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No.3
- 回答日時:
補足欄拝見いたしました。
> 「合意ではなく相違」の過程には、片や「結局何でもあり」のようなあまりポジティブではない相対化、片や「相違は矛盾」であると決めつけ結局の一元的な合意への希求、と危険性も孕んでいるかと考えます。
そうですね。
たとえば、こういう問題に関しては、ハバーマスの公共性の概念の方が、実効性は高そうに思えます。
ハバーマスは、あらっぽく言ってしまえば、近代というものは、生の全体性をばらばらに分解することによって、隘路にはまりこんでしまった、「認識の言説」「倫理の言説」「政治の言説」が分離されている現状に「橋をかける」、そうして経験の統合性に道を開いていこうというものです。
けれどもリオタールはハバーマスに対して、このように反論していきます。
「ぼくの問いは、一体どのような統合性をハーバーマスは夢見ているのか、ということだ。近代の計画がめざした目標とは、その内部にあっては日常生活および思考のすべての要素がちょうどひとつの有機的全体の中でのように居場所を見出すことになるような、ある社会文化的統一体の構成なのだろうか? あるいは、認識の、倫理の、政治の、といったそれぞれに異質な言語ゲームをつらぬいて切り開いてゆかねばならない通路は、それらの効果的な綜合の実現は、どのようにすれば可能になるというのだろうか?」(「「ポストモダンとは何か?」という問いに対する答え」『こどもたちに語るポストモダン』ちくま学芸文庫)
そうして、この第一の仮説(ハバーマスのいう「公共性」はこれに属するものとリオタールは解釈しているのですが)は、結局のところ「ヘーゲル的なもの」、「弁証法的に綜合をめざす「経験」という観念を問いなおしはしない」ものである。つまり、近代という大きな物語、すべてを説明しつくそうとする類の全体的世界記述そのものである、というわけです。
そうして第二の仮説を受けて、リオタールはウィトゲンシュタインの言った「言語ゲーム」を導入していくのです。
わたしたちはさまざまなタイプの言語ゲームを行っている。
「AはBである」という事実言明というタイプの言語ゲームでは、話し手は「知識のある人物」という立場、聞き手は「同意/不同意する人物」という立場に置く。
あるいは「AはBですか?」という質問の言語ゲームでは、話し手は聞き手を「知っている側」に置く。知識の属性を相手に与えることになる。
ここで注目すべきは、「権力」ということです。
話し手は権力を主張するか、相手に委譲するかしており、聞き手はその立場を受け入れるか回避するかを選択している。そうして、そこからつぎの会話が引き出され、そこでまた「権力」はありようを変えていく。
ここからリオタールは「結節点」ということを言います。
わたしたちはコミュニケーションに介入することによって、メッセージがそこに送られ、そこからまた発していく、という機能を果たすことになります。
それは、どれほど些細なレベルであっても、権力関係を変更することができる、ということです。たとえば、上からの命令を送らせることによって、あるいは、別の「数字」を発することによって。
その結果どういうことになるか、というのは、誰にもいうことはできません。言ってしまうと、またそれも「小さな物語をいう大きな物語」へと回収されてしまうから。
> 合意なき均衡とはどのような体系なのでしょうか?
という問い自体が、非ポストモダニズム的問いになってくるのはおわかりでしょうか。答えを信じることではなく、それについて考えること、というわけ。
この回答についても、質問者さんがポストモダニストかどうかはさだかではありませんが、ポストモダニスト的対応を取ってくださるようお願いします(笑)。
小さな物語とは?と「答え」を求めている時点で...。よくわかりました。
「問い」が「権力」の在り方を流動させること、そしてその連続性。なるほど。
新たな「問い」へのあしがかりとなりそうです。
ありがとうございます。
No.2
- 回答日時:
環境問題、いわゆるエコロジー問題はキリスト教終末論のリメイク版です。
世界がある時点で終わるという恐怖の前に個人の行動が規定されます。
これは最後の審判と同じ発想なんですよね。
いわゆるエコロジー運動は1960年代のカウンターカルチャーから生まれた
現代の大きな物語の一つだと思います。
詳しくはアンナ・ブラムェル「エコロジー―起源とその展開」を参考にしてください。
なるほど。ではリメイク版であるとすでにわかっている物語に対して私たちはどんな態度をもってそれと向き合って行くべきなのでしょうか。
ありがとうございます。
本、参考にさせて頂きます。
No.1
- 回答日時:
> 現在においての大きな物語である(大きな物語となる)とは考えられないのでしょうか?
きわめて容易に「大きな物語」に回収されうると思います。
リオタールの「大きな物語」というのは
「愛による原罪からの解放というキリスト教の物語、認識による無知や隷属からの解放という啓蒙の物語、労働の社会化による搾取と阻害からの解放というマルクス主義の物語、産業の発展による貧困からの解放といいう資本主義の物語」(『ポスト・モダンの条件―知・社会・言語ゲーム』水声社)
ということですよね。
だから、たとえばそこに「行き過ぎた近代化を見直し、人と自然が共存する物語」という物語を仮に作ったとする。ここでまた新たな「大きな物語」の誕生です。現実にどうやって「共存」させるのか具体策を欠いたままの物語は、「地球に優しい」のようなよくわからない標語と一緒に、身の回りにあふれかえっているように思います。
あるいは「安全な食や安全な環境を保障する資本主義の物語」へと回収されていくような言説もいくつもあるように思います。
> 環境問題とはどのような物語なのでしょうか?
最近、ひとしきり言われることに「環境倫理」という言葉があります。
わたしたちがこれまで自然環境に対して持ってきた姿勢や態度、考え方、行動は見直さなければならない。新たな姿勢や態度、考え方、行動へとシフトしていかなければならない。
そういうときの規範として、「環境倫理」を構築していこうというのです。
けれどもこの「環境倫理」は規範となっていくものですから、当然のことながら、人びとが一致して行動できるような原理・原則という性格のものとならざるを得ません。これもまた「大きな物語」であると言えるでしょう。
この「環境倫理」という思想の抱える問題点を桑子敏雄は『環境の哲学 ―日本の思想を現代に生かす』(講談社学術文庫)のなかで以下のように指摘しています。
「広くいえば、地球規模の行動原理の策定とその応用という発想そのものが、一種のグローバリズム、あるいはむしろユニバーサリズム(普遍主義)に由来する発想であって、ローカルなものをその一部ないし特殊な場合ととらえる立場に立っている。先進諸国の採用する原理をひとつのグローバルな原理、さらに普遍的な原理として採用し、それを全地球規模で実施しようという製作そのものが、多様な地域の独自性を一種の普遍性のもとに包摂しようという意図にもとづくものとも考えられる。そこで、第一に、このような普遍的な原理の意義が問われなければならない。また、第二に、欧米において考案された原理をグローバルな原理、さらには普遍的な原理とすることができるかという重要な問題がある。」(p.105)
では、「小さな物語」として環境問題を考えていくことはできるのか。
同書ではリオタールのいう「小さな物語」にもポストモダニズムにもふれられていません。桑子の思想はリオタールとは多少ちがうかなとも思います。それでも、「身体」と「空間の歴史」から、環境というものをとらえ直していくことが主張されているのですが、こういう「もうひとつの考え方」をいくつも提示していくことが、「小さな物語」に通じていくのではないかと思うのです。リオタールは、もし状況が改善されるとしたら、それは意見の合致によってではなく、相違によってである、と言っていますよね。
あるいは、この本のなかで、わたしがおもしろいと思ったのは、具体的にはこんな指摘でした。
たとえばよく保護の対象とされる「環境」に、原生林であるとか、稀少生物の生息地があげられます。これは「原生自然」のものに、価値を置く考え方ですよね。こうした「原生自然」を保護していくという発想は、誰がどう考えても異論の余地がない。
それに対し、いわゆる「里山」という概念があります。人の手の入った自然、わたしたちの身近な裏山であったり、雑木林であったりするものです。こうした里山のような自然は、「原生自然」にくらべて価値が劣るものとされる。「里山の自然」を保護する理論をわたしたちは持てていないのです。
こういう「里山」をどう考えていくか。こういうところからも「小さな物語」の可能性はあるように思います。
合意ではなく、相違を、メッセージの「結節点」であるわたしたちが、介入していくことによってあきらかにしていく。簡単なことではないでしょうが、そういう点から考えていくことは、少なくともおもしろいことだろうと思います。
この回答への補足
「合意ではなく相違」の過程には、片や「結局何でもあり」のようなあまりポジティブではない相対化、片や「相違は矛盾」であると決めつけ結局の一元的な合意への希求、と危険性も孕んでいるかと考えます。
様々な「もうひとつの考え方」はどのように共立していくのでしょうか?ここでわかりやすい答えを求めるとやはり合意へと向かってしまうのでしょうが、合意なき均衡とはどのような体系なのでしょうか?
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