この人頭いいなと思ったエピソード

ポリマー(高分子)化学についてはまったくの素人ですが、仕事上必要となり調べています。PMMAはポリMMAのことらしくMMA(名前は長い)が重合しているとか。PMMAはアクリル板の材料素材のようですが、粉末のPMMAを溶媒に溶かし、ある濃度の溶液を作る必要があるのですが、文献に拠りますと濃度の単位ははM(モーラー:モル パー リットル)となっています。ポリマーとはずっと鎖のように繋がったものと理解していましたので、ポリマーの分子量という意味がよく分かりません。ポリマーの分子量はどのように定義されていますか?また、ある文献にはPMMA-950Kとか書かれていますが、何のことか教えてください。また、ある文献には平均分子量なる用語が出てきましたが、これの定義もついでに教えてください。

A 回答 (4件)

前に書いたようにポリマーサイエンスの分野では、ポリマーを溶媒に溶かす時にモルは決して使いません。


工業の分野でも、メーカーが分子量をグレード名に採用している例は知りません。
PMMA 950k はアメリカ OLION Corporation のグレード名です。正式には PMMA 950K Resist 9% となっています。
MSDS(材料安全データシート)では製品名 OCG 609 5.4CS となっており、当然ですが分子量の記載はなく、
PMMA単品ではなく有機混合組成物としてあります。

PMMAは重合度(ポリマーの長さに相当)が 10,000~15,000 でモノマー
の分子量が100ですから、ポリマーの一般的な
分子量範囲は100~150万となり、950Kはまだしも同社の496kは低すぎます。ポリマーの分野でしかもメーカーが
分子量を3桁の有効数字で表示することはまず考えられません。
従って低分子量グレードの目安表示の可能性は残りますが、メーカーが顧客に責任を持って開示している分子量ではありません。

もう一度文献を見直して、溶質ポリマーの量を決めてください。
光感光または基盤コーティング硬化材の実験を始められたのかと推察しますが、この分野で数点の英語文献に目を通しましたが、
溶液濃度はほぼ全てが%、つまり(重量/体積または重量/重量)です。

ご参考までにOLIN社のMSDSのリンク先を貼っておきます。

参考URL:http://www2.itap.purdue.edu/msds/docs/9864.pdf
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この回答へのお礼

再度、丁寧な説明ありがとうございました。僕もインターネットでいろいろあたって見ましたが、950Kについてはまだはっきりとはしていません。おっしゃるようにOlin Corporationを見てみましたが、いまでもその製品が生産されているのかは疑問です。もう一押し調べてみます。もし、なにか分かりましたら、よろしくお願いします。ありがとうございました。

お礼日時:2009/03/17 08:25

丁寧な補足ありがとうございました。


ナノテクノロジー関連とのこと。新しい分野では、単位も古典的な世界とは異なる使われ方も有るのかな~と思いました。

スピンキャスト、懐かしい響きです。
膜厚調整のトライ&エラーが続くと思います。
アドバイスは、2つ以上のパラメーターを同時に変えないようにしてください。
例えば、RPM一定で、濃度を変える、これはという濃度を見つけたらRPMを変えてみるです。
2つ同時に変えると因果関係が見えにくくなるからです。
ポリマー溶液は濃度を変えると、流動性が大幅に低下します(一般論として)から、注意してください。

実験の成功を祈ります。
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この回答へのお礼

drmuraberg さんにはたいへんお世話になりました。パラメータはご指摘のように1次元ずつOptimizeしていきます。ここらあたりで、ひとまず質問を閉じようかなと思います。ありがとうございました。

お礼日時:2009/03/24 16:37

>PMMA-950K



平均分子量(Mw?)95万のPMMAということでは?
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この回答へのお礼

僕も平均分子量が95万のPMMAということではないか思います。そう仮定して一度やってみます。ありがとうございました。

お礼日時:2009/03/16 04:56

言われる通り、ポリマーはユニットとなる小分子(モノマーと言う)が繋がって大きな分子となったモノで、スパゲティの様な形状


をしています。
スパゲティは同じ長さですが、折れたモノが多いときは「平均」でその長さを表すことができます。
ポリマーを作る時には、モノマー同士が結合する反応のスタートと停止が確率的に起こるために、
反応でできあがったポリマーの長さ(大きさ)にはバラツキが有ります。それで大きさを「平均分子量」で表します。

平均分子量には、浸透圧等の溶媒に溶けた分子の「数」の測定から得られる「数平均分子量、Mn」が有ります。これは
モノマーの大きさ(重さ)/反応モノマー数/できたポリマー数が
2/10/2と2/20/4と2/30/2の8本のポリマー分子が混ざっている
時には
Mn=((2x10)x2+(2x20)x4+(2x30)x2)/(2+4+2)=320/8=40となります。
ポリマー分子の数で割っているので「数」平均と覚えてください。

ポリマーを溶かした溶液から散乱される光を測定し分子量を求める時には「数」の他に「重さ」も効いてきます。
これは「重量平均分子量、Mw」で表されます。
Mw=((2x10)^2x2+(2x20)^2x4+(2x30)^2x2)/((2x10)x2+(2x20)x4+(2x30)x2)=1440/320=45 です。
ポリーマー全部の重さで割るので「重量」平均と覚えてください。

この他に、溶けたポリマーの溶媒中での動きに関する「粘度平均分子量、Z平均分子量とも言われるMz」もあります。

Mn<Mz<Mwの関係が有り、Mw/Mnを分子量分布の目安として使います。Mw/Mn=1なら、全てのポリマーの長さ(大きさ)が同じに
なります。この比が1に近いポリマーも最近は合成されています。分子量の測定は、ゲルパーミエイショングロマトグラム
(GPC)で簡単にできるようになってきており、測定曲線からMnとMwの両方を計算で求めることができます。

しかし、ポリマーは分子量が平均値でしか表されないため、1モルのポリマー=6x10^23個のポリマー分子=モル分子量という表現は
使いません。実験でポリマーを溶媒に溶かす時の単位には(g/dl等の重さ/体積、場合により重さ/重さ)を使います。

従って、文献のM(モル パーリットル)はとても奇異な感じがします。ポリマー以外の添加剤か何か他のモノを
さしているのではないでしょうか。文献を見ない限り断定はできませんが。

PMMA-950Kは業界や製品提供メーカの符号ではと思います。サイエンスの分野では見たことは有りません。

この回答への補足

回答を頂いて何日か経ちますが、今はトライ・アンド・エラー風に実験をして試しています。重合度が10,000-15,000とのことでしたので、モノマーの分子量が100gとして、100x10000g/L を「1M」として、1.9x10^-5M が参考論文での濃度でしたので、19g/L となり、0.19gのPMMAを10mLに溶かして、spin-coating で3000RPMを使ってPMMA膜を作ってみたところ、AFMでの測定の結果、約570nmの厚さになりました。ただし、PMMA-950kという商品名のPMMAは使っていません。論文では、20-120nmぐらいの膜厚ですが、spin-coatingのRPMの指定がないので、まあまあといったところです。少し(5-10倍ぐらい)薄めてやれば、どうにかいきそうです。ちなみに、参考論文はNature,Nanotechnology, Vol 1, p.126-129 (2006) で Method はp.129の下欄にあります。報告まで。返答は特に結構ですが、もし何かありましたらよろしくお願いします。つたない研究者です。ありがとうございました。

補足日時:2009/03/24 02:07
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この回答へのお礼

たいへん丁寧な説明をありがとうございました。「PMMA-950K」については自分でももう少し調べてみます。モノマーの分子量でのモル濃度で溶媒に溶かした場合かなり薄い溶液になりますが、もし平均分子量が950Kとして一度やってみます。ありがとうございました。

お礼日時:2009/03/16 04:51

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