
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
その3書面については、どのような場面でも「まったく問題ない」かというと、そんなことはありません。
このようにいえる根拠のもっとも大きなものは、民事訴訟法228条4項です。問題の起こりうる場面としては、大きく分けて、取引実務の場面、税務調査その他の税務の場面、取引関係でトラブルになったときの争い(訴訟その他の争訟)の場面の3つかと思います。
このうち、取引実務では、争訟の可能性を見通して、争訟となった場合の取扱いに準じた判断をする場合もあります。ただ、一般的には、それよりも緩い判断をすることが多いものでしょう。他方、税務では、国税不服審査も含めた争訟の可能性を念頭に置いて動いているものです。したがって、争訟の場面での取扱いをまず検討するのがよいといえます。
そこでこれを検討すれば、その取扱いの基準となるのが、民事訴訟法228条4項です。この条文の規範を法人に当てはめていえば、次のようになります。すなわち、法人の代表者(代表取締役を含む)がその肩書きと氏名とを文書に署名するか、または肩書きと氏名とを印刷等で記名してかつ押印すれば、その文書は、相手からの反証のない限り、「他の証拠を要することなく」、真正に成立したものとして取り扱われます。(なお、肩書きを要する根拠は、民法99条1項類推。)
このうち、重要なのは、「他の証拠を要することなく」という点です。通常は他の証拠で補強しなければならないところ、署名か記名押印があれば、不要になるのです。これは、争訟になったときの大きなメリットです。逆に、いずれも無ければ、他の証拠を要求されますからデメリットとなり、その意味で問題があります。
そうすると、3書面がそれぞれ争訟の場面でどのような意味を持つのか、を考える必要があります。
この点、見積書は基本的には、契約の成立を表す文書ではなく、契約の申込のお誘い(誘引)に過ぎませんから、さほど重要ではありません。もっとも、注文請書の発行されないときは、注文書が契約の承諾を表す文書となり、見積書は契約の申込を表す文書となるため、重要な意味を持ちます。
また、請求書は基本的には、債権額を通知する文書に過ぎませんから、これもさほど重要ではありません。もっとも、場合によっては請求書に催告(民法153条)という法的意味を持たせることがあり、この場合には重要な意味を持ちます。
それから、納品書は基本的には、納品をした事実を通知する文書に過ぎませんから、やはりさほど重要ではありません。もっとも、納品に関するトラブルは、見積や請求に比べて相対的に重要であることを考えれば、軽視も出来ません。
さらに、3書面ともに、法律で一定の様式を求められている場合があります。
そうすると、3書面に共通していえるのは、争訟の場面では、一般的にはさほど重要な意味を持たないものの、限られた場合に重要な意味を持つ、といえそうです。
もっとも、取引実務では、ここまで考えた上で行動することは多くなく、一般的には以上のような取扱いよりも緩い取扱いにしているものです。また、税務でも、契約の成立については申込の書面は重視されませんし、催告の事実や法律上の様式は税務には無関係です。
そうすると、争訟にならない限り、3書面については法人名だけでもそれほど問題にならない、といえましょう。
お礼が遅くなりすみません。詳細でご丁寧な解説で、大変よく分かりました。少なくとも見積書は、必ずしも代取名はなくても問題なさそうだと判断できました。どうもありがとうございましたm(_ _)m。
No.2
- 回答日時:
代表取締役の姓名が記載してあるかどうかが、直接に法的効力に影響することはありません。
姓名が書いてあっても、パソコンでコピー用紙に印刷したような誰でもつくれるものであれば、何の意味もありません。
No.1
- 回答日時:
商取引上、代表者の名前の無い書類は、ねつ造された物としてみられる場合があります。
何かあって、裁判沙汰になった時に代表者の名前の無い書類は、不利になるとお考えください。
ご参考まで
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