憲法前文に
「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した」
とあります。
この「公正と信義に信頼して」の中に出てくる「に」は、どういう用法でしょうか?
個人的意見では、広辞苑ー助詞「に」、に載っている、動作作用のある状況~云々に該当するのではと思っていますが、どうも確たる自信がありません。
ちなみにその項には、例として万葉集の「月読みの光に来ませ~云々」の歌が挙げられています。
前文の例で、「公正と信義を信頼し」のように「を」を使うとすると、未来の「公正と信義」を信頼する、という意味になるかと思います。これからの~を信頼する、と。これに対して「に」にした場合は、現状にも視点が向いているというか、事実と認識しているというか、そういうニュアンスが感じられますが、いかがでしょうか?
A 回答 (5件)
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No.1
- 回答日時:
信頼するものの対象とは平和を愛する諸国民の公正と信義ですから、
にもをも使えると思います。
ただ先に平和を愛すると云う言葉が入っていて、対象を示すをが使われているので、
次に来る助詞をににしたまでだと思います。
この回答への補足
確かに、同じ用法ができる助詞があるのなら、重複をさけて違うのを使うのがスマートですね。
ただ、「に」も「を」も使える、ということですが、文法的な説明をきかせて頂けませんか。ただ対象があるからの一言ではちょっと納得がしにくいです。動詞が対象をもっていれば無条件にいつも「に」が使えるわけではないですし。例)ご飯に食べます。
どこがしかのリンクでもなんでもいいですので、説明をよろしくお願いします。
No.2
- 回答日時:
一つは「平和を」がありますので、重ねて“を”を使用する事を避ける。
もう一つは“に依拠して”という意味をもたせています。“依拠する信頼の仕方”という意味です。
この回答への補足
> 一つは「平和を」がありますので、重ねて“を”を使用する事を避ける。
前の方もその点指摘していますが、「を」の連続使用の非推奨について説明している文法書があるのでしょうか?国語の教科書とか。あれば当たってみたいので、教えてください。
もう一点、その重複させないルール?は、代替候補がある場合に適用する、という認識でいいんですよね?
というのは、該当箇所のすぐ直前のフレーズでは、「人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて」のように、「を」を平然と重ねて使っていますし、
憲法本文に進めば、「普通教育を受けさせる義務を負ふ。」など、「を」が重ねて使われている場面が沢山ありますので。
No.3
- 回答日時:
英文(原文?)を見ると、
'trusting in the justice and faith
of the peace-loving peoples of the world'
となっています。これを訳すと、
「世界の平和を愛する諸民族が現に
持っている公正さと誠実さを信頼して」
とはならず、
「世界の平和を愛する諸民族が
公正であり誠実であるということを信じて」
となります。そうすると、ここの「~に信頼して」は
「~に期待して」といった意味合いになるので、
ここの「に」は「~に会う」「~に決める」と同じ
「対象を指定する」の「に」ということになると思います。
この回答への補足
質問欄での表現が不十分でしたのでしょう。私も主に「~に期待して」の意味が一番強いというのは同意見です。たださらに細かい「に」のニュアンスが気になっているだけです。
それと、英文に触れるのなら、
we have determined to preserve our security and existence, trusting in the justice and faith of the peace-loving peoples of the world
であり、分詞節は付帯状況ですから、have determinedの時に既にtrustしていた(時間的に同時)、そして、trustは「信じて」(believe)と日本語で表されるニュアンスよりももっと強い「信頼」、さらに、of peoples をpeace-lovingがわざわざ冗長に修飾しているので、このpeoples は現実のpeace-lovingな人々を想定しているともとれる、という風に解釈できるのではないでしょうか。
(この回答への補足 の続きです)
ただ根拠無く「信じている」のではなく、現実にそうであると想定しているようなニュアンスである、かもしれない、と私が主張している理由は、憲法の前文のこの部分が日本国憲法の平和主義を宣言しているからです。つまり、諸外国が皆友好的で公正と信義があるから、戦力を持つ必要はなく、一切放棄します、と宣言しているのですから、現実にそうであるという想定なしではこの宣言はできないだろう、という文脈を汲み取っての主張です。
「を」の代わりに「に」を使うことでそんなニュアンスの一部分でも出せているのか、それとも「に」=「を」なのか、という質問です。
No.4
- 回答日時:
ANo.2なるほど。
ご指摘ありがとう御座います。“を”を重ねているところがありますね。理解できる重ねですが、私は今はこれにお答え出来ません。
“を”や“に”を重ねると何がどこに繋がるかの明示が読み手に投げられてしまいますね。
そういうことは法律の文章としては望ましくないと存じますが、憲法本文の義務教育がどうのの場合はそういう虞れはないようですね。
日本文に鋳直すときに精錬が不十分であったかもしれませんね。
重ねることの法則などについては特にないと存じますが、一つは姿がいいこと、一つは読み手が困らない事、もう一つは同じ事の側(がわ)の違いからの事ですが、きちんと伝わる事ではないですか?
学理に基づかず、不十分ですがお許しください。
No.5
- 回答日時:
'trusting the justice and faith' ではなく、
'trusting in the justice and faith' となっていることから、
この憲法は現実に諸民族に公正と信義があると認識した上で
それに依拠しているのではなく、公正と信義があるということも
前提とはしていないということが言えます。
つまりそれは、現在あるいは未来のある時点で世界の諸民族に
公正と信義がないと客観的に判断される事情が発生しても、
この憲法が求める平和主義はその根拠を失わないということです。
この憲法を起草した人たちは、'trusting~(~を信頼して)'
ではなく 'trusting in~(~に信頼(期待)して)とすることにより、
不確定な現状や未来像に根拠を置くことなく、
この憲法の崇高な理念に普遍性を求めたのだと思います。
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