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民主党の代表に新しく就任した海江田万里氏ですが、就任会見で自作の漢詩を発表しました。
http://www.j-cast.com/2012/12/25159552.html
によれば、詩は

朧月扶桑戦鼓鳴
寒天寡助計無成
将軍功盡萬兵斃
粉骨砕身全此生

で、
写真を見る限りではその後

偶成一絶 壬辰季冬 万里

と書いてあるようです。

さて、皆様にお伺いしたいのは
1)この漢詩と署名(?) 書き下しにするとどうなって、どのような意味になりますか?
2)で、この漢詩、平仄は合っているのでしょうか?
の2点です。

質問者は高校の時にサラッと漢文の授業を受けて、「えーっと、確かこれは七言絶句で、漢詩の世界には平仄ってぇもんがあってとにかく小難しかったなぁ」位しか分かりません。
また、例えば、「これって本歌取ってない?」等というような付随して読み取れる事があればお教え下さい。


なお、質問者の疑問はあくまで漢文的な見解でありますので、それ以外の政治的な議論はお控え頂けると幸いです。

A 回答 (5件)

2)の平仄、つまり漢詩の規則について。


詩は民主党のホームページにあるのが正しいと思います。

★結論から言うと、この詩は「近体詩」の規則にあっています。

近体詩とは唐代中期ころ成立した詩の型式で、詩を作るためのルールが細かく決まっています。有名な漢詩はだいたい近体詩になります。


★近体詩は一つ目に、「平仄(ひょうそく)」という漢字音の配列が正しくなければ行けません。

漢字には上がったり下がったりする(あるいは、平らな状態を保つ)音のアクセントがあります。その中で、「平声(ひょうしょう)」は平らな音のこと。「仄声(そくせい)」は「平声」以外の平らではない音となります。平仄は漢和辞典を見れば誰でも調べることができます。

この詩の「平仄」は次のようになります。

●●○○●●◎
臘月扶桑戦鼓鳴

○○●●●○◎
寒天寡助計無成

○○○●●○●
将軍功尽万兵斃

●●●○○●◎
粉骨碎身全此生

○は「平声」
◎は「平声」で「押韻(おういん)」している箇所。
●は「仄声」

詩型は七言絶句。(1行7文字なら、「七言」5文字なら「五言」。4行の詩は「絶句」、8行なら「律詩」)

1)韻字(押韻している漢字)は「鳴(ming めい)」「成(cheng せい)」「生(sheng せい)」で、これらのこれらの字は「庚(geng こう)」という音のグループに属しています。ローマ字は現代中国語の発音です。

日本語漢字音で読んでみると「い」という音が同じ、現代中国語で読んでみると「ng」という部分が同じになります。

2)「七言絶句」では1・2・4行目の句末で押韻します(特に2・4行目は絶対)。
「鳴戦鼓」ではなく「戦鼓鳴」としたのは、韻を踏むためです。

漢詩では音の調和を守ること(つまり平仄の規則を守ること)がとても大事なので、そのために語順を入れ替えることは普通にあります。

3)それぞれの行の2字目と4字目の平仄が逆でなければなりません。4字目も6字目も逆です。

4)「1行目と2行目」、「3行目と4行目」の「2・4・6字目」の平仄が逆でなければ行けません。そうすると「2行目と3行目」の「2・4・6字目」の平仄は自動的に同じになります。

5)4字目の「孤平(こひょう)」(平声が仄声で挟まれること)を避けなければなりません。ただし、押韻していない行では許容されます。

「万兵斃」は「●○●」で○が●に挟まれてますが、3行目だから大丈夫です。

5)各行、終わりの3字は「●●●」「○○○」のように続いてはいけません。
この詩では、●と○が入り交じっているので大丈夫です。


★二つ目に、「典故」を用いる、つまり過去の詩や文の言葉を踏まえる事が望ましいです。辞書を引くと、少なくとも二つは見つかります。

「将軍功尽万兵斃」は、唐の曹松の「己亥歳詩」という詩に「一将功成万骨枯」とあるのを踏まえているように思えます。

「粉骨碎身」は、唐の蔣防の「霍小玉伝」という小説中の言葉が古い用例です。


★あと、冒頭二文字はやはり「臘月」(旧暦の十二月)ですね。「朧月」は引用したニュースサイトの誤りでしょうか?

「季冬」は(旧暦)12月のことです。春・夏・秋・冬の4つを、「孟」「仲」「季」の3つの順で表します。4×3で12になります。たとえば孟春なら1月、季夏なら6月、仲秋なら8月、仲冬なら11月です。季節が冬、という意味ではありません。
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この回答へのお礼

ほぼ完璧と思える平仄のご解説を有り難うございました。

実に詳しいので、確かに平仄が合っていることが納得できました。
我が母校もこのぐらい詳しくやってくれればなぁ(笑)

また典故や季冬についても知らないことだったのでその解説もためになりました。
#拝見して、ああ「仲秋の名月ってこれなのね」と合点がいった

お礼日時:2012/12/27 01:53

  あまり知識はないのですが、蛮勇をふるって回答してみましょう。



 朧月の扶桑に戦鼓鳴り、寒天に助寡く計成る無し、将軍功盡きて萬兵斃る、骨を粉にし身を砕きて
 此の生を全うせん
             偶一絶成る 壬辰季冬 万里


  朧月=(ろうげつ)おぼろ月のこと(使った意味は不明、日本の暗さの意か)。扶桑=(ふそう)
  日本国。戦鼓=(せんこ)戦のための太鼓。寒天=寒空。 助寡く=助けるもの(支持者の意か)数  少なく。 計=はかりごと・当選の計画。 将軍=ここでは指導者。 功尽き=功績も無くなり。   万兵斃る=多くの兵士が倒れた(多くの候補者が落選したの意か)。 粉骨砕身=(四字熟語として  使うのが普通)。 此の生を全うせん=このわたしの命を捧げましょう。 

  偶一絶成る(たまたま一絶成る)=この時によせて一つの絶句ができました。 壬辰季冬=みずのえ  たつの年の晩冬。

 質問者が、「本歌取り」おっしゃったのは、本来誤った言い方ですが、たぶん似たような語句があったということでしょう。「一将功成って、万骨枯る」という成句がありましたね。

平仄というのは、中古音の正しい発音を知らないと分かりません。本来は詩に使われている全部の語が平音か仄音のどちらに属するものかに分類し、その組み合わせにいくつかのパターンがありました。そのパターンに当てはまるかというのですが。
 押韻ということがよく言われますが、日本人的な発音ですと、「鳴」「成」「生」で押韻は正しいといえましょうが、中国中古音の「同韻」というグループに属しているか、現代日本人に要求するのは無理と思いますが、何かの書物で調べてきちんとなっているかも知れません。
 なお、近・現代でも「絶句」は作られる例もあるようですが。それなら、それでその時代の発音を知らなければならないことになります。

 この回答には、たぶん誤りも多く、不備もありましょうから、専門家に補足願えればありがたいです。
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この回答へのお礼

>「一将功成って、万骨枯る」という成句がありましたね。
見たときに、まさにそれを思い出していました。(さりげなく前任者を批判しているのかも?!?!)

勇を鼓してのご回答有り難うございました。

お礼日時:2012/12/27 01:39

私も漢文学習中の身なので、正しいかどうか自信はありませんが……。



朧月(臘月)の扶桑、戦鼓鳴る(or「鼓鳴を戦わす」とも読める)、
寒天に助け寡(すくな)く、計の成る無し。
将軍の功尽き、万兵斃(たお)る、
粉骨砕身して此の生を全うせん。
偶成(ぐうせい)の一絶 壬辰季冬 万里

訳は最初の回答者さんのものとほぼ同じです。

「戦鼓鳴」については、「鳴戦鼓」とすると、「戦鼓を鳴らす」となります(「戦鼓」が目的語)。
「戦鼓鳴」の語順だと「戦鼓」が主語になり「戦鼓が鳴る」となり(「戦鼓」が主語)少しニュアンスが変わります。
平仄の関係もあって、「戦鼓が鳴る」としたのでしょう。

ただ、「鼓鳴(=鼓の鳴る音)を戦わす」とも読めなくないように思います。
「いくさの鼓が鳴る(舌戦の声が響き渡る)」のか「(お互いの陣営の)鼓の音を戦わす(舌戦を戦わす)」のかは、ご本人がどちらで読んでいたかによりますが、刃を交わしたというニュアンスを強調したいなら「舌戦を戦わす」の意味で読む方がいいかなあと個人的には思ったりします。

あと、最初の回答者さんとの解釈の違うところは、もう一箇所、「将軍の功尽き」の部分です。
「将軍の《功績》は尽き果てて」とありますが、《功績》が尽きたのではなく、「将軍として、やるべきこと、できることがすべて尽きてしまって、すべての兵が倒れてしまった」と解釈するべきではないかなあと思います。

以上、ご参考までに。
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この回答へのお礼

ご回答を有り難うございました。

「鼓鳴戦」のところは、「鼓鳴を戦わす」なのかな、と思っていました。
選挙は結局は鐘太鼓(=音や声)の戦いだと思っていたので(笑)。

お礼日時:2012/12/27 01:20

>この漢詩、平仄は合っているのでしょうか



平仄は大丈夫です。
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この回答へのお礼

シンプルなご回答有り難うございました

お礼日時:2012/12/27 01:15

 ニュースで自分で解説していたような気がします。



2)平仄は合っているのでしょうか

 私は彼の性格・能力をかなり低く見ておりますが、彼ほどの立場になれば、中国人の友達の5人や10人いるでしょうから、平仄のようなことは確認していると思われます。

 酒の席ではありません。ヘタをすると、中国から失笑・嘲笑される時節ですから。

 ちなみに、七言絶句の場合、1、2、4句の末に押韻します。

 鳴-成-生 ですから、2句めと4句めに押韻があるのは間違いないです。鳴は、中国語の発音だとどうなんですかね?

 上記の理由で、きっと合っているのだと思います。


1)書き下しにするとどうなって

 私は中国語の素養はありませんが、漢詩発表時に仕事をしながらテレビもつけていて、なにか、詩そのものが漢文を読み下したみたいなヤツ(日本語)だなぁと思いながら聞いていました。

 ですから、そのまま読めばいいはずです。

 ちなみに、質問者さんが書かれた 月+龍の「朧月」は「おぼろ月」のことです。

 海江田氏は、12月と言っていたので「臘月」が正しい字。よみはどちらも「ろうげつ」です。

 海江田氏が間違ったのか、質問者さんの引用元が間違ったのか分かりませんが、おぼろ月に選挙戦を戦ったわけではないので、あえて12月と訳します。

★朧月扶桑戦鼓鳴

  朧月 扶桑 戦鼓鳴る

★寒天寡助計無成

  寒天 助け寡く 計成らず(計成るなし)

★将軍功盡萬兵斃

  将軍 功を尽くし 万兵斃る

★粉骨砕身全此生

  粉骨砕身 此の生を全うす(全うせん)

★偶成一絶 壬辰季冬 万里

 偶成る一絶 壬辰 季節は冬   海江田万里


1)意味

★朧月扶桑戦鼓鳴

 「12月に」、日本で、戦闘開始を告げる太鼓が鳴った。

★寒天寡助計無成

 寒空に、助けが少なくて、計画が失敗した。

★将軍功盡萬兵斃

 将軍の功績は尽き果てて、万を数える兵が屍となった。

★粉骨砕身全此生

 (私は)この身を粉にして働いて この命をまっとうしよう。 

★偶成一絶 壬辰季冬 万里

 思いがけずできた一編の絶句
 みずのえの辰の年(2012年)
 季節は冬   海江田万里作


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 雑感: 海江田も政治家なら、 戦鼓鳴 ではなくて、鳴戦鼓 とするくらいの気概が欲しかった。
 
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この回答へのお礼

素早いご回答を有り難うございました。

確かに、ニュースサイトでは朧月になっていましたが、写真は「 臘月 」になっていました。
実は異字体か何かだろうと思っていました・・・。

お礼日時:2012/12/27 01:15

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