No.5ベストアンサー
- 回答日時:
実戦経験者の記録を読むと、空中戦の実相がわかると思います。
一式戦:隼 飛行第31戦隊長:陸軍大尉 西進 「第31隼戦隊フィリピン上空の激闘」
>一呼吸する間もなくガンガンとブリキをたたくようなすさまじい音、後にグラマンがついてきていたのだ。操縦桿を引き、急旋回し、切り返してこれに反撃をくわえると、また別の一機が喰いついてくる。急激に回避する。つぎからつぎからと敵は執拗に喰い下ってくる。一瞬のすきもなく回避また回避だ。高度は下がるばかりだ。敵の包囲攻撃をうけて、海上におしつぶされそうな気がして態勢挽回に気があせる。上昇性能は敵におとるが旋回性能はすぐれているので、敵の弾丸はあたらない。(略)ふと、高度計をみると五百メートルだ。やれやれ!全身はしぼるような汗だ。時間にしてわずか十分程度の戦闘だろうが、ずいぶん長い間戦ったような疲労感をおぼえる。(略)しかし絶対多数と高性能をほこるグラマンF6Fに対しわが方の多くは低位からの不利な各個戦闘を強要させられ、もはやいかんともしたがく、あるいは敵と刺しちがえて自爆し、あるいは紅蓮の火炎を吹きつつ敵を追い、力つきて地上に激突散華するなど……
二式単戦:鍾馗 飛行第9戦隊附:陸軍軍曹 古川留市 「二式単戦鍾馗迎撃記」より
>私は第二小隊の長機に機首を向けた。このような攻撃の場合は、訓練時の射撃と一緒で、充分射距離をつめて、余裕をもって照準できるので墜としそこなうことはない。連射中炸裂実包が翼のつけ根から胴体中央付近にはじけるのが見えつぎに敵はゆっくり機首を下げ真下に突っ込んでいった。なお、P-51は絶対に火を吐くことはなかった。(略)二式単戦の上昇性能の良いのがこういう場合絶対の強味で、最初、上の方にいた一団が降下したあと、また高度を上げて来たときわれわれは五、六百以上の高度差をつけることができた。だから二撃目からは、高く上がっている編隊に向かって突進して行けばその編隊は降下旋回し、もう一つの編隊が機首を上げてわれわれに向かって来、高度も大きく上げてくるという戦法の繰り返しが続いた。しかし、有難いことに二単の上昇性能はP-51に勝りいつまでも七、八百メートル以上の高度差を維持することができた。敵を撃墜できるほど射距離をつめる攻撃はできなくても相手から攻撃される心配はなかった。(略)私は困ったことになったと思った。小林大尉はまだ旋回しながら上昇を続けておられるが、グラマンの上昇性能は二単を上まわっており、高度差はますます詰まってきていた。このときはもう、高度計は五千五百メートルを指していた。
三式戦:飛燕 飛行第244戦隊長:陸軍少佐 小林照彦 「東京の空かくて敗れたり」より
>わが機の性能では一万メートル上昇するまでに一時間かかる。その間、敵は四、五十分で東京の上空に達するのである。(略)われわれの使っていた飛燕は、当時としては高高度機としての最優秀さを誇ったものだけに、全体的に非常な無理をしていたわけである。このほかには高高度に達する戦闘機はなく、当時ごく一部にはジェット機、ロケット機の試作をしていたということだったが、そういう優秀機の出現を神かけて祈る気持でいっぱいだった。彼我戦力の相違はかくも甚だしかった。(略)この機は液冷エンジンだったので、非常に故障が多かった。(略)調子が悪いとなると故障の箇所だけでなくエンジンを交換して、かろうじて戦力の低下を免れていた。結局性能の問題で上昇力をつけるために機関砲一門につき三百発の弾丸を五十発に減らす、砲の数も減らす、そして僅かに射止め、または手負いの敵機がエンジンの出力が下り、高度が七千ないし六千五百となって一機だけ編隊から脱落する。これに襲いかかるのが友軍機の性能水準ということにもなる。
四式戦:疾風 第4航空軍作戦参謀:陸軍中佐 佐藤勝雄 「昭和史の天皇 レイテ決戦」より
>当時、決戦機種として、内地で量産していた四式戦闘機 キー84、俗名『疾風』というのにたいへん期待がかけられていました。(略)ところが、この期待の四式戦に重大な欠陥があったんです。エンジンが悪いんですね。エンジンを全開にすると、こわれてしまうというんです。四枚プロペラで、星型の千六百馬力のエンジン、正面から見ると小さくて、空気抵抗が小さいから、本当は非常にいい戦闘機なんですが、生産の途中でニッケルが足りないというようなことで、質をちょっと下げたのかもしれませんね。ともかく、エンジンの質が落ちているから、千四百馬力ぐらいしか出しちゃいかんという使用制限が内地から来ました。この二百馬力は大変な差ですよ。それなら最初から千四百馬力の飛行機の方が、よほど使いやすいんです。まあ、そんな上品な飛行機ですからね、扱いも微妙で、ちょっと間違うと故障するんです。(略)結局、稼働率は4、50パーセントぐらいではなかったかと思います。
五式戦: 飛行第111戦隊第2大隊長:陸軍少佐 檜与平 「名機五式戦の戦闘秘録」より
>両脚ががっちりとエンジンと機体を支えている姿は隼のようなスマートさはなく、また水冷のエンジンが前方に長く出ている飛燕のような格恰良さもない。まったく野暮ったい外見である。(略)動き出すと身体がぴったりと背当て板に吸いつけられる感じがする。隼に比べて馬力が250馬力もアップしており、出足速度が速いためである。(略)上昇力も速いので気持がよかった。非常に操縦の楽な飛行機である。これはいけると思ったのが第一印象であった。5000mの高度で水平飛行に移った。まず、宙返りをやったがきわめて調子がよい。次に横転をやった。だんだん馴れて来たので急降下から急上昇にと手荒い操作をしたが降下の出足速度は満足すべき性能であった。旋回性能は急旋回の半径がおどろく程小回りの利く飛行機である。操縦桿や踏棒の操作は隼に比べて相当重い感じではあるがそれだけに機体の強度が強く空中分解等の心配はなかった。この飛行機は私の性格にぴたりと合った感じだ。今までにこれほど気に入った飛行機はなかった。(略)事実キー100戦闘機はこの日の初飛行の感じでは稀代の名機である。偶然に生れた天佑とでもいうべきか、エンジンが百式司令部偵察機三型に取り付けられている信頼性100%で稼働率100%とあっては母体である飛燕とは天地の相違とでもいうべき決戦機であった。残念ながら出現が時すでに遅かった。(略)ビルマでP-51と隼二型で対戦した時と比較すると、相手を全速で追撃しても隼では徐々に引き離されていくのに五式戦では完全に追い付く事ができた。この飛行機がせめて半年前にでもできていたら或いは戦局が変っていたかもしれない。(略)昭和20年6月5日(略)B-29の大編隊が阪神地区に向かったという情報が入った。(略)日頃の訓練通り前方へ駆け抜けては前下方攻撃をかけ、全機がそれを反復しているが、B-29があちこちで煙を吐き出すと、勢いを得てか殆どの五式戦が真上に向いてB-29の腹の下にぶら下がって連射している。まるで金魚が口あげしているように思えたが、油断している敵に対して最も弱点の腹から撃ち込むので効果は絶大である。
この回答へのお礼
お礼日時:2015/04/18 10:38
これはすごい
実戦経験者の生の声!
こういうのを待っていたんですよ!!!!
書籍からの引用、本当にごくろうさまです。
ありがとうございます。
No.3
- 回答日時:
技術の飛燕>総合力の疾風>加速の鍾馗>工夫の五式>数の隼
飛燕、疾風がF6Fあたりとなんとか頑張れる
雷電で落とせた話があるからね
鍾馗は局戦だから除外
隼、五式戦はF4FとかF4U となんとかやれる
B29は、飛燕がガチンコで勝負してる
対爆撃機戦術は、大事なところに爆弾を落とさせないことが目的だから、飛燕による撃墜数は残念な数字だが、目的は果たしてる。
隼や鍾馗はB17とかB24とかと実戦を大部やってるが7,7ミリじゃ穴も空かないってことで20ミリが整備されます。隼は強度がなくで13ミリしか積めなかったけどね。疾風は制空用だから護衛機と遊ぶ係。零戦も同じ用途だから係が違う。月光とか屠竜とかの担当。担当じゃないのに頑張った飛燕を誉めてあげよう!体当たり撃墜もけっこうしたし!
No.2
- 回答日時:
独断もいいところなんですけどね。
本当にざくっとした感じになりますが。何をもって「強い」と評価するかによって違うと思いますよ。速度や運動性などの飛行性能や武装、防弾装甲なんかのトータルだと四式⇒五式⇒三式⇒二式⇒一式みたいな順になると思うし、ここに稼働率や実績なんかを含めると一式の順位がぐんと上がって三式と四式が下がってきます。
このあたりは人によって評価はさまざまだと思います。
ライバルはというと、四式はP-51、五式はF-6FやF-4U、三式がP-40とかF-6F、二式がB-17、一式がP-40てな感じになるんじゃないでしょうか。とはいえ一式でP-51を墜している猛者もいるし、複数の機種と交戦しているものも多いのでこれも評価は様々でしょう。
対B-29に対しては、一番効果があったのが三式戦だとか。もっとも他の機種は高高度性能の不足で会敵すらできず、ってケースも多々だったらしいですが。
零戦については、もともと高高度性能がない(届かない)+機体強度が足らない(急降下攻撃ができない)+防弾性能が貧弱(返り討ち)といった理由で、あんまり効果はあがってなかったみたいですね。
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