No.1
- 回答日時:
当面は不法行為でしょう。
しかし、損害は債務が支払われることが固まらないと発生しないかな。担保の毀損による期限の利益の喪失条項があるだろうから、それを使って、まずは取り立てですな。
No.2
- 回答日時:
詳しいことがわからないのでなんともいえませんが、この場合抵当権設定者(債務者)が債権者(抵当権者など)を害することを知ってした法律行為でしたら「詐害行為」も関係してくるのかとも思います。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
>時々区別がつかなくなります。
見分けるポイントってありませんか。これ一般論?
だったら、要件論で要件を満たすかどうかを考えればいいだけで、「見分ける」必要はないよ。 両 方 成 立 す る こ と も あ る し、片方だけの場合もあるけど、そ れ ぞ れ 別 の 制 度 だから「見分ける」必要などなく単にそれぞれの要件を満たすかどうかだけを考えればいいの。だから基本的には両方の可能性を常に考える必要があるんだ。
区別が付かなくなるのは、それぞれの要件をきちんと理解していないからだよ。だからまずはそこからだ。
んで、債務不履行かどうかを論じるならそもそも契約に基づく債務があるのか?が大前提だね。不法行為はそれが不要。
債務不履行の要件は、
契約に基づく債務があって、
履行期が過ぎているのに
正当な理由もなく
その債務の本旨に従った履行をしない
場合だね。本来は、債権の効力に応じて個別に要件を検討するべきなんだけど、とりあえず傍論なので大雑把にこの程度の理解でいいや。
一方、不法行為の方は、
故意または過失により、
法律上保護すべき他人の利益を侵害して
そのせいで
損害を与えたが、
違法性を阻却する理由も
責任を阻却する理由もない
場合だね。
注意して欲しいのは、債務不履行では「損害」の発生は必ずしも要件じゃない。債務不履行は債務の本旨に従った履行をすることが原則的な義務なんだから損害が発生しなくてもその義務を果たさない限り債務不履行になる。賠償請求権の発生には損害が必要だけどね。債務不履行の効果は、幾つかあるからその効果ごとに要件が若干違ってくることは要注意だ。さっき言った「債権の効力に応じて個別に要件を検討するべき」という話だね。
ここまでを前提に考えてみる。
さて抵当権について考えてみよう。まず抵当設定は抵当権設定契約という契約でやるわけよ。すると契約はある。ところがこの抵当権設定契約というのはおそらく異論はないと思うんだけど物権契約と理解するのね。物権契約というのは物権の設定変更を直接の目的とする契約で、契約の効果として 債 権 債 務 関 係 を 生 じ な い ものなの。だから債権債務関係がないの。そうすると、抵当権設定契約自体から直接債務不履行が生じるということはないのね。だから、抵当権設定者が抵当権者に負う義務というのは、基本的に抵当権設定契約という 契 約 上 の 義 務 で は な い わけね。
じゃあどういう義務なのかと言えばこれは抵当権という物権を負担することで生じる法定の義務なわけ。見方を変えれば、抵当権者が権利を有するその裏返しとして抵当権設定者は義務を負担するって言ってもいいわけ。だから、債務不履行の問題ではなくて抵当権侵害の問題として物権法の領域で対処することになるわけ。典型的に言えば、期限の利益喪失(137条2号)と増担保請求の問題だね。
ところで増担保請求には実は条文がない。だけど、抵当権設定者が故意過失で抵当目的物を毀滅した場合には通説的には増担保請求は特約がなくても認められる。
結局、抵当権設定者は抵当権を負担する以上、債権じゃなくて物権的負担として抵当目的物の保存義務を負うのね。
一方、不法行為はと言えば理論的には常に成立しうる。
第三者による抵当権侵害と抵当権設定者自身による侵害とを区別する特別な理由はないから、第三者に不法行為が成立するような場合には抵当権設定者自身による抵当権侵害は不法行為となり得ることを認めて差し支えない。抵当物の毀滅により抵当権が被担保債権を担保できなくなれば損害があるわけだから、他の要件を満たす限り、それが第三者によるものであると抵当権設定者によるものであると不法行為の成立を認めて差し支えないってわけ。
ところが理論的にはそう言えるんだけど実際にはこれはたいした意味がない。
まず第三者による抵当権侵害の場合には、そもそも抵当目的物の所有者が不法行為による損害賠償請求権を取得するわけだ。だからそれに代位すればいい。それで十分なんだから抵当権者に固有の損害賠償請求権を認める必要はない。特に抵当権者が複数いたりすると話がややこしくなるだけだからね。
とすれば、同じく抵当権設定者による侵害も認める必要がないんじゃないか?そこで考えてみる。そもそも抵当目的物を毀滅して担保価値が減少するなら、増担保請求すればその損害は回復できる。もし増担保請求できない場合でも抵当権を実行すればいい。抵当権実行して回収できない分の被担保債権が無担保の債権として残るんだけど、不法行為による損害額というのはこれでしょ?と言うことは不法行為による損害賠償請求権の内容は結局、被担保債権のうちの抵当権によっては回収できずに残額として残る分と同じなわけね。だったらこの残額について不法行為による損害賠償請求権を認めてもしょうがないよね。どうせ一方しか請求できないんだし。だったら、認める実益がないわけ。
ということで、抵当権侵害に対しては、抵当権者には直接的に不法行為による損害賠償請求権は生じないってのが通説的な理解。
ということで結論を言うと、
>抵当権設定者が抵当権の目的物を故意に滅損させたら債務不履行、それとも不法行為のどちらなのでしょうか?
どっちでもないというわけ。抵当権の効力として物権の範囲内で考える問題だというわけ。
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