体に強い電場をかけた場合に、ある電圧から絶縁性を失って急に電流が流れはじめる現象を指す。
(2)必要な電圧は一般に高い
(3)電子やイオンが、電場によって加速されて他の分子に衝突し、次々と新しいイオン/電子を生み出すことで生じる
降伏(狭義)
(1)一般に、半導体のpn接合に逆電圧をかけた時に、ある電圧から急に電流が流れはじめる現象を指す。
(2)必要な電圧は一般に低い
(3)トンネル効果によって生じる
なお、トンネル現象の詳細な理解には量子力学の知識が必要です。トンネル現象についてここで一から説明することはできませんので、もしそれについて詳しく知りたければ別に質問を立てて下さい。
[1] 「身近なプラズマ」
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Asagao/1109 …
[2] 「放電」
http://contest.thinkquest.jp/tqj1998/10157/word/ …
[3] 「半導体についての基礎知識」1.4~1.6を読んで下さい
http://um.phys.konan-u.ac.jp/edu/smcnbg.html
[4] 「物性物理学配布資料」(ページの一番最後に出てくる質問をご覧下さい)
http://www.tuat.ac.jp/~katsuaki/h980428.html
ありがとうございます。
参考URLも載せていただき助かりました。
電子材料において、2つの現象がどんなものかをしることができました。
No.3
- 回答日時:
どちらもBreak Downですよね。
基本的には、Umadaさんと同意見ですが、個人的イメージでは、
半導体内での電子なだれ(Avalanche break down)は降伏現象。
では絶縁膜中ではどうか?
物理的破壊に至らなければ(電圧をかけなおしたら元にもどるなら)やはり降伏で、破壊に至ったら絶縁破壊ととらえています。
No.1
- 回答日時:
物質(たとえば金属)に機械的な外力(応力)を与えると,その物質は変形します。
その応力を取り除いたときに,物質が元の形状(原子の並び)に戻る変形様式を弾性変形と呼び,外力を取り除いても元の状態に戻らない変形を塑性変形と呼びます。外力を増やしていって塑性変形が始まることを降伏と一般的には呼ぶと思います。絶縁破壊とは,絶縁膜に対して電気的または機械的な外力を与えることで,絶縁膜の絶縁性能が低下,もしくは,非絶縁性になる現象を絶縁破壊と呼ぶと思います。
両者ともに非可逆的な変化ですが,絶縁破壊は文字どおり物質の絶縁性能に関わる変化であり,降伏は物質の変形(弾性→塑性)に関わる現象かと思います。
ただし,表題には「電子デバイス」と明記してあるので,勘違いかもしれません。
2つの現象の違いについて知ることができ、これらの現象は機械的な力においてもあることがわかりました。
本当にありがとうございました。
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