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なぜ、経済史を学ぶのでしょうか?経済理論や現代の経済問題に関心をよせる人の立場から教えてください。

(補足)通信制の大学生です。「経済史」の研究課題です。

A 回答 (1件)

経済学において、経済史および経済学史を学ぶ意味はあります。


これは他の分野においてその分野の歴史を学ぶよりも特に意味が大きいです。

今回は経済史の意義についてのみ答えます。
社会科学の中で経済学と並び心理学は、自然科学と同じような科学性をを持っている学問です。

なぜかというと経済学と心理学は、物事を調査し、結果を整理し、新たな知見を導き出し、知見の正しさを立証するまでの基準を持つ手続きである科学的方法に基づいているからです。
つまり、仮説を立て、立証し、他の人間がそれを検証する理論と実戦のプロセスが経済学と心理学にはあるのです。

自然科学では、大抵の場合、理論構築の足がかりとなるデーターの収集やその理論の立証や検証などの実践プロセスは『実験』を用いて行います。こないだ話題になったCERNのヒッグス云々もその一環として行われていたものです。

しかし、経済学ではなかなか実験を行うことは難しいです(先進国の経済政策は一種の実証実験とも言えますが…)。
ですので、実験の代わりにかつて社会で起こっていた経済活動を分析及び立証に利用するわけです。

つまり、長い歴史の中で問題となる状況が似通った例を探してきてサンプルとして分析の材料にするのです。他にも過去の経済データーを使いモデルを作り懸賞の材料にしたりします。
例えば、リーマンショック当時盛んに世界大恐慌時代の話が持ち上がりました。これはリーマンショック当時の状況が世界大恐慌当時の状況に酷似していたからです。
したがって、世界の経済政策は世界大恐慌の教訓を経済政策に反映させることで、世界大恐慌ほどの大恐慌へ連鎖することを食い止めることができました。
そして現在の先進国は『日本の失われた10年』に注目しています。日本がどのように苦しんできたかをわかれば、今後どのような問題が起こるかある程度予想がつくからです。

また通貨政策では、貨幣の過剰な発行は経済を混乱させることが分かっていますので皆慎重に通貨を発行しています。ただし慎重過ぎる弊害も最近は問題視されてきており、現在は慎重と積極の間で議論が揺れています。

例えば、経済史および経済学の観点からリーマン・ショックと世界大恐慌を比べてみましょう。
・両者の共通点は概ね以下の3つです。
 貧富の格差の拡大
 金融の過度な流動化
 それに伴うバブル

・両者の違っていた点は以下のようになると思います。
現代の方が良い点
 WTOや各種貿易ルールなど経済の安全装置が拡充している。
 世界大恐慌時代の教訓があった。
 
現代の方が悪い点
 富の再分配について解決の目処がついてない。
 先進国は成長の余地が当時より少ない。
 国民が当時より我儘になっており、トップダウン的政策が取りづらい。
 資源・環境問題など限られたパイをどのように使用するかという問題が浮上している。


まず何故リーマン・ショックが発生したかというと
当時が、経済の需給バランスが崩れ供給過剰気味だった状況で、その供給過剰をバブルによって支えていた経済構造がバブル崩壊によって崩れ去ったからです。
なおバブルの原因は、金融の過剰流動化です。
これは世界大恐慌当時とだいたい同じです。

しかし、世界大恐慌当時はバブル崩壊の被害をむしろ拡大させるような政策が立て続けに取られていましたが、現在はバブル崩壊の影響を抑える政策が取られましたので世界大恐慌時代ほど酷いことにはなりませんでした。またWTOなどの貿易を統制する機関が存在したことも被害を最小限にすることに一役買いました。
ですので、短期的にはリーマン・ショックは世界大恐慌の時ほど酷いことにはなりませんでした。

ですが、長期的には様々な問題があります。
世界大恐慌時にどのように供給過剰という問題を解決したかといえば、大量の政府支出と富の再分配です。
まず世界大恐慌はそのままWW2に結びつきましたから、戦争により各国は増税・国債発行&大支出(戦費)を行いました。
これにより大きく落ち込んだ需要をまかない供給過剰を解消したのです。

しかし、そんな政府の支出は長続きしません。
長期的には需要不足は富の再分配によって解消されました。
実際貧乏人はもらった給与のほとんどを使いますが、金持ちはもらった給与のすべてを使うわけではありません。
ですので、金持ちが給料をもらい過ぎると金持ちがお金を溜め込んだ分、社会の需要が不足するのです。

世界大恐慌当時はWW2以降の政策による格差是正が問題を根本的に解決しました。
つまり、戦争で大増税された後に政府はその税率を戻すのではなく、福祉などに利用することによって再分配を行ったです。
税は基本的に金持ちからより多く取られますが、福祉は基本的に国民一律に給付されます(貧乏人専用の福祉もあるので一概にそうとはいえないが)。
つまり、金持ちから沢山とって平等に給付することにより、格差が緩和されるわけです。
さらに、労働法制が整備され労働者の権利が拡充することにより、企業は従業員に高い賃金を払わざるをえなくなりました。
これも格差の是正につながりました。

しかし、現在ではなかなかそのようには進みません。
現代において金を持っているのは金持ちおよび老人です。
日本はもう少し所得税を上げるべきでしょうし、老人の資産に対しても課税すべきです。
しかし、それらは国民の反発があり取り組めない状況です。
世界大恐慌時代は戦争のどさくさに紛れたというのと痛い目にあったから反省したという両方の面があったのでしょう。さらに国民もよく分かっていませんでしたし、きちんと経済を安定させれば爆発的な成長ができるという目処もありました。
しかし、今の先進国は当時よりもずっと国民が我儘ですし、経済を安定させてもそれほど成長はできません。このような状況ではトップダウン的な政策は取りづらいです。


このように経済学において経済史を学ぶのは、まず何より『問題が発生した時に、似たようなログを引っ張ってこれる。』というのが大きいです。
それによって『今がどういう状況なのか』、『今何をしたらいいのか』、『これをしたらどうなるのか』が予想がつくわけです。
つまり、理論と実践の間を取り持つ事ができるわけです。
こういう場合はどの理論を使えばいいのかは経済史を学ぶとよく分かります。

細かい数字を正確に覚える必要はありません。
そんなのは必要となった時に調べればいい話です。
しかし、経済の流れ、それに伴う社会状況・経済状況、その時に取られた政策、その結果などはおおまかに把握しておく意義はあります。

経済学については、経済学史についても学ぶ意義がありますがそれについても希望があれば説明します。

ケインズとハイエク まさかのラップ対決
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9548930

経済の変化と経済学の進化について纏めております、参考にしてください。
http://blog.livedoor.jp/takotubo/archives/505037 …

なお私も通信で経済学を学んでいたのでその時に感じたコツをまとめております。
良ければ参考にしてください。
http://blog.livedoor.jp/takotubo/archives/507597 …
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この回答へのお礼

丁寧な回答をありがとうございました。まだ未熟なので私には難しいです(汗)。
他にも研究課題を質問させていただきますので、今後も回答していただけたら幸いです。

お礼日時:2012/08/26 22:19

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