
前々から気になっていることがあります。
中国語の[イ尓](Ni3 「あなた」)という漢字なんですが、日本の漢字変換機能にはこの字はありませんし、漢和辞典にも載っていないはずです。
ということは、この字は、古代に伝来した何万何十万の漢字の中に存在しなかったのだろうと思いますが、
「あなた」「You」みたいな超基本的な単語を表す字が伝わっていないというのは、とても不思議です。
それとも、この字は中国大陸でも近代に新しく作られた字なのでしょうか?
この[イ尓]という呼称は、私の知る限りでは北京語・広東語・ミン南語にも出現します(発音は違いはあれど甚だしくは違わない)から、結構昔から使われていて変化していない言葉だと思うのですが…。
どなたかご存知のかたはいらっしゃいますか?
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちわ。
中国の文字の歴史を語ると'一文字'だけでも膨大になりますので、以下かいつまんで。
・「イ尓 ni3」:第二人称代名詞。(一般的には欧米人・中国人にとっての第二人称は単なる'you'です。日本人ほど上下を無闇に分別する習慣は薄いです)。
南北朝後期(西暦500年ころ)にはこの文字は成立していました。
秦漢代以前(おおむね2000年以前)は、「尓er3」をもって第二人称代名詞としていた。
その後、文字の意義の多岐化・分化を経過するうちに「尓er3」は、蚕や蚕の繭、然るに などの意に特化された。
そして人を表す義符の人偏「イ」を付加して第二人称代名詞として特化していった(1000~2000年前)。このころの発音は「nie3」。そのときに同時に同義と言うよりも尊敬が込められた「汝Ru3」も使用されていた(この文字は現代日本にも引き継がれていて、第二人称代名詞として生きていますね)(現代中国語でも「汝」は文語的表現で第二人称代名詞として使用中)。
それと同時期には、女子・女性だけに対する第二人称代名詞として「女偏に尓」で一字(発音はni3)が使用されていた。それは戦前まで一応使用されていました。
蛇足で、「イ尓ni3」の下に「心」が付加されて「nin2」と発音し、第二人称代名詞の丁寧語として使用している地方が有ります。北京土話が典型例ですね。それをまねて揚子江以北のもう少し上寄りの北方では現在でも丁寧語として流通しています。南方の人民は生涯に亘って使用しない人も大勢います。
「イ尓 ni3」の古代文字は、無論繁体字で「人偏に爾」で一字。「er3, ni3, nei3, ne」などと同字異音で発音されていたそうです。この繁体字は、1955年?ころまで使用されています。戦後の文字改革の元、掲題の文字に相成った次第です。
「尓er3」は現代では文語表現としてのみ、第二人称代名詞として生き残っています。「イ尓 ni3」が「尓」に対する口語文字です(おかしな表現ですが・・・)<^!^>。
>この字は、古代に伝来した何万何十万の漢字の中に存在しなかったのだろうと思いますが、
・掲題の文字は中国の歴史でも比較的新しい造り文字です。それでも500年ほど前には既にありました。上述参照。
>それとも、この字は中国大陸でも近代に新しく作られた字なのでしょうか?
・中国4千年の歴史から見ると新しいほうですね(汗)。上述のごとく西暦400~500年ころには成立しています。
>結構昔から使われていて変化していない言葉だと思うのですが…。
・第二人称代名詞は人類とともに有ったと思いますが、文字だけが変遷したというところでしょうか。
----------------
「尓」の繁体字「爾」は、MS-IMEでも「なんじ」で再現可能なように他人に対する蔑称として使用された歴史は無さそうです、手元の資料では。
単純に尊敬語として「汝」が造語されたと解釈したほうがよろしいかも です。(「なんじ」は「汝」で、日本では第二人称尊敬語として使用中ですね)。
中世時代の日本で漢字を流用・借用した際に、あえて難しい「イに爾」を採用しないで、第二人称として「汝」が既に使用され流通していた、あえて難しい「イに爾」を採用しないで、それで良し として現在に至ったんではないでしょうか(私見)。
日本人が盛んに中国文字を採用しだした頃は既に「汝」は存在していました。以上です(^^♪。
歴史からの詳しいご回答、ありがとうございます!
手元の”現代漢語詞典”で「尓(爾)」をひいてみたところ、なんと第一項で”イ尓”の意、とありました。
また、おかげで”尓詐我虞”という成語も知ることができました。”詐”も”虞”も「だます」という意味で、「互いに疑い騙し合う」、つまり「きつねとたぬきの化かし合い」みたいな意味になりますね。
勉強になりました。
No.6
- 回答日時:
「物書き」のひとりですが、中国語は知りません。
まず「日本の漢字変換機能にはこの字はありませんし、漢和辞典にも載っていないはずです」とのことですが、漢字変換機能にはあります(辞典については下述)。ただし制約があって、このサイトでは表示できません。
「イ尓」と「イ爾」の関連については、#2のご回答とそれに対する「お礼」で、ご納得と判断しますが、ほかに異体字があります。「价」の右下「ノ|」の部分を「小」に差し替えた文字です。すべて「じ」を「変換」することで、WORDなどで表示可能です。念のため、上記3字のUnicodeは、順に、4F60、511E、4F31ですので、『全角で』Uを付けて「U4F60」(表示は「う4f60」)と入力して、F5→選択(左クリック)→Enterの要領でも表示できます。
「イ尓」は簡体字ですが、中国独自の文字ではなく、日本でも「イ爾」の略字として使われます。もちろん常用漢字でないことから、ほとんど一般で見ることのできない文字であることは事実ですが。
JISの第3水準には「イ爾」とともに登録されています。それは
http://homepage1.nifty.com/kotobukijirushi/ddt/j …
で確認できます。私の手持ちの2種の漢和辞典のうち、1種には「イ尓」も「イ爾」も登載されています。すなわち日本の文字であるということです。
参考URL:http://homepage1.nifty.com/kotobukijirushi/ddt/j …
No.4
- 回答日時:
私も中国語を勉強していますが、同じ疑問をもっていました。
最近は「あなた」とひらがなで書くことが多いですが、これは日本では貴方と書いていて、相手に対する「きみ」の軽い尊敬語として、やや気がねのある表現が元のようです。もちろん「あんた」や「お前」など、逆の表現もいっぱいあります。
日本では、貴方、貴君、貴女、君など、相手を指す言葉が多く、また中国語でもイ尓は地域によって、あなた、彼、きみ、お前、あんたなど、その意味するところやニュアンスが多彩のようです。
すでにあった日本語の二人称と、中国語での二人称が近いものがなく、漢字を輸入し引用したときに選定から漏れていったのではないか、と私は考えていました。
また、時代とともに日本語でも中国語でも、言語自体が変化してしまう、選ばれずに残ってしまったのがイ尓ではないでしょうぁ。
一人称でも、我、己、自など使える漢字は入ってきましたが、現在の日本ではわたし(私)と表したりします。
なるほど。日本では、「イ爾」はだんだん使いにくくなって、時代がたつにつれ違う字での表現が好まれて使われるようになって、この字は忘れられていったのかもしれませんね。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
日本国内では使わない漢字ですよね?
それにワープロ時代に国内で使われる文字でさえ第1水準、第2水準に入らなかった漢字も多かったんですから、共産圏の簡易文字なんかは対象外になるでしょうねえ。
今考えると、おとなりの国の挨拶文字ぐらい第2水準にいれておけばいいのに・・っと思いますねぇ。

No.2
- 回答日時:
いや、昔からあった漢字ですよ。
ご存知の通り中国語では簡体字が使われていますよね。元の漢字は人偏と爾を合わせた字です。おお、そうだったのですか!
早速、辞書検索で調べてみましたら、
おれ【爾・[イ爾]】
[代]二人称の人代名詞。相手を卑しめていう。貴様。おのれ。「虜(いやし)き爾(やつこ)が造れる屋には、―自ら居(いりゐ)よ」〈三条本神武紀〉
とありました。
相手に対する卑称として使っていたんですね。
古代中国でも卑称だったのか、それとも日本に伝来してから卑称に変化したのか、疑問は残りますが…。
長年の謎が解けました。
ありがとうございました!
No.1
- 回答日時:
日本語でYOUを指す単語を上げていくと、
あなた、きみ、おまえ、そなた、そち……
などですが、君、御前などの尊称が変化したと思われるものと、あなた、そなた、そちなどの、方向を示すことで、相手を指し示すような単語になると思います。
このように日本語では古来から直接的に相手にたいしてYOUといった形での呼称がなかったのではないでしょうか。
婉曲的な表現で相手を指したり、主語を省略するような語法によって、YOUにあたる漢字に適切な語がなかったのではないでしょうか。
ご返答ありがとうございます。
ですが、質問の主旨とは少々違うかと思います。
私の疑問は、漢字の伝来についてで、[イ尓]という現代中国語では基本中の基本の字がなぜ日本に存在しないか、ですので…。
伝来したある字が、たとえ日本語の語彙のなかにはないもの、或いは元からのヤマトコトバに当てはめにくいものであっても、昔の日本の学者は几帳面にちゃんと収録してきたはずではないでしょうか。
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