『一つの寓話 ― 認識のドン・ファン。これはまだいかなる哲学者にも詩人にも発見されていな
い。認識のドン・ファンにはその認識する物を愛するこころが欠けている。しかし彼は認識の狩
猟とかけ引きに対しては、知恵や欲望や享楽心を持っている、― 認識のもっとも高く、もっと
も遠い星に至るまでの!こうしてついには、彼の手に入るものとしては認識によって絶対の苦痛を与えるものしか残らなくなる。あたかもあげくのはてはアブサンや硝酸を飲む酒飲みのように。
こうして彼は最後には地獄ゆきの欲望に駆られる、― それは彼を誘惑する...
最後の認識だ。たぶん地獄も、すべての認識されたもののように、彼を幻滅させるであろう!こうしてそこに彼は永久につっ立っていなければならぬだろう。幻滅に釘づけされ、みずから「石の客人」と化し、もはや与えられることのない認識の晩餐への願望を抱きつつ!―つまり、全世界にはこの空腹者
に与えるべき一片の食物ももはやないのだから。』
これはニーチェの『曙光』からの引用ですが、「認識」を、「変化」或いは「進歩」に置き換えた場合、人間は「テクノロジー」の進歩を、或は「科学の進歩」を思いとどまることができるでしょうか?
言い換えれば、「ヒトは、前進することのみが可能で、立ち止まること能わざる生き物」ではないかという気がします。
これはただ、問いのみが存在して、いただいた回答を質問者が理解できない可能性が高いと思われます。
お礼の遅れ、或いは形式的なお礼に終わるかもしれませんが、哲学、思考の下地がない者の「疑問」として受け取っていただけますよう。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
物質的な「進歩」に極端に偏った現代社会の価値観を、精神的「進歩」
に転換できないのか?
そういうご質問であると受け取りました。
人間は「変化」を求め、「創造」に歓びを感じる生物であることは間違
いないと思いますが、現代の「消費文明」においては、与えられるばか
りで、「物質」に依存した生活を続けることによって、「精神」が干か
らびてきていることは、「音楽」「映画」「アニメ」などの現代のメイ
ンカルチャーの中に、精神性が枯れ果てているところから、私は感じ取
っています。(少々過激な発言ではあります)
新しい日本人が作る詩は、言葉がデジタルで、二次元なんです。(もちろ
ん昭和の感覚からの意見です)
ゲームにしても、ドラマにしても、あるいは時代劇にしてもキャラクター
が、やはり造られたもので、精神性を感じ取ることができないのです。
消費文明である現代社会において、既得権益を得た人間たち、あるいは
それを狙う人間たちは、それを守ろうとするはずです。
ですから、それを変化させることはとても難しいことですが、現代の若
者たちが「昭和歌謡」に魅かれていることからも、人間は物質よりも精
神性を求める本質があると信じています。
人々が、精神性を求めるようになれば、あっさり変化すると思います。
しかし、自然にそうなるとは思えず、社会のどこかにその強い意志が存
在しなければならないでしょう。
はじめまして。
テレビを見る習慣の無い者として、或いは新作映画などを見ることの無い者として伺うのですが。
>精神」が干からびてきていることは、「音楽」「映画」「アニメ」などの現代のメインカルチャーの中に、
精神性が枯れ果てているところから、私は感じ取っています。(少々過激な発言ではあります)
これは例えば20世紀の作品と比べて、どの辺りがそのように感じられますか?
「言葉がデジタルで二次元」、というのをわかりやすく説明頂ければと思います。
>現代の若者たちが「昭和歌謡」に魅かれていることからも、
人間は物質よりも精神性を求める本質があると信じています。
成程、人間は際限なく変化を求めると同時に「精神性」をも求める生きものだと思われるのですね。
おもしろい、といっては失礼ですが、魅力ある仮説ですね。
そうあれかし、と願いますが、
>社会のどこかにその強い意志が存在しなければならないでしょう。
何が契機に成り得るでしょう?
例えば「レトロ感覚」を好む若者=「精神性への飢餓」と、ダイレクトに結びつくのか、と疑問に思ってしまいます。
もう少し現代の物象化とデジタル化を「核の保有」と同レベルの「精神の危機」として捉え、人々の意識の俎上に乗せられないものかと思うのですが、時代遅れの感傷に過ぎないのかな?
分かりやすいご意見を伺うことができてうれしく思います。
No.5
- 回答日時:
かいどく
ヒトゲノム計画...
MNG?
技術の進歩と特許制度の問題点
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi195 …
特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書について
https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/chousa/zai …
特許法104条の3
https://www.jpaa.or.jp/activity/publication/pate …
平成27年11月18日
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousa …
こんにちは。
技術の進歩と「特許法」との関連性がわかりませんでした。
質問の趣旨は、「人は技術の進歩(への信仰)を放棄し、中断しうるか?」ということでした。
リンクをありがとうございます。
お礼申し上げます。
No.4
- 回答日時:
お礼ありがとうございます。
>言葉がデジタルで二次元ということ
実例をあげてみましょう。
昭和歌謡では、日常生活の中での心情を素直に歌った曲が多かったと思います。
阿久悠氏などのトッププロの詩は洒落てはいましたが、構造は同じだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=WPH1BLHKOJE&list= …
ところが平成になると、自分の素直な心ではなく、あたかも美術作品のように、
言葉を配し作り上げる、というものが多いように思います。
ですからそれは、現実から離れていて「バーチャルな世界」「作品として創られた世界」
といえると思います。
それに価値なし、とは言いませんが、生身の人間の精神が「乗っていない」言葉に思えて仕方
がないということです。
その傾向は、あらゆる文化的作品ににじみ出ているように思います。
要するに、昔田舎から出てきた「お上りさん」が大都会の華やかさに目が回り、方言やら田舎の
習慣を捨ててしまい、都会人を気取っていたのとまったく同じように、ITを駆使する現代人と
粋を理解する風流人を気取っている、と私は醒めた目で見ています。
仰るように、日本の伝統的美意識は日本人は見えなくなっており、外国人に教えてもらったほうが
いいようですね。
こんにちは。
お礼が遅くなって申し訳ありません。
ニャンポコリンさんは、どちらかというと「私小説」的な歌詞(世界)がお好きですか?
わたしは60年代の生まれですが、昭和歌謡というと、田畑義夫の「大利根月夜」とか
小畑実の「貫太郎月夜歌」或いは「お富さん」などが好きです。(笑)
これは単に「趣味の問題」ですが。
>生身の人間の精神が「乗っていない」言葉に思えて仕方がないということです。
きっと仰る通りなんでしょうね。
生身の人間の「精神」は本当にこのようなテクノロジー万能の世界で息をすることが出来るのかと思います。
やはり人間にはリミッターはついていないのかもしれませんね。
ご回答をありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
洞窟という環境に於いては、目の退化も進化です。
拡大成長を許さない厳しい環境では、ゼロ成長下に於ける効率化や精神的側面での充実感の増進などが目指されるでしょう。
はじめまして。
>洞窟という環境に於いては、目の退化も進化です。
えっと、この辺で既にわからなくなっているんですが、
「暗順応」ということを思います。暗闇の中で次第に目が慣れて見えてくるようになること。
今は世界に闇とか「陰影」というものがなくなって、「白い光」に至る所煌々と照らし出されているように個人的に感じています。
「知り尽くし」「照らし尽くし」「暴きつくす」。そんな世界の姿が人間から情緒(陰影、心のひだ)というものを失わせている気がしています。
わたし個人はこの「明るさ」に「順応」できずにただ呆然と立ち尽くしています。
的外れなお礼になりました。
ご意見をありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
ドイツ人の旦那が哲学を専攻しています。
質問に対して、彼の答えは「人は止まることはできないだろう」とのことでした。
老いた人は現状維持をしたがるけれども、若者は人生の楽しみのために止まることはしないだろうと。
学ぶことなく人は育たないので、結果としてニーチェの考えは正しいのでは?というのが彼の考え方のようです。
ただ、質問者様のおっしゃるようにニーチェの考えはいわゆる「オープンクエスチョン」が多く、回答が見出しづらいようです。そのためニーチェを研究する学生が多い反面、ニーチェを教える教師が少ないのが現状とのことです。
ただ、これを直接科学に置き換えることは彼はしませんでした。
ニーチェの生きている時代にはそもそも科学的な技術がそれほどなかったことが理由のようです。
肉体的な進歩でもなく、あくまでも精神的な意味での進歩を意味するとのことです。
語彙が少なく完全に伝えることが難しいのですが...参考になれば幸いです。
はじめまして。
>ニーチェの考えはいわゆる「オープンクエスチョン」が多く、回答が見出しづらいようです。
そうですか。個人的にはそういう方が好きです。なんというか、「これが答えだ」というようなものではなくて、
見る角度によっていろいろに考えることができるような。
それによって例えば「現状肯定」の立場であるとか、「批判的」「否定的」であるとかが見えてきますし。
>ただ、これを直接科学に置き換えることは彼はしませんでした。
ニーチェの生きている時代にはそもそも科学的な技術がそれほどなかったことが理由のようです。
肉体的な進歩でもなく、あくまでも精神的な意味での進歩を意味するとのことです。
そうですね。ここではたまたま昔に読んだ「しまいにはアブサンや硫酸までにも手を出してしまう・・・」というような箇所に惹かれて
引用しました。
20世紀後半の通信技術の革新。特に「携帯電話」や「スマートフォン」の出現で、人は24時間世界のどことでも連絡を取れるようになりましたが、それによって例えば、『めぐり逢い』や『また逢う日まで』『君の名は』等の名画は生まれることは無くなった。
公衆電話が消えて、10円玉がボトリ、ボトリと落ちていって、最後の10円玉が飲み込まれて、「ツー・ツー・ツー」
「ああ、切れたか」という『男はつらいよ』の寅さん的情緒も消えてしまった。
質問者の疑問はそのように「干からびた世界」のように見える今、人はどのように、情緒をはぐくむことができるのか?
という点にあるようです。
回答の趣旨からずれているかもしれません。
分かりやすいご説明をありがとうございました。
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