
民事控訴審において、控訴理由書の提出期限は控訴提起から50日という規定があるものの、実際にはこの期限を過ぎて提出されることが全体の5割以上であり、第一回期日の直前に出されることも結構あると聞いています。このように提出が大幅に遅れた場合、被控訴人が十分な答弁書を用意する時間がないままに期日を迎えることになりますが、これが公正な裁判の進み方であるとは言えません。
控訴理由書の提出が遅れる理由として、控訴人側代理人の多忙・怠慢ということがあるようですが、裁判の進行を遅らせて時間稼ぎをする、あるいは被控訴人側が答弁書で十分な主張ができないように画策するという故意的な遅延も考えられるようです。
ここで、質問ですが、
1.控訴理由書の提出が遅れる旨、裁判所の書記官に伝えれば、遅延は受け入れられるようですが、期日直前あるいは当日になっても受け入れてもらえるのでしょうか。
2.控訴理由書の提出が期日ぎりぎりに提出される場合、被控訴人側は残された時間が殆どなくても、答弁書を期日に提出しなくてはならないのでしょうか。
3.控訴理由書の提出が上記2.のように遅れた場合、被控訴人が十分な答弁書を用意するため、裁判所は期日を延期するのでしょうか。あるいは、被控訴人が裁判所に対して延期の要請をすることができるのでしょうか。
4.控訴理由書の提出の遅延は裁判官の心証を悪くして当然かと思いますが、この点について、何かご存知・ご経験でしょうか。
5.控訴理由書の提出遅延が不当である、また控訴したからにはその理由を早々に確固と述べるべきところ、それを怠ったがために控訴審を進める意味がないという理由で、被控訴人側が裁判所に対して一回結審を要請することはできるのでしょうか。
どうぞよろしくお願いいたします。
A 回答 (1件)
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No.1
- 回答日時:
1.控訴理由書の提出は、控訴の要件ではありませんので、提出しなくても控訴は却下できません。
ですから、書記官が受け入れるかどうかの問題ではありません。2.答弁書も提出しなくても「民事訴訟法上」は問題ありません。民事訴訟法は、口頭主義を採用していますので、口頭弁論において相手方が出席していれば、答弁書などの準備書面を提出しなくても、主張等を陳述することができます。また、控訴理由書の提出が遅れたことを理由に、認否や主張は答弁書で明らかにするので、期日の続行(次回の口頭弁論を開いてもらうこと。)を求めるという方法もあります。
3.控訴理由書の提出が遅れてとしても、それだけで、裁判所が期日の延期をすることは考えづらいです。当初の予定通り、期日を開いて、必要でしたら、期日を続行することもできるからです。なお、当事者が、最初の期日の延期を求める場合は、当事者が合意した場合、または顕著な事由がある場合は、期日を変更します。
4.弁論の全趣旨で考慮されるとしても、それだけで、勝ち負けがひっくり返るわけではありません。なお、控訴理由書を提出しなかったり、準備書面を提出しなかった場合、それにより相手方の準備のために口頭弁論期日の続行が行われた場合、余計な訴訟費用が発生するのですから、たとえ勝訴しても、訴訟費用を負担させられる可能性はあります。
5.控訴人が原審でした主張を繰り返しているのでしたら、その主張を排斥した原審である裁判所の判断は正しいと主張すればよいです。控訴人が控訴審で新たな主張や証拠の申出をしているのでしたら、時機に後れた攻撃防御方法として却下すべきと主張して、これ以上審理する必要がないとして口頭弁論の終結を求めるのが被控訴人のするセオリーです。
民事訴訟法
(訴訟費用の負担の原則)
第六十一条 訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする。
(不必要な行為があった場合等の負担)
第六十二条 裁判所は、事情により、勝訴の当事者に、その権利の伸張若しくは防御に必要でない行為によって生じた訴訟費用又は行為の時における訴訟の程度において相手方の権利の伸張若しくは防御に必要であった行為によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。
(訴訟を遅滞させた場合の負担)
第六十三条 当事者が適切な時期に攻撃若しくは防御の方法を提出しないことにより、又は期日若しくは期間の不遵守その他当事者の責めに帰すべき事由により訴訟を遅滞させたときは、裁判所は、その当事者に、その勝訴の場合においても、遅滞によって生じた訴訟費用の全部又は一部を負担させることができる。
(期日の指定及び変更)
第九十三条 期日は、申立てにより又は職権で、裁判長が指定する。
2 期日は、やむを得ない場合に限り、日曜日その他の一般の休日に指定することができる。
3 口頭弁論及び弁論準備手続の期日の変更は、顕著な事由がある場合に限り許す。ただし、最初の期日の変更は、当事者の合意がある場合にも許す。
4 前項の規定にかかわらず、弁論準備手続を経た口頭弁論の期日の変更は、やむを得ない事由がある場合でなければ、許すことができない。
(時機に後れた攻撃防御方法の却下等)
第百五十七条 当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。
2 攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。
(準備書面)
第百六十一条 口頭弁論は、書面で準備しなければならない。
2 準備書面には、次に掲げる事項を記載する。
一 攻撃又は防御の方法
二 相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述
3 相手方が在廷していない口頭弁論においては、準備書面(相手方に送達されたもの又は相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出されたものに限る。)に記載した事実でなければ、主張することができない。
(控訴提起の方式)
第二百八十六条 控訴の提起は、控訴状を第一審裁判所に提出してしなければならない。
2 控訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当事者及び法定代理人
二 第一審判決の表示及びその判決に対して控訴をする旨
いくつも質問させていただきましたが、それぞれに大変ご丁寧かつ非常に解り易いご回答を下さり、さらには民事訴訟法の該当部分をわざわざご添付下さり、大変ありがたく、かつ恐縮しております。
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