こんにちは。
刑事訴訟の自白についてお聞きしたいことがあります。民事訴訟法では、権利自白という用語があり、原則として、法律上の自白は成立しないとされているようですが、刑事訴訟法の場合はどうなんでしょうか?例えば、過失の内容として、新過失論からは、結果予見義務と結果回避義務によって過失が構成されているようですが、供述調書とか被告人質問で、一般的に見て予見できないようなこと(高速道路を運転中、上から人が降ってくるような場合)でも「そのようなことも予見できたかもしれない」と言ってしまったら、当該供述者には予見義務がありと判断されるのでしょうか?
つまり、予見義務や回避義務があるか否かというのは、同人がそのような義務があることを認めていると発生し、過失と言われてしまうのか、認めていたとしても、客観的事実から判断して、そのような予見義務や回避義務がないと判断されれば、過失が否定されるのかどちらなのでしょうか?初歩的な質問かもしれませんが、ご教授ください。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
刑法理論と訴訟法を混同しているような
感じを抱きました。
予見義務があるかどうかは、行為者の自白で
決まるものではありません。
行為者が予見義務がある、と思っていても
客観的に見て、予見義務が無ければ過失には
なりません。
これは、幻覚犯の一種でしょう。
それから予見可能性ですが、これは予見義務が
あることを前提に、判断されます。
客観的に見て予見可能性が無ければ、構成要件
該当性や違法性を欠きます。
主観的に見て予見可能性が無ければ、責任が
阻却されます。
この回答への補足
ありがとうございます。
結果予見ができたとか、回避ができたとかいうのは、あくまでも法的な評価ということで、その可能性を基礎づける事実が重要ということで良いのでしょうか?
裁判では、横断歩道上を歩行者が渡ろうとしていることを認識していたとか、前の自動車がウインカーをだしているところを見ていたとか、裁判ではそういう事実を認定するのが重要であり、そのような事実は証拠で認定することが必要であり、そのような事情が判断されれば、あとは、予見可能性とか回避可能性とかを裁判官が判断するという理解で良いのでしょうか?そして、「予見できた」とか「回避できた」という供述は、法的評価を供述しているに過ぎず、事実を供述している訳ではないから、あまり意味のない抽象的なことを言っているに過ぎないという理解で良いのでしょうか?
No.2
- 回答日時:
過失犯における注意義務は、通常一般人の注意能力を基準とした客観的注意義務とするのが判例通説です。
そうしないと注意深い人、危険予測能力が高い人ほど注意義務が増えてしまい、逆に注意力のない人ほど過失が認められにくくなってしまいます。
空から降ってきた人を車ではねた人が「自分は非常に心配性なので、空から人が降ってくることもあるかもしれないと思っていました。」と供述しても、通常一般人にそんな予見し得ないことは明らかですので構成要件的過失は認められません。
質問主様が述べておられるような過失論は「新新過失論(=危惧感説)」近いと思います。
少しでも「99.9%あり得ないけど、万に一つくらいは何か危険があるかもしれない・・・」と思おうものなら、「結果予見はできた」と言ってしまう理論です。
そりゃさすがに過失の範囲を広げすぎ、ということでほとんど支持されていません。
行為者に過失の責任を負わせる以上、ある程度の具体的、現実的な予見可能性は必要だと思います。
No.3
- 回答日時:
民事訴訟における自白(民訴179)の効果は、主として自白事実について証明が不要になるということであるのに対し、刑事訴訟における自白は、その自白の証拠能力が認められるかどうかの問題です(憲法38条3項、刑訴319条)。
つまり、
民事訴訟では、事実について自白→証明不要、となるのに対し
刑事訴訟では、事実について自白→自白事実についての証明は必要、そして自白を証拠とできるかどうかは別途検討が必要
となります。
よって、質問者様のいうように、過失について証明が不要になるわけではありません。
この違いは、民事訴訟が私的自治の尊重に重点を置くのに対し、刑事訴訟が真実発見に重点を置くことに由来するものと思われます。
No.4
- 回答日時:
論点を二つに分けよう。
一つは、刑事訴訟法において民事訴訟法で言う権利自白に相当する自白はいかなる扱いとなるか。
もう一つは、刑事における過失の有無はいかに判断するか。
まず前者の結論を言えば、民事と同じと思って間違いない。つまり、民事訴訟で言う権利自白の拘束力は刑事訴訟においても認められない。しかしそれ以前にそもそも刑事訴訟においては「事実上の自白にすら拘束力がない」のである。民事訴訟においては、事実上の自白は弁論主義の第2テーゼにより、当事者及び裁判所を拘束する。つまり、「証明を要しない」。しかし、刑事訴訟は「公益目的である」から、当事者の自由な意思により処分することができる私法上の権利に関する紛争と異なり、自白による拘束力を認めることはできない。つまり、「自白の証明力が問題となりうる」。自白があっても裁判所がその自白に疑いを抱けば、自白と異なる事実認定ができる。つまり、事実上の自白にすら裁判所に対する拘束力を認めることはできないのである。
自白の内容によっては、それが例えば訴因につき自認に当たれば簡易公判手続をとることが可能になるなどの一定の手続き上の効果はあるが、それでもその自白は裁判所を絶対的に拘束はしない。
つまり、民事訴訟で権利自白が問題となるのは、事実上の自白に拘束力があるからである。事実上の自白に拘束力のない刑事訴訟では、ましてや権利自白など問題にならないのは理の当然なのである。民事と刑事とでは「自白の効果が異なる」のである。
さて、次に後者であるが、質問の主題ではないし、きちんと読んではいないが適切だと思われる回答も既にあるので、あれこれ言うまでもないだろう。
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