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併合罪についてお尋ねいたします。
刑法46条~48条には、併合罪については、罪の個数がいくつあろうと一括して処断刑を量定するとあります。
同法45条後段には、ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とされるとあります。
たとえば、A)罰金~円・または懲役~年以下の犯罪と、B)罰金のみ~円の二つの罪を犯し、併合罪とされた場合、処断刑は上がると思うのですが、A)の罪だけであれば、通常であれば罰金刑とされるケースでは、禁錮以上の刑に処する確定裁判にあたりません。45条の後段によればA)の罪に関してのみ裁判を行い、この場合であれば、併科のみ行われるように読み取れます。実際の司法において、処断刑が上がることにより、A)の罪がB)の罪の併合によって、罰金刑から禁固・懲役に上がることはあるのでしょうか?その場合2重の加重になる問題はどうなるでしょうか?

A 回答 (2件)

>加重でなく犯情によるのですね。



加重と犯情はそもそも対比するものではありませんが、つまりは、単独の犯罪としてみれば罰金刑相当でも「余罪もしくは前科があるために」懲役、禁錮を選択したとしてもそれは犯情を考慮して刑を選択した結果にすぎず、法律上の定める「加重の問題ではない」ということです。

#なお、ここで言う「余罪」は「法廷で裁判官が知った限度の当該被告人が犯したすべての犯罪であり、併合罪となる犯罪に限らず、起訴されていない罪も含めたもの」(*)という程度の意味であり、ここで言う「前科」は「以前に有罪判決を受けた事実全て」という程度の意味で「再犯加重の対象となる犯罪に限らないし、法律上の資格制限の根拠となるいわゆる前科にも限らない」です。

(*)判例上、起訴されていない余罪について実質的に処罰する趣旨でない限り当該余罪を情状資料とすることは可能です。

>略式罰金→公判請求になってしまうこともあるのでしょうか?

略式手続は「公訴提起と同時に略式命令請求をする」ものです。一方、いわゆる公判請求とは「略式命令請求をしない通常の公訴提起」のことです。つまり、公判請求とはあくまでも略式命令と比較した呼び方で、検察官の立場から見た通常の公訴提起の手続の便宜上の呼び方です。
そこで裁判所が「略式命令を出せない」(正確には、「事件が略式命令をすることができないものであり、又はこれをすることが相当でないものであると思料するとき」)と考えれば「検察官の略式命令請求に応じないで通常の訴訟手続を職権で行う」ことになります。つまり、「検察官が公判請求していなくても職権で当然に公判手続きを行う」ことになります。その意味では「通常の訴訟手続になるが別に公判請求になったということではない」ということになります。公判請求したのと同じということは言えますが。

ここで、適法な略式命令請求がある限り、処断刑の上限がたとえ略式命令を出せないものであっても、略式命令が出せる範囲の宣告刑であれば略式命令は可能です。条文上、「事件が略式命令をすることができないものであり、又はこれをすることが相当でないものであると思料するとき」と言っているのは、要するに、「法律上、略式命令が出せない」または「法律上は略式命令が出せるがそれよりも重い刑が適当と裁判官が判断した」という二つの場合を意味しているわけですが、後者においては「法律上は略式命令が出せる刑も出せない刑もいずれも宣告可能」であることが前提です。そこで略式命令が出せる範囲の宣告刑が相当と判断すれば、「これをすることが相当でないものであると思料するとき」でないということになり、即ち、適法に略式命令が出せるということになります。

したがって、併合罪加重により罰金刑の上限が略式命令の限度を超える場合に検察官が略式命令の限度内での判決を求めて略式命令請求をすれば、それに対して裁判所は、略式命令を出すことも通常の公判手続きにより略式命令の限度を超える判決を出すこともできるということになります。
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質問の意味が分かりません。

「2重の加重」ってどこがどう二重なのですか?
何だかよく分からないので分かる限りで答えれば(よって参考)、

>併合によって、罰金刑から禁固・懲役に上がることは

「法律上あり得ない」です。併合罪についての刑法の規定に「罰金刑から有期懲役、禁錮に刑が上げることができる」根拠となる規定は一切ありませんから。
選択刑として二つ以上の刑種がある場合には、刑の加重減軽前に科すべき刑を決める(69条)ことになっています(*)。ですから、有期懲役、禁錮になるのは、併合罪加重に先立って決まる話ですし、併合罪加重以外に刑の「加重」と言えるものは一つもありません。よって併合罪の効果として「罰金刑が有期懲役、禁錮刑に重くなることはない」ということになります。
ちなみに複数の犯罪を犯しているので犯情が重いから有期懲役を選択するというのは「併合罪であってもなくてもあり得る話なので併合罪とは別問題」です。刑の選択はあくまでも刑の選択の問題であって併合罪の効果ではないです。

(*)当たり前ですが。選択しない刑を加重するのは思考の無駄。必要なことを必要なだけすればいいというのが思考経済にかなっている。昔、加重減軽の順番の憶え方の話をした記憶がありますが、加重減軽の順番は思考経済にかなった順番になってます。

この回答への補足

詳細なお返事を有難うございます。
2重の加重については、1)選択刑を上げた上、2)処断刑を上げる。という2点のつもりだったのですが、文字数の残りの関係で説明が足りなくなりました。申し訳ありません。加重でなく犯情によるのですね。
もう1点お聞きできたらぜひお願いしたいのですが、併合2罪の罰金額の合計が、略式手続の上限の100万円を超してしまいそうな場合には、これが理由で略式罰金→公判請求になってしまうこともあるのでしょうか?それとも、100万以内に納めた手続きになるのでしょうか?若しくはそもそも100万超すケースでは、はじめから略式で済むものではないのでしょうか?出来ましたらお返事お願いいたします。

補足日時:2008/06/13 15:34
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