「これはヤバかったな」という遅刻エピソード

度々お世話になっております。法律を勉強中の学生です。

さっそく質問なのですが、判決文でよく「(原告の)被る不利益は法的なものではなく、事実上のもの」のような文がありますが、法的or事実的の判断基準がよく分かりません。具体的にはどのようなものが法的な不利益で、どのようなものが事実的な不利益なんでしょうか。教えていただきたいです。

A 回答 (2件)

非常に簡単である。

明確な基準など存在しないし、するはずもない、である。

判決でよく出てくる「法律上の利益」とは法的保護を受けるに値する利益のことであり(法律上の利益に対して受ける侵害が「法律上の不利益」である。以下同様。)、「事実上の利益」とは「法律上の利益ではない利益」であるが、これは単なるマジックワードに過ぎない。つまり、「その利益に対して実際に法的保護を与えるのが妥当かどうか」という事例の評価に関して保護すべきであるという評価になれば、「法律上の利益」と表現するし、そうでないならば(法律上の利益ではないという意味で)「事実上の利益」と表現する、ただそれだけのことなのである。即ち、何も具体的な説明はしていない言葉なのである。であるから、それを具体的に説明するのは不可能なのである。逆に言えば、具体的に説明できないから使う表現なのである。
実際問題として社会事象をすべて網羅して一刀両断に区別できる基準など存在しない。だから、それを説明などできないのである。そこで、その裁判時の社会通念、法律の趣旨、法的保護の必要性などなど様々な事情を総合考慮した上で、裁判官が法的保護に値すると評価すれば判決文では「法律上の利益」と表現するのであり、そうでなければ「事実上の利益」と表現するというだけのことというわけである。

かつて司法修習生が「事実認定についていい参考書はありませんか?」と教官に尋ね、教官が愕然としたという話があるが、事実認定は証拠の評価によるものであり、これは事例判断なので画一的に決めることなどできないのである。
これと同じで、「事実の評価の結果である法律上か事実上かの判断」を画一的に決める基準など存在しないのである。
よって、法律上か事実上かの区別は、その事例ごとに訴訟に現れたすべての事情とその当時の社会通念即ち一般的価値観に従うという程度の抽象的な基準はともかく、具体的な基準など存在し得ないのである。

もっとも、判例が集積するとある程度一定の方向性は見えてくる。その一定の方向性をもって判断基準と呼ぶことはできる。しかし、それを理論的に具体的な基準とするのは、相当数の判例の集積と長年の研究が必要であり、また、仮に基準ができてもそれはすべて条件付き、言い換えれば、射程の限られたものであるから、条件や射程を決めずに具体的基準を示すことはやはり不可能である(なお、これは自然科学でも同じである。条件のない自然科学理論は存在しない)。
条件が存在しないのは、神の領域、つまり宗教の世界だけである。
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この回答へのお礼

>具体的に説明できないから使う表現

なるほど。決定的な判断基準がないことに少し納得できました。
ありがとうございました。

お礼日時:2011/12/06 14:18

こんばんは。



もっともなご質問ですが,実は長く法律を勉強した私にも明確に説明できません。

要は「法律上保護される利益」(民法709条等)は反対利益をも犠牲にしてまで保護すべき重要な利益で,「事実上の利益」とか「反射的利益」とかは,そこまでは重要とはされない利益という量的な違いではないかと思います。そして,時代が進むにつれてそれまで事実上の利益や反射的利益とされていたものが法律上の利益とされることもあります。(たとえば「小田急線訴訟」:最高裁平成17年12月7日判決参照)

いずれにしても,形式的な判断基準はないと考えておかれたほうがよいと思います。
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この回答へのお礼

やはりこれといった判断基準というものは無いのですね。法律難しいです。
回答ありがとうございました。

お礼日時:2011/12/06 14:14

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