家を掃除して古いノートを処分しようとすると大学時代に一般教養で履修していた科目のノートが出てきました。(以下長文です。お許し下さい。)
何気なく読み返してみると質問タイトルのように”「エンターテイメントの文学」と「人間考察の文学」は異なる。”という走り書きと、「外国語・歴史・哲学・心理学・社会学・宗教学等々も謙虚に学んでほしい」という走り書きもありました。
履修していた科目の正式名は思い出せないのですが、記憶が正しければ、4人の教授による総合科目で、ノートから推察すると走り書きをした講義は「近現代日本思想史」というセクションだったようです。
私は、この走り書きが、どうしても気になります。
文学から何らかのエッセンスを読み取る・抽出するために「外国語・歴史・哲学・心理学・社会学・宗教学等々を学ぶことはいいことだ」と思います。でも、その意義や具体策が、私のノートには書かれていません。
どなたか「私のノートの空白を埋める」を示唆・アドバイス・具体例があれば、お教え下さい。
(最後までお読みいただきありがとうございました。)
No.1
- 回答日時:
ご自分で書いたものですか? それとも、先生の発言をただ書き留めただけ?
単純に考えて、
「エンターテイメントの文学」=大衆文学、直木賞の対象
「人間考察の文学」=純文学、芥川賞の対象(全部というわけではない)
ということかと思います。
この文学の分類と、「外国語・歴史・哲学・心理学・社会学・宗教学等々も謙虚に学んでほしい」というのは、異なった文脈での話ではないでしょうか?
これは単に、「人間としての幅を広げよ」という、ある意味常識的なことを言っているだけですから。(この言い方が不遜でお気に召さなければ、忘れてください)
御回答有難うございます。
講義中に自分の考えをノートに書く習慣は、学生時代の自分には無かったと思います。多分、先生の話をメモしたものだと思います。
「常識的なこと」には、とても、いい意味でガツンとやられました。
御回答有難うございました。
No.2
- 回答日時:
近代登場した日本の文学は、大衆文学と純文学に分けられているようです。
芥川賞(純文学の新人賞)、直木賞(大衆文学)などを設立した当時は、誰にも注目されておらず、
権威も無く、知っている人が少なかったそうです。
石原慎太郎氏が芥川賞を受賞し、これを機にマスコミの注目を集めたそうです。
これの設立が発表されたのが1935年と言う事です。
また、ノーベル賞のなかで文学が表彰されており、日本としても何かしたかったという程度の話のようです。
設立も小説家が集まって、考え出しています。
さて、この様な営みは何かに似ていますよね?
学会活動ですね。
大学院にいきますと、勉強の全課程は修了し、(人類を進歩させるための仕事)本業に参加します。
ここからは自分のアイデアを発表することで、自分の思想が学問として伝えられます。
有体に言うと、教科書を塗り替えることになります。
「いま皆さんが学んでいる内容は、自分の発想と比較して劣るので、後輩たちに教えないでください。
代わりに、私のアイデアを教えることにしてください。」
という営みです。
このとき戦うライバルは、歴史上に名を残している学者さんたちです。
この時点で同格かそれを超えることを求められます。
「これ(教科書を塗り替える新しい発明)が出来ない人は、
今後一切、頭の良いふりをしないでください。
人類として50歩100歩です。」
学会とはこういうノリです。知のプロですから、当然のプライドでしょう。
一般に知られておりませんが、
こうした学者の活動は、国の権威で運営されておりません。
学者同士が集まって私的なサークルを作り、会費を募っています。
論文もその中で発表し、互いに情報を共有する仕組みです。
修士課程、博士課程の終了審査や助教授、教授のへの昇格審査も先生たちが勝手にやります。
この時に、権威ある学会(私的なサークル)での活動実績を評価の対象にします。
簡単に言うと、オタク趣味でノリノリのサークル活動です。
海外まで遠征に行きますので、いまのコミックマーケットに近いものです。
(今でもノリは全く同じだとおもいます)
何とかして自分のアイデアを評価してもらい、
「多分・・・君の考えは、ニュートン(例え。ニュートンはすでに負けていますが)に勝ってるよ。
うち(うちの国)では今後君のアイデアのほうを採用して教科書に載せるよ。」
と言っていただこうと頑張るわけです。
この様な栄誉を得られるためならば、ジャンルは何でもいいかもしれません。
または好きな分野であれば余計に喜びも大きいでしょう。
さてここで考えてください。
理科系でこの道に進んでいる人が、SF小説を読んでどう思うでしょう?
コンピュータについて学んでいる人が、ハッカーを題材にした漫画を読んだらどう思いますか?
「なんて荒唐無稽。少しは謙虚に、物理学や情報処理学を学んだらどうだろう?
それが好きな人が集まって、情報を交換しているんだよ。(私の学会は小さいけどさ)。
君が適当に書いた小説のプロットは、もうこの前私が(学会で)発表しているんだ。
そのあたり私に聞きにきてもいいんだよ。(学生にも相手にされないで、結構寂しいんだよ)。
私のアイデアが正解とまでは言わないけど、少なくても現在の人類の中では一番マシと
言われているんだよ。
ネタに困ったら聞きに来てくれればいいのに。」
とか思うんじゃないでしょうか。
アイザック・アシモフと言う有名なSF作家が居るんですが、この人は生化学者です。
大学の教授にまでなっています。
しかし彼が書いてヒットしたSF小説(エンターテイメント=大衆文学)の中には、
架空の歴史や架空の社会などが出てきます。
これについては異分野ですよね? ちゃんとそれ専門の学者さんに学んだんでしょうかね?
エンターテイメントでも人間考察に近い部分を入れないと、面白みが欠けます。
これについては異分野ですよね?
先ほど説明しましたが、歴史オタクや社会オタク、人間考察オタクって、昔からいたわけですよ。
このオタクたちが集まって、私的なサークルを作ったのが学会です。
彼らの発表を教科書に載せて学生教育し、学問として国が研究を支援しているわけです。
つまりパトロンつきですよ。
そこにいる人間を捉えれば、小説家と全く同じであります。
しかし、後者は前者の専門家を無視して、「創作だし?」とか言うノリで適当を描いてしまいます。
ある日本の大ヒットしたSF小説は、人名を歴史書からランダムであてたとか。
これを読んだ大学の歴史マニアの人が、「この人相当詳しいと思える」と評価していました。
「いや、名前考えるの大変なのでランダムだったそうですよ」
と答えたら呆れていました。
たしかに、「これ嘘なので取材とか検証とかしないでもいいですよね?」と言うノリですから。
小うるさいことを言うのはおかしい。
しかし、同じものに興味を持っているただの人の集まりだとしたら、
虚実をわけずに、互いに談笑するくらいの気持ちで意見交換くらいはしてもいいですよね。
実から生まれる虚って、本当に面白いものになりますよ。
しかしマスコミが登場してから、こういったオタクと一般の間に乖離が生じています。
途中に創作というジャンルが挟まってしまい、ここがマスコミと連動しているからです。
学校の先生は学者さんですから、その立場からすれば、
文学全体で取り扱うネタは、既出なんですよ。
「それについては、僕のサークル(学会)のxx君が解決している。
なんで君がいまさら思いついたように書くんだよ。」
論文は文体が違いますから、冷たい印象になりますが、
読みなれていきますと、小説と代わらないくらい熱いですよ。
単に表現のルールが違うだけです。
学者のほとんどは、自分が物書きだと思っています。
いまでこそ権威ある賞となっている、文学の各賞。
しかしリアルタイムで同じ活動を古くからやっている学者さんたちにとっては新参者。
ほんとうの意味で権威があるんでしょうかね?
「内容は既出だし答えは間違っているし、これを誘導するし。」
「こんな嘘、誰も信じないだろう?」
と思っていたら、そうでもない。
「信じる信じないは人の勝手だし、何かを感じてもらうというのが、彼らのやりたいことだし。
それでいいんだけどさ。
これらについては、大昔に回答が出ていることくらいは、調べて欲しいなあ。
僕らは論文に必ず、リファレンスを入れるんだよ。
”私が問題提起したわけじゃないです。この人が先に考えました”ってね?
今新しく論議されているわけじゃないんだと言う事。
こうした事が起きていると言う事。
それくらいを僕が教えている学生に諭すくらいしていないと、
僕らの先輩(偉人として名を残している学者)に申し訳ないと、
僕が感じてしまうんだ。」
わたしは理科系でして、専門分野が違うので、テンターテイメントですとファンタジーが好きです。
SFを読んでいた時代があるのですが、耐え切れませんでしたね。
社会や歴史、人間を扱ったテーマですと大好きです。
とはいえ、このジャンルの専門家はおそらく耐えられないでしょうね。
前提となる知識ベースが違うので、論議をしても仕方ないんです。
小うるさいことをいっても、
「知識を振りかざしても仕方ないでしょ?
こういうのは楽しめばいいんだよ。
そういあたりって分かってないと、人間的には魅力に欠けるって言われるよ。」
と鬼の首を取ったように反撃されるでしょう。
「ざけんな、どんくらい俺がオタクで現実逃避マニアであるかわかってるか?
俺だって小説読んでるときは、知識すっぽ抜けだからね?
むっちゃ楽しんでるよ。負けないから!」
というのが本当のところですが、やりあっても面白くない。
これらを総合すると、
「外国語・歴史・哲学・心理学・社会学・宗教学等々も謙虚に学んでほしい」
という中庸なお願いになるんだと思いますよ。
読み手の知識レベルをあげて、書き手の取材を誘うのも必要でしょうね。
そういうものは、知識が無い人が読んでもとても面白いです。
そして、それ以前に、
学問での活動と言うのがコミックマーケットと同じであり、
”勉強”と言う圧政により、楽しいものだという概念が一般に失われてしまったこと。
これが問題でしょう。
謙虚に学ぶ前に、ここが本質的な問題とおもいます。
ご質問に書かれています、
「文学から何らかのエッセンスを読み取る・抽出するために、
「外国語・歴史・哲学・心理学・社会学・宗教学等々を学ぶことはいいことだ」と思います」
という記述ですが、
ほんとうは、
「文学を楽しむために、関連する専門分野を調べて、オリジナルを発明した人々のノリも想像すると
より面白くなると思います」
というのが真実じゃないでしょうか。
小説はすべて創作ですから、つまらないと感じたらそれまでです。
これの本ネタは専門ジャンルで紹介されていますので、創作を理解できなくても大丈夫です。
我慢して何かを得ようとするほうが愚かでしょう。
そうだったのか!と気がつくためには、確かに謙虚に学ぶ必要があります。
以上、ご参考に成れば。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
通りすがりの大学生の一意見として見てもらいたいのですが、
「エンターテイメントの文学」は大衆という多くの読者に受け入れられる作品であって、商業性という「売れてなんぼ」という考えのようなものが根本にあると思います。また、売れる作品にするためには個人的な意見ですがその作品の中核となる話題に対してキッチリスッキリ作品内で片をつけて物語が完結することが必要とされるかと思います。なぜならば、そのような作品は読者が読後に「考える」という手間がかからないからです。例えば、ミステリー小説などは事件の発生、そして解決というメインの流れはスッキリ終わることが多いので、読後に犯人は誰か、動機はなんなのか、トリックはどうだったのかなどということを考える余地はあまり残されていないことが多いかと思います。小説を忙しい日常から逃れる一時の娯楽と考えるならば、それも当然のことかと思います。
「人間考察の文学」は「エンターテイメントの文学」に対立するものだと考えると、作品内で片がつかない、一読した程度では何のことだかよくわからないような作品のことを指すかと思います。このような作品は読者が読後に「考える」必要があります。そうでないと作品はほとんど意味を持たないでしょう。では何を「考える」のかと考えると、「人間とは何か」という未だに人が解決できていない大きな問題についてなどではないかと思います。他にも「死とは何か」「善とは何か」「美とは何か」「言語とは何か」「歴史とは何か」などの問題があると思いますがこれらの問題全てを観念的な人間の営為であると考えると「人間とは何か」という問に集約することができると思います。「人間考察の文学」という言葉はそのような前提で「人間とは何か」を考えさせるような作品のことを言うのかと思います。
「人間考察の文学」が含む上記のような問題は作品内でキッチリ普遍的な解決をして答えを出すことはできません(できたら世界が驚く大ニュースかと思います)。そして作品の内側にとどまらず外側にまで波及するものだと私は思います。つまり、作品内にある問題を作品の外から持ち込んだ「外国語・歴史・哲学・心理学・社会学・宗教学等々」を用いて解釈していくことが必要とされるのだと思います。ゆえに作品を読解する(文学的に考える)うえでは文学だけを学ぶという意識では作品を読解することが出来ないので、その他の様々な学問領域をツールとして持って、それを応用して再度作品にあたることが重要ということなのではないかと私は思います。また質問者さんの受けた講義の先生の意図(計り知れませんが)もそのようなところにあるのではないかと考えました。
補足としてなのですが「エンターテイメントの文学」と「人間考察の文学」に一応の線引きはしましたが、その境界はひどく曖昧でこの分類ではっきりと分けるのは難しいと思いました。ゆえに「エンターテイメントの文学」においても「人間考察の文学」ほどではないにしろ上記のような手法で作品を読む余地はあるかと思います。
思わず長文(レポート課題みたいな)になってしまい読みづらいし、稚拙な文章ですが、質問者さんが読んで何か考える一助となるような内容になっていたら幸いです。
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