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宿主とキャリアの違いは何ですか?
例えば、エボラウィルスに感染したが、潜伏期間を過ぎても発症しない人がいた場合、その人は宿主と言えますか?
また、その人は感染源となり得るでしょうか?
また、ワクチンにより免疫を獲得した人は、ウィルスに感染しないので、感染源となり得ないと言えるでしょうか?
よろしくお願いします。

A 回答 (2件)

 獣医師でウイルスに専門知識を有します。



 「宿主」とはその病原体が感染している個体のことを意味します。
 「キャリア」とは、その病原体を他個体に感染させ得る状況にある個体を意味します。直訳すれば「持ち運ぶ者」ですから。

>例えば、エボラウィルスに感染したが、潜伏期間を過ぎても発症しない人がいた場合、その人は宿主と言えますか?

 本当に感染したのなら宿主と言えます。ですが、本当に感染したのでしょうか?
 エボラ患者と接触しても感染は成立しなかったかもしれません。
 ウイルスに暴露後、潜伏期間を経て発症すれば、その人は確かにあの暴露の時に感染したのだ、と推測することができますが、発症しなかった場合は感染しなかったのか感染しても症状が出なかったのか、この時点では確認する手段がありません。(もう2週間ほど待てば抗体が上がってくるので判りますが)
 なので、「確かに感染した」という確証がない状況では、この時点でこの人を宿主と断定することはできません。

>また、その人は感染源となり得るでしょうか?

 上の回答からの流れになるのですが、「感染したか否か」が判らなければ感染源となり得るかどうかも判りません。
 感染していれば、症状は出ないまでもウイルスは保有している可能性があるので、感染源となり得る、と言えます。この場合はこの人は「キャリア」でもあるわけです。

>また、ワクチンにより免疫を獲得した人は、ウィルスに感染しないので、感染源となり得ないと言えるでしょうか?

 疾病によります。
 麻疹や水疱瘡など、ワクチンによってほぼ完全な感染防御能を獲得できる場合は、「ウイルスに感染しないので感染源とはなり得ない」と言えます。
 対してインフルエンザのような感染防御能を獲得できない疾病の場合は、ワクチンを接種した人も感染してウイルスを保有する可能性があります。つまり感染源になり得ます。(すなわちキャリアになり得る)

 ただし、これは語義そのままの意味ではそうなのですが、キャリアという言葉はちょっと違う意味で使われることが多いです。

 語義そのままだと、インフルエンザに罹患した人が発症して大量のウイルスを含む咳をしている状態も「キャリア」と言えるのですが、通常はこの意味ではあまり用いません。
 キャリアは感染者のうち、無症状の者を指して言うことがあります。つまりインフルエンザに感染しても症状が出ず、無症状のままウイルスだけを排泄しているという人が一定の確率で存在するのですが、そういう個体を「キャリア」と呼ぶ場合があります。
 まあ、発症すれば寝ているでしょうから、あまり「持ち運ばない」ということなんでしょうかね。

 それから、「持続感染した個体」をキャリアと呼ぶことがあります。これが世間一般的には一番多いですかね。

 持続感染とは、病原体が宿主の免疫機構で排除されず、長期間に渡って感染状態を維持することを言います。そのほとんどは持続感染中は無症状です。長期間というのは、明確な基準はありませんが通常は数年以上を意味します。

 いろいろな病原体がそれぞれ異なったメカニズムで持続感染する能力を有しています。
 有名なのは宿主細胞のゲノムに自らの遺伝子を組み込んでしまうことで免疫反応の標的となる抗原を作らなくても、あるいは抗原がどれだけ排除されても感染状態を維持できるHIV(エイズの原因ウイルス)やHTLV(白血病の原因ウイルス)などがあります。
 その他にも免疫系の攻撃が届きにくい神経節に潜むことでほぼ生涯に渡って感染状態を維持できるヘルペスウイルスも持続感染するウイルスです。
 また、胎仔期のあるタイミングで感染することにより、免疫系に「非自己である」という認識をさせないことで持続感染するウイルスもあります。

 これらのウイルスに持続感染した個体は、「持ち運ぶ」という意味では最も影響が大きいですよね。
 ですから、これらの持続感染状態の個体を「キャリア」と呼ぶ場合があります。世間一般ではこの用法が最も一般的でしょうか。

 これらの「キャリア」の使い分けはあまり厳密ではないので、どの意味の「キャリア」かは文脈で判断せざるを得ないことが多々ありますね。
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この回答へのお礼

丁寧にご回答いただきましてどうもありがとうございました。
とても参考になりました。

お礼日時:2012/08/20 20:17

病原体などにおいてプログラミングされた潜伏(発症しない)もしくは子孫を増やせる相手(発症する)であれば宿主と言えるのではないでしょうか?



一方、キャリアですが、保因者ということですね。病原体などの保有はしているものの発症はしない相手の事ではないでしょうか。悪さを見かけ上していなくても、体内でウイルスが増えていることはありますので、感染源になりえます。

免疫についてですが、例えばインフルエンザウイルスのワクチンを打ったとしても、感染自体は成立します。
ただ、ウイルスが体内で増えるのを免疫系で防ぎますので、結果的にウイルスが増殖できず諸症状を発症しません。

インフルエンザウイルスの場合は、ヒトに潜伏するようなシステムはないので、保因者とは言わないと思います。

ワクチン接種者、保因者からの感染はその病原体の性質によるところが高いでしょう。ワクチンを接種するようなウイルスの場合は宿主体内でウイルスが増殖しませんから、そのヒトから感染するような事はないように思えます。
しかし、エイズなどの場合はキャリア(発症していない状態)でもウイルスは体内にありますから、感染源となります。

まとめると、宿主は病原体が潜伏できる、もしくは、発症できる生物(ヒトなど)のことを言い、
キャリアとは潜伏(保因)はしているが、病状が出ていない生物(ヒトなど)のことを言います。

寄生虫などでは、第一宿主、第二宿主などの宿主がいますのでキャリアの解釈がしやすいと思います。
最終的に寄生虫が増えるのは最終宿主。
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この回答へのお礼

ご回答いただきどうもありがとうございます。
とても参考になりました。

お礼日時:2012/08/20 20:00

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