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民法575条は、物からの果実と代金の利子を簡易に決済するための規定であり、民法の原則から物は売買契約成立と同時に売主に移転するため果実の収取権は買主に移転する一方で代金の利子徴収権は売主に発生することになるが、これを原則どうり行うと煩雑となるために必要となる簡便法であると聞いております。
この理屈からいきますと、物が果実を発生しないものであった場合には
売主は一方的に契約成立時から代金受取りまでの利子を徴収できることになるのでしょうか?

A 回答 (3件)

>この場合には果実という概念を用いず履行期限とのズレ等は損害賠償として処理する(売主の蒙る損害賠償額は代金の利子相当額となる。

買主の蒙る損害賠償額は履行遅滞による通常損失等となる)

 果実(利得)がなければ,基本的には損害も発生しないのでは?
また,575条は,債務不履行とは無関係な定めですから,履行遅滞を持ち出すのは,考え方がおかしいと思います。

>375条2項は、物に果実が生じているかどうかにかかわらず(つまり1項とは独立して)、引渡しがあった場合には買主は利息の支払い義務が生じると理解してよろしいのでしょうか?

 575条2項前段の話ですね。
 これは,1項で定めた例外から原則に戻っているだけと考えると分かりやすいように思います。

 売買契約がされることによって,代金から発生する果実(利息)を受け取る権利は売主に,物から得られる果実の権利は買主に属するのが原則です。
 これを正確にやろうとすると煩雑であるし,紛争の原因にもなりますから,1項のような例外を設けて,お互い様ということにしているわけです。
 物が引き渡されてしまうと,もう「お互い様」にはなりませんから,原則に戻って代金の利息は売主に属するようにしないと,不公平です。
 そして,この流れは,現実に個々の取引において,物から果実が生ずるかどうかには影響されません。

 1項と独立してというより,1項で「引き渡し前」を定めたので,「引き渡し後」について確認的に定めた条文だと思います。
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この回答へのお礼

いつも論理明快な回答有難うございます。
前提知識に誤りがあったようです。
お陰様で大分整理することができました。

お礼日時:2008/10/31 00:12

 それは,個別の話と制度設計の話を同レベルで考えているために生じる疑問だと思います。



 もともと,個別の事例を考えれば,代金の利息と,その物から得られる果実が,完全に一致するものではありません。むしろ,一致しない方が普通です。
 しかし,No.1の方が書かれたようなこともあり,また個別にその違いを考えるのは非常に煩雑になるので,これを捨象して,お互い様とする方が,全体として見た場合に取引を円滑にすることに有効なため,575条は規定されていると考えられます。

 ですから,物が全く果実を発生しない場合があったとしても,それは双方が得られる果実に差があることの一形態なのですから,575条としては捨象されていて,そのような場合にも例外は認められないということになると思われます。
 双方の果実による利得が10000円と1000円の場合と,100円と0円の場合を比べて,後者だけに例外を認める必要性を認めることは困難ですし,もし例外を認めるとしても,どこまで差が開いたら認めるか等を考えると,575条を定めて簡略化しようとした趣旨が没却されてしまうのではないでしょうか。

 場合によって,事案全体として,あまりに公平に欠けるような状況であれば,個別に信義則などによって,利害の調整を図ることは考えられるかもしれませんが,それは575条の範囲外のことでしょう。

この回答への補足

いつも、論理明快かつ懇切丁寧な回答有難うございます。
なるほど、そのように考えることが出来るのですね。

色々と考えてみましたが、次のような考え方は出来ないでしょうか?

1.まず、物から果実が生じない場合には、通常の仕方で決済する。
  この場合には果実という概念を用いず履行期限とのズレ等は損害賠償として処理する(売主の蒙る損害賠償額は代金の利子相当額となる。買主の蒙る損害賠償額は履行遅滞による通常損失等となる)


2.物から果実が生じる場合には煩雑となるため簡便な処理を行うことにする。
  しかし、そのルールを見出すためには、物からの果実を問題にする  以上は、物権変動のそもそも論から初め(契約成立時に物権は移転している)、また代金の果実たる利子を考慮しないことには公平に欠ける。
  (買主が蒙る履行遅滞による通常損害等(果実徴収権以外)は別途に考えなくてはならない??)
  

575条は上記の2.の場合を規定していると考えれば、物から果実が生じない場合を考える必要はなかったということになります。

補足日時:2008/10/26 00:18
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この回答へのお礼

既に頂いた回答は20満点の内容であるにもかかわらず、私の飲み込みの悪さのために長々とお付き合いいただきまして有難うございます。
もう一点、質問をさせていただきます。
375条2項は、物に果実が生じているかどうかにかかわらず(つまり1項とは独立して)、引渡しがあった場合には買主は利息の支払い義務が生じると理解してよろしいのでしょうか?

お礼日時:2008/10/28 11:42

少数説ですが・・・。


物を売ったときから所有権は買主に移ります。しかし、物によってはいきなり移転されても困る場合もあります。
そうすると、売主としては自己の物と同じくらいの注意義務ですむのですがそれでも負担には変わりありません。
そこで、引き渡すまでの果実を売主に渡す本条が出来たのです。まあ、公平の原則??みたいなものでしょうか???
結論ですが、代金受け取りまで、とありますが法的性格から言って利子を徴収はできません。それは、履行遅滞が生じた場合は物権の話であって債権は生じない、つまり売買代金は買主から来るものですからそれに従たる権利の利息は債権から生じるものだからです。つまり債務者たる売主が物を引き渡す義務が債務で債権ではないので利子は生じない・・・という感じです。

この回答への補足

回答有難うございます。
非常に興味深い回答です。
参考資料をご紹介頂ければありがたいです。

補足日時:2008/10/24 21:44
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