太田久紀先生の書かれた仏教の『唯識論』を読んでいます。
結局、『人間の認識のしくみ』、『存在の空無性』、『私達の深層に潜在する利己性』などへの省察と自覚を深めていくことが大事だと書かれています。
『人間の認識のしくみ』や『私達の深層に潜在する利己性』については、本に書かれている説明で大体分かったのですが、『存在の空無性』については、全ての存在がやがて消滅して行くことは分かりますが、でも、存在している間は決して空無ではなく現に存在しているのですから、「依他起性」であるにしても、一応、それなりの存在形態で存在しているのだから、それを空無だと言われても、なんだかピント来ません。
「存在の空無性」とは「依他起性」のことを言っているのでしょうか?
それとも、もっと別のこと、例えば、本当に「存在自体が空であり無である」と言っているのでしょうか?
もし、「存在自体が空であり無である」と言っているのだとしたら、どうしてそう言えるのでしょうか?また、この事について、もう少し詳しく、分かりやすく解説している書物などがあれば、教えて戴けるとありがたく思います。
どうぞよろしくお願い致します。
No.3
- 回答日時:
「存在とは突き詰めれば無である」という言明に対する
最大の抵抗感は、『だって、このように有るじゃないか』
という感覚的な実感によるものである。
しかし、冒頭のような結論に到達した人間も、決して
世の中に反逆しようとした訳ではなく、その「自然な
実感としての存在感」をより正確なものにしようとした
結果なのである。
1つには、そうした「存在感」の実体が、“自分とは
独立した外的な物体”ではなく、感覚器官表面での
量子相互作用パターンに過ぎない(五感の相関した
経験の蓄積に於て、聴覚や視覚パターンなど先行感覚
に対して「味覚や痛覚といった生理的な感覚」が結び
つけられた(遠くに至った時にどういう生理的感覚が
得られるか)にものが、空間的広がり)。
そうした仮説的な時空的において、原点であるべき
感覚主体が有限な広がりを持つ事で、仮説的相補分化
(=先入的本質性の無さ)が明らかとなる。
2つ目は、それに対して、そうした“感覚により描か
れる存在性は、「認識性とは独立した外的な実体」を
なぞったもので、『外的な実体』はその向うにある”
という反論がある。
しかし、その「外的な実体」を正確に分析すると、
量子論の不確定性原理に行き当たり、本来「存在」の
意味する“位置と運動量”、“質量と時点”といった、
性質を兼ね備えたものではなく、例えば運動量を完全
に確定すると、その「性質」に実体を与える「位置」
が無限不確定になる(どこにあるか不明)、即ち、
「存在=有限な性質を兼ね備えた実体」というものは、
対象の本質を確定せず、階層現象的な表面をいい加減
に捉える事で派生するものなのだ(ここにも認識性が
介在する)。
確かに目の前の「コップ」は存在するようだが、その
コップという物体自体は存在せず、珪酸などの分子の
並び方(並び方によっては石にもなる存在)に過ぎず、
その分子は更に珪素や酸素といった原子の並び方、
原子は素粒子の‥‥といった階層現象化のくり返しの
果てに、量子=不確定性原理のみに還元される。
このように、我々の日常的実感の、いわゆる「素朴唯
物論」は、相対性理論が我々の日常レベルの運動では
ニュートン力学で近似できるようなものに過ぎない、
というのと同様な結論に至るのである。
ご回答、ありがとうございます。
仰っている事は理解出来ますが、納得までは行きません。
確かに、「外的な実体」を正確に分析すると、素粒子の組み合わせに行き着くのでしょうが、でも、それら素粒子の結び付き方いかんで、様々な違った物質が出来あがり、実際に存在しているのですから、素粒子が結び付いた結果として現に存在している物質は、それらを構成する素粒子と同じとは言えないと思うのです。
仮に、いつかは消滅するとしても、消滅するまでの間は、現に存在しているのですから、それが無であるとは、とうてい思えません。
「空」や「無」の定義にもよりますが、・・・。
また、「存在感」の実体が、“自分とは独立した外的な物体”ではなく、感覚器官表面での量子相互作用の結果だと言うところまでは理解出来ますが、その相互作用の結果を受領する目に見えない何物かが存在しているから、その刺戟が認識されるのではないかと思えるのです。
ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
こんにちは.浅学ながら回答にのぞみます.
>本当に「存在自体が空であり無である」と
言っているのでしょうか?
◇いや,そうではないと思います.
生と滅を繰り返すがゆえに,無常である.
ということではないでしょうか.
参考になるかどうか保障はできませんが,
読んでみてください.
―――――――――――――――――
◇◇バガヴァッドギータより引用◇◇
この宇宙に二種の存在がある
それは必滅のものと 不滅のもの
物質界の万物は無常にして必滅であり
神霊界のものはすべて常住不滅である
これら二つのものを超越して
至高の大霊が実在する
それは至上我 不死不滅の主自身であり
宇宙三界に入って全てを支えている
◇◇引用おわり◇◇
―――――――――――――――――――
丁寧なご回答、ありがとうございます。
>生と滅を繰り返すがゆえに,無常である.
ということではないでしょうか.
↓
「空」や「無」が、そういう事を指しているという事なら、納得できます。
「バガヴァッドギータ」は友人に勧められて買ってはあるのですが、少し読んであとは積読になっていました。
この際、もう一度、じっくりと読んでみようかと思います。
ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
すべての存在は空であり無です。
あなたも存在し机も存在しています。
しかし、それは幻なんです。
幻として存在していて実体がないんです。
仏教で言う諸法無我です。
色は存在しますか。あなたには色が識別できますが
色は存在しません。光の波長の違いがあって
それを目で捉えて脳に送って色だと判別しています。
つまり、脳が色というイメージを勝手に作っているだけなんです。
詳しくは「ものぐさ精神分析」を読むことを
お勧めします。
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1 …
この回答への補足
折角のご返事ですが、私には、仰っている内容が難しすぎて、良く分かりません。
存在が「幻」だと言うなら、その「根拠」を教えて戴きたかったのです。
なお、「色」のお話は、ネーミングの問題で、今私が問題にしている「存在論」ではなく、「認識論」のお話のように思います。
失礼致しました。
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