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消滅時効について、テキストを読んでも、具体的に理解できないところがありまして、ご教授願います。

「同時履行の抗弁権がついている債権でも、履行期が到来すると消滅時効は起算される。なぜならば、自己の債務を履行して、相手方の同時履行の抗弁権を封じ込めることが可能だから。」

という、内容なのですが、具体例にするとどうなるのでしょうか。
例えば、買主―売主の関係だと、
買主は「物を引き渡さないと、お金払いません」という債権で、
売主は「お金払わないと、物を渡しません」という同時履行の債権があります。
そこで、「自己の債務を履行して相手の同時履行の抗弁権を封じ込める」には、売主側からだと買主に物を渡すことにより同時履行の抗弁権を封じ込めた。ということになる。
ここまでの段階で、私の理解は合ってますでしょうか…

次に、消滅時効の起算ですが、売主の債権は、買主に物を渡した時点から起算するということでしょうか…
でも、これでは、物は渡すわ、債権は消滅し始めるわで、単なる売主の損な話なので、この事例自体が間違った事例な気がします。。。

前述しました、「同時履行の抗弁権がついている債権でも、履行期が到来すると消滅時効は起算される。なぜならば、自己の債務を履行して、相手方の同時履行の抗弁権を封じ込めることが可能だから。」この部分の具体例をご教授願います。

A 回答 (2件)

まず、原則を理解していますか?


消滅時効の起算点は法律上、権利の行使が可能になった時からです。

ところが同時履行の抗弁権が付いていると、相手は履行しなくても違法でない、つまり法律上、権利行使に制限を受けているので原則から言えば消滅時効は進行しないとも考えられるのです。
でもそれはやっぱり変。なぜなら、同時履行の抗弁権というのはこちらも履行義務を果たしていないから相手が主張できるだけの話であって、要はこちらの義務を果たせば相手は主張できなくなるものなのです。ということは、こっちが義務を果たさないから相手が抗弁できるというのは法律上、権利が行使できないというよりは単なる自分の都合で権利行使できないだけしかないわけです。だから、自分が義務を果たせばそれでいいのだから同時履行の抗弁権は法律上の権利障害とは言えないので消滅時効の進行を妨げないということになるわけです(これを当然と言うのは不適当。当然でないからこそきちんとその説明が基本書には載っているのです)。

という理屈を理解した上で、“一般論としての”消滅時効の起算点は簡単に言えば債務の履行を請求できる時、つまり、履行期。同時履行の抗弁権が付いていてもこの一般論と同じになるだけです。ですから、物を渡した時(同時履行の抗弁権を奪った時)から起算するんじゃありません。同時履行の抗弁権を奪おうが奪うまいが既に履行期から時効は進行しているのです。相手が同時履行の抗弁を主張できる状態でも、履行期が過ぎていれば履行期から消滅時効は進行を始め、かつ、進行したままなのです。

つまり、同時履行の抗弁権の存在は“消滅時効の進行に何の関係もない”ということです。
よって、
>消滅時効の起算ですが、売主の債権は、買主に物を渡した時点から起算する
ではありません。同時履行の抗弁権が“関係ない”のですから“物を渡そうが渡すまいが関係ない”のです。物を渡す前でも履行期が過ぎている限りは消滅時効は進行しているのです。

と抽象的一般的な説明をした後でもはや必要があるとも思えませんがあえて具体例を設定してみます。

平成20年9月9日、佐藤と鈴木は佐藤所有の宝石を1千万円で鈴木に売り渡す契約をした。履行期は契約から1ヶ月後の10月9日とし、佐藤宅で代金と引換えに宝石を鈴木に渡すことにした。
ところが諸事情により10月9日に代金と宝石に引渡しが行われず、そのままずるずると1年が過ぎてしまった。

さて、この場合に佐藤の代金請求権と鈴木の宝石の引渡し請求権はいずれも平成20年10月9日から時効が進行しています。両者には同時履行の抗弁権があり、かつ、弁済の提供もしていませんが、それでも時効は関係なく進行しています。これが“同時履行の抗弁権は法律上の障害ではなく、時効の進行を妨げない”という意味。決して、どちらかが弁済の提供をして相手方の同時履行の抗弁権を奪った時から進行するわけではありません。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました。
長文を書いていただくのに、お時間がかかったことと思います。私のために、貴重なお時間をさいていただきありがとうございました。
理解していなかった部分を、ご丁寧に説明していただいたお陰で、よりいっそう理解が深まりました。

お礼日時:2008/09/10 00:05

売主は損ではありません。

自分が履行すれば、相手方は抗弁権が無くなり、履行遅滞に陥ります。売主は履行請求権を得ることができ、さらに契約の解除、損害賠償請求もできるようになります。

つまり、同時履行の抗弁権付きの債権でも、履行期が来れば売主は自分の債務を履行して、買主に対して通常の金銭債権を持っている状態にできますね。逆の場合も似たようなものです。よって、履行期さえ過ぎていれば抗弁権の無い債権と同じ扱いができる(当事者にその気があれば)ので、消滅時効は当然に進行します。

もちろん、消滅時効は履行期が到来した時点から進行します。どちらかが履行したときからではありません。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました!!
スッキリしました!
解除や損賠にここでも繋がっていくんだなぁ…と理解が深まりました。

お礼日時:2008/09/10 00:01

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