アプリ版:「スタンプのみでお礼する」機能のリリースについて

電子は電子同士が衝突する事は無いのは、パウリの排他原理より量子軌道は1個の電子しか存在できないからと教わったのですが、L殻以降には1つの殻に電子が2個以上存在しています。これは同じエネルギー準位にいるという事ではないのですか?もし同じ殻の上でもs軌道やp軌道で軌道が異なるので排他律には反していないという事になるのでしょうか。それでも殻の上に8の字の軌道を描くとはどういう事でしょうか。原子核の周りに電子雲が存在する確率があるというのは理解できるのですが、『殻』という物がどういう概念なのか、それがどこで出来て、どのような性質があるのかが理解できません。
またボーアの量子条件2πr=nλを満たすようにして、原子核の周りを電子の軌道が定常波を描くように存在しますが、このnというのは殻ですか?それともsやp軌道に対応する物ですか。n=1.n=2...と原子核から離れた円周が続いていきますが、それが何を表しているのか分かりません。例えばn=1の軌道上の電子を基底状態といいますが、これはK殻に存在しているという事になるのでしょうか。

誤解している事も多そうですが、どなたか教えてもらえないでしょうか

A 回答 (3件)

ボーアの原子軌道と、s軌道やp軌道などの原子軌道は、どちらも原子軌道と呼ばれますけど、全く別のものです。

これらを混同してしまうとまったくわけがわからなくなってしまうので、注意してください。

ボーアの原子軌道は、ニュートンの運動方程式に従う電子の軌道で、原子核を中心とした同心円になります。それに対してs軌道やp軌道などの原子軌道は、シュレーディンガーの波動方程式を解いて得られる一電子波動関数で、原子核からの距離と方向に応じて値が決まる関数です。

以下では、これらを区別するために、ニュートンの運動方程式に従う電子の軌道は、《ボーアの原子軌道》のように括弧つきで書きます。そして、シュレーディンガーの波動方程式を解いて得られる一電子波動関数は、原子オービタルと書きます。

> パウリの排他原理より量子軌道は1個の電子しか存在できない
訂正:パウリの排他原理より原子オービタルは最大2個の電子しか存在できない

説明:排他原理があるのに2個まで電子が存在できるのは、電子がスピンを持つからです。電子のスピンについては、教科書を参照してください。

> L殻以降には1つの殻に電子が2個以上存在しています。
訂正:全ての殻で、1つの殻に電子が2個以上存在できます。

説明:K殻には2個まで、L殻には8個まで電子が存在できます。

> これは同じエネルギー準位にいるという事ではないのですか?
答:s軌道を除けば、同じエネルギー準位に複数個の原子オービタルがあります。

説明:例えば、p軌道なら同じエネルギー準位に3個の原子オービタルがあります。d軌道なら5個です。

> もし同じ殻の上でもs軌道やp軌道で軌道が異なるので排他律には反していないという事になるのでしょうか。
答:原子オービタルが異なるので排他律には反していない、という点ではあっています。

説明:同じ殻でも、s軌道とp軌道のエネルギー準位は違います。水素原子の原子オービタルでは、s軌道とp軌道のエネルギー準位が同じになりますけど、これは、唯一の例外になっています。他の全ての原子では、s軌道よりp軌道の方がエネルギー準位が高くなります。

> 殻の上に8の字の軌道を描くとはどういう事でしょうか。
答:原子オービタルは、軌道を描きません。あれは、電子雲のもやっとした形を毎回毎回ていねいに描くのが骨折りなので、電子雲をマンガ的に表現したものだと考えてください。

説明:もしも電子が《ボーアの原子軌道》のように軌道を描いたとすると、これは不確定性原理に反します。8の字は、原子オービタルの等高面を模式的に描いたもの、と考えてください。ふつうは、絶対値の等しい等高面を、原子オービタルの正負が分かるようにして同時に描きます。

> 『殻』という物がどういう概念なのか、それがどこで出来て、どのような性質があるのか
答:原子オービタルをグループ分けする概念です。原子オービタルの節面(原子オービタルの値がゼロになる面)の数で、グループ分けします。同じ殻に属する原子オービタルは、原子核からの電子の平均距離と、電子を原子から引き離すために必要なエネルギー(イオン化エネルギー)が、互いに似たような値になる、という性質を持ちます。

説明:原子オービタルの節面の数は、原子オービタルの主量子数から1を引いたものです。K殻の原子オービタルの節面の数は0、L殻の原子オービタルの節面の数は1、M殻の原子オービタルの節面の数は2、というように外側の殻ほど節面の数が多くなります。

> ボーアの量子条件2πr=nλを満たすようにして、原子核の周りを電子の軌道が定常波を描くように存在しますが、このnというのは殻ですか?
答:ボーアの水素原子模型のnは、原子オービタルの主量子数に対応するものなので、殻と考えても間違いではありません。

説明:ボーアの水素原子模型では、ひとつのnにつきひとつの《ボーアの原子軌道》しかありません。ですので、ボーアの水素原子模型に、殻という概念を導入するメリットは、ほとんどありません。

>それともsやp軌道に対応する物ですか。
答:ボーアの水素原子模型に、s軌道やp軌道に対応する物はありません。

説明:ありません、というのは嘘で、本当は、方位量子数っぽいものがあります。ですけど、学校ではふつう教えない事柄ですので、知らなくても大丈夫です。

> n=1.n=2...と原子核から離れた円周が続いていきますが、それが何を表しているのか分かりません。
答:《ボーアの原子軌道》を表しています。

説明:《ボーアの原子軌道》は、ニュートンの運動方程式を解いて求められるものなので、文字通り、電子の動く軌道を表しています。

> 例えばn=1の軌道上の電子を基底状態といいますが、これはK殻に存在しているという事になるのでしょうか。
答:ボーアの水素原子模型に殻という概念を使うなら、そういうことになります。

説明:ボーアの水素原子模型では、電子数は必ず1個ですから、n=1の軌道上に電子があるときが基底状態、n>1の軌道上に電子があるときが励起状態になります。


--------------------
ボーアの原子模型と呼ばれるものは、ニュートンの運動方程式と量子条件2πr=nλから得られるものとは別に、もうひとつあります。
http://chem-edu.net/structure11.htm
の図にあるようなものです。

歴史的な理由により、このような模型もボーアの原子模型と呼ばれてしまうのですけど、この図の同心円は《ボーアの原子軌道》ではありません。この様な図は、シュレーディンガーの波動方程式を解いて得られた原子オービタルの殻構造を、極限まで抽象化した模式図と考えるのがよいでしょう。すなわち、多電子原子の同心円は、《ボーアの原子軌道》でもなければ、原子オービタルでもなく、K殻, L殻, M殻などの殻そのものを表している、ということです。
    • good
    • 1
この回答へのお礼

詳しく丁寧に説明して頂き、有難うございました。

お礼日時:2013/11/03 18:35

 ボーアの量子論は古き良き時代の近似なので、電子の正確な運動を表していません。

より厳密な電子の運動方程式(シュレディンガー方程式)を解く必要があります。

 原子核の周りでシュレディンガー方程式を解くと、整数をいくつか含む関数(波動関数)が解として得られます。波動関数に含まれる整数にはn = 主量子数、l = 方位量子数、m=磁気量子数という名前がついています。また、電子にはスピン(量子的な角運動の方向)という電子固有のパラメーターがあり、s=+1/2 または -1/2の値を取ります。2つの電子でこのn/l/m/sが全て一致する事は無いというのがパウリの排他則です。

  主量子数n=1に対応するのがK殻、n=2に対応するのがL殻・・・です。
  オービタルの形、つまりs、p、dの区別は方位量子数lの値で決まります。
  2pには方向が違うpx,py,pzがありますが、この軌道の方向xyzは磁気量子数mの値で決まります。
  sの値は2通りしかないので、1つのオービタルには電子が2個までしか入りません。

シュレディンガー方程式をx,y平面上で解いて、l = m = 0とすればボーアの理論と数式の上では一致させる事ができるので、ボーアの式から出てくるnλのnは、強いて言えば主量子数nに対応しています。でも物理的にはあんまり意味のない議論です。

参考URL:http://homepage3.nifty.com/rikei-index01/ryousik …
    • good
    • 0

 教科書をしっかりお読みなさい。

とてもここで説明できる内容じゃありませんし、教室でも無理でしょう。大学生だと思いますが、あの厚い教科書をすべて講義してくれるわけじゃない。すべて自分で読んで理解しているという前提で授業が進む。私も学位時代、授業の前に習うはずのところはすべて理解して授業に望むようにしてました。わからないところを食い下がって聞いた。それが大学と言うものですよ。

 k殻L殻なんて今は忘れて良いです。s,p,d,f・・を理解したらK,L,Mとの関係がわかるようになります。
 原子核の周りの電子は決して粒子としたら説明できない存在です。そのため、エネルギーとして考えます。エネルギー--すなわち波です。E = hν
 その波動が軌道であり、ひとつの軌道にひとつしか存在しえません。ただ、位置は同じでも正負の異なる波動がありますから、あたかもひとつの軌道にふたつの電子が存在するように思えますが、ふたつの電子のとる軌道は異なります。よってs軌道にはふたつの電子が存在する。
 次のエネルギーが高い状態でもs軌道には2個入ります。そして三つの波面を持つp軌道にも正負ひとつずつ、都合6個・・。3s(2),3p(6),3d(10)・・・4s(2),4p(6),4d(10),4f(14)

>例えばn=1の軌道上の電子を基底状態といいますが、これはK殻に存在しているという事になるのでしょうか。
 違います。K,L,Mを引きずっていたらだめです。spdを完璧に理解してから、改めてK,L,Mの意味を考えましょう。

 まあ、教科書をしっかり読むこと。足りなければ図書館にたくさんある。
    • good
    • 0

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!