
無線に関してど素人な者です.
「短波放送はAM放送よりも遠くまで届く」という話を聞きました.普通に考えると,波長の短い波ほど早く減衰し,波長の長い波ほど遠くまで届くはずで,波長の短い電磁波を使っている短波放送が,波長の長い電磁波を使っているAM放送よりも遠くまで届くなんてありえない,と思い調べてみました.
(その中で,AM・FMは変調方式の違いを表しているという事も分かりました.波長のことを指していると思っていたのですが,全く違うのですね.そして,変調方式だけでもかなり奥が深いのですね.)
すると,短波放送は上空の電離層で反射するから,地球の裏側まで電波を届けることも可能だという事が分かりました.それを調べている中で,短波よりもさらに波長の短い超短波(VHF)や極超短波(UHF)は電離層を突き抜けて宇宙空間にまで到達するということが,とあるWebサイトに書かれていました.
http://www.ne.jp/asahi/yokohama/cwl/dempa.html
このWebページを読んでいる中でさらに疑問が沸いてしまいました.
なぜ,短波よりもさらに波長の短い超短波や極超短波は,電離層を突き抜けることができるのでしょうか?そして,なぜ短波は電離層で反射されるのでしょうか?
電離層の電子の密度が,短波にとっては全く通り抜けられないほど密であり,超短波や極超短波にとっては容易に通り抜けられるほどスカスカな「ほどよい」密度だったため,というだけのことなのでしょうか?
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
電磁気学を詳細に字ばないと正しい理解には至りませんが
簡単に説明してみます。
電離層とは太陽光によって空気分子が電離してできたプラズマの
層です。プラズマはその誘電率が電磁波の周波数によって大きく
変化することは容易に想像できると思いますが、
プラズマは誘電率の実部が1以下になる、光学的には
極めて奇妙な物質です。
電離層は、電磁波の周波数が高いと、真空より屈折率の低い
奇妙な物質にみえます。このため、電磁波の振る舞いは
水中から水面を見上げた時の光の振る舞いに似ています。
電離層に深く電磁波が入射すると一部突き抜け、
浅く入射すると全反射するのです。
電磁波の周波数が高ければ高いほど、プラズマの誘電率は1に近づき、
突き抜けやすくなります。
また電磁波の周波数が高ければ高いほど、電磁波はプラズマ中で減衰し難くなります。
電磁波の周波数が低くなり過ぎると、プラズマの誘電率の実部が
負になり、屈折率が虚数になってしまうという、普通の
物質では有り得ない状態になります。
この限界周波数を臨界周波数と呼び、プラズマの密度
が大きいほど大きくなります。
臨界周波数以下では、電磁波の入射角に関わらず、プラズマは
電磁波を鏡の様に反射してしまいます。
中波は、高さ100kmにできるD層にとって中途半端に
周波数が高く、臨界周波数が数百KHzのD層を突き抜ける際
激しく減衰してしまいます。
短波はDE層を易々と抜け、高空に有るプラズマ密度の高い
F層で反射します。遠くまで届くのはそのためです。
以上の説明は、プラズマ独特の光学的性質によるものなので
実際にマックスウェルの方程式を解かないと納得し難い
ものです。比喩を使って説明するのは無理だと思います。
電離層の状態がプラズマ状態だったんですね!
あらためて調べてみて、初めて「プラズマ」を理解できました。第四の状態って一体なんだろうとずっと思っていました。
空気中における電磁波の散乱・減衰と、プラズマ中における電磁波の挙動というのはけっこう違うのですね。
お恥ずかしながらプラズマはまったくと言って良いほど勉強したことが無かったので、ちょいちょい本を読んで勉強してみようと思います。
ありがとうございました。
No.9
- 回答日時:
回答の補足というか、他の回答で出てくるエネルギー説と
共振説について。
プラズマ中の電磁波の伝搬は、自由運動する電子と電波の
相互作用という非常に単純なモデルから出てくるのもで
非常にシンプルなものです。
#電子が電波以外から力を受けないという単純モデルで計算するだけ
ですので、量子論から出てくるエネルギー論から反射を論じるのは
ナンセンスだし、共振(共鳴)は理論上存在しません。
自由運動する電子の場合、変位の分極の位相が
電場に対して反転するため(電場の2回積分に比例するため)、
電子の分極方向が常に通常の誘電物質とは逆になり、
比誘電率が1以下や0や負になります。
これがプラズマ中での電波のふるまいを決めています。
共振(共鳴)では誘電率(屈折率)は共振点で逆に発散するので
現象は明らかに異なります。
たくさんのご回答,本当にありがとうございました.
なぜこんなに混乱するのだろうかと悩んでいましたが,電磁気学と量子力学の理解がごっちゃになっていたからだったんですね.(つまり,光の波動性と粒子性を上手く分けて理解できていない?)
この機会に,再び電磁気学をちょっと勉強しなおし始めました.
ベストアンサーは大変悩んだのですが,痒い所に最も手の届いた感じがするNo.5のご回答に選ばせていただきました.
あらためまして,たくさんの方からのご回答,ありがとうございました.とても勉強になりました.
No.8
- 回答日時:
>この,特に⑤⑥の部分の説明が理解できないのです.
>①〜④の考え方と,⑤⑥の考え方は矛盾しているような
>感じを受けるのです.
電離層反射と空気の話がごっちゃになってますね。
電離層の反射や透過は所謂「無線周波数」領域の話で、
このあたりの周波数では、「空気は透明」です。
空気は、波長 1 mm以上の電波と一部の赤外線と可視光以外は
「吸収」してしまいます。
例えばX線は空気分子の「プラズマ化」に使われ(吸収され)、
紫外線や赤外線に変換されます。
高エネルギー紫外線はオゾン分子の電子の励起に使われ(吸収され)、
低エネルギー紫外線や赤外線に変換されます。
赤外線は水蒸気や炭酸ガスに吸収され、赤外線として再放射
されます。
つまり、大気は大部分の光に不透明であって、
可視光というのは大気が僅かに通す光の「窓」なんです。
このあたりはメカニズム的に量子カ学の範疇で、
ラジオ波の電離層反射のメカニズムとは全く別物です。
No.7
- 回答日時:
>共鳴はむしろ,減衰してしまう地上波を基地局?で増幅して
増幅はされません。
打ち寄せる波が防波堤で増幅されるわけではない。そもそもの波の原点に立ち戻ってみましょう。周囲から力を受けて動かされた媒質はもとに位置に戻ろうと周囲360度全体に対して影響を与えます。それは、水面に一滴水滴をたらした時に周囲に広がるのと同じで。防波堤では波面がぶつかったところすべてで起きるために、あたかも波が波面を保ったまま反射されるように見える。それが波の反射です。
結果的に増幅はしない。条件が良ければ---他のエネルギーに変わらなければ---減衰もしない。
>電離層で「反射する」と皆さんは書いておられるのですが,これは電離層の電子が共鳴することで電磁波を発し,一見すると反射しているように見えるということなのでしょうか?
ということです。
というか、反射とはそういうことです。
もしそこで熱エネルギーに変換されるなら吸収ですし、共鳴するものがなければ素通り--透過してしまう。
それを詳細に説明するにはマックスウェルの方程式などの道具を使ってもよいのですが、それは説明の道具であって、理解とは程遠い。それで煙に巻こうとするのは理解できてないからです。
何度もありがとうございます.
>>電離層で「反射する」と皆さんは書いておられるのですが,これは電離層の電子が共鳴することで電磁波を発し,一見すると反射しているように見えるということなのでしょうか?
> ということです。
> というか、反射とはそういうことです。
> もしそこで熱エネルギーに変換されるなら吸収ですし、共鳴するものがなければ素通り--透過してしまう。
そうなんです,一番理解できていない点はここなのです.
①太陽からの電磁波のうち,短波長(高周波数)なもの(ガンマ線,エックス線,紫外線など)が地球大気(分子)に衝突して遮られる.この際,電磁波の持つエネルギーは大気分子をプラズマ化(電離)させる(No.1, No.3, No.5).
②電離層は高度により電子の密度が異なる(No.4)ため,最も高エネルギーの電磁波が降り注ぐ大気上層では,最も強力な電離層(電子の密度が最も高い)となる(No.1).
③長波長(低周波数)なもの(可視光)は,電離層や大気分子に全て遮られることはなく,地表まで到達する.
④つまり,可視光よりも波長の長い電磁波にとって,大気分子や電離層は「素通り」できるスカスカな状態(共鳴するものが無い状態,No.7)と考えられる.
⑤ところが,地表から放たれたさらに長波長な電磁波(いわゆる「電波」)は,なぜか電離層を透過するものもあれば反射されるものもある.
⑥短波長な電磁波は高エネルギーなので電離層を透過でき,長波長な電磁波は低エネルギーであるため電離層で反射されると説明される場合がある(No.3).
この,特に⑤⑥の部分の説明が理解できないのです.①〜④の考え方と,⑤⑥の考え方は矛盾しているような感じを受けるのです.
もし①〜④の考えに従えば,かなり波長の長い電波が電離層で遮られる理由が分からない.
反対に⑤⑥の考えに従えば,可視光よりも波長の短い,より高エネルギーなガンマ線やエックス線,紫外線といった,太陽からの電磁波は地球大気をやすやすと通り抜けられる,という事になる.
現実には,ガンマ線やエックス線は大気で遮蔽されていますし,電波は電離層で反射されているので,私の考え方のどこかが間違っているはずです.しかしどこが間違っているのかがわからないのです….
No.6
- 回答日時:
>電子の密度が高いのならば,電場(電界)の強度が高いというのはわかるのですが….
物質(電子)からまだ卒業できていない?、そんな感じを受けます。
>電場・磁場における「屈折率」って何なんでしょう….
屈折率についての疑問?、屈折減少についての疑問?。
屈折率なら、光と同じでは?、入射角に対してどれだけ方向が変わるか。
言葉明瞭、意味不明と感じるところもあるように思います。
そのとおりです,まだまだ電子レベルです.電磁気学はマックスウェルの方程式を導出するところまでしか学んでおらず,電磁波への応用は全く触れたことがない程度の理解度です.
そのため,電場中に荷電粒子を入射させた場合の粒子の挙動などは計算できますが,電場中に電磁波を入射させた場合に電磁波が受ける影響というのはいまいちわかっていません.影響を受けそうだなというところまではわかるのですが….そして,可視光は電磁波の一種であるため,電磁波の「屈折」や「反射」と聞くと,中学・高校で習った可視光の屈折や反射に置き換えて考えてしまっています.
No.4
- 回答日時:
波はエネルギーの伝達方法。
例えば音で考えるとよくわかりますが、特定の振動数で振動する音叉をたくさん机に並べます。
一方から、いろいろな振動数の音を含んだ音を流すと、特定の周波数だけは、途中の音叉に吸収されて反対側に届くその振動数の音スペクトルは減少します。
一休さんが釣り鐘を指一本で揺らした話・・・とおなじ。
要は電離層は電子の密度で、特定の振動数の電磁波に共鳴して自らが音源となって発してしまうということ。
No.3
- 回答日時:
電波も光も放射線も、みんな「電磁波」です。
波長・振動数の違いです。大気圏の電離層自身が、太陽からの紫外線や放射線といった「電磁波」によって大気中の原子分子が「電離」させられことによって存在しているので、「電磁波と相互作用する」ということです。電磁波が主に相互作用するのは「電子」で、この電子を「跳ね飛ばし」たり(自分自身は反射)、吸収されてエネルギーを与えたり、電磁波の速度が変わって「屈折」したりするようです。このうち「反射」と「吸収」が電離に関係するのでしょうね。
ということで、そういった「電離層」の成り立ちからして、電磁波である「電波」とは密接に相互関係がある、相互干渉を起こすということです。
電離層自体も、下層から上層にかけて、電離の度合いすなわち「自由に飛び回る電子の密度」が違うようです。また、自由に飛び回る電子が多いということは、原子分子に束縛されない電子が多いということなので、電子の平均運動エネルギーも高いということです。
さらに、こういった電離層の層の構造は、太陽光が当たる昼間と、太陽光の当たらない夜とでは変化するようです。
こういった複雑なメカニズムによって、電離層の「高さ」によって、そして昼夜によって、どんな波長の電磁波と干渉しあうか、その干渉の「透過」「吸収」「反射」の比率が変わるようです。(電磁波のエネルギーは「振動数」に比例し、波長は「速度/振動数」ですので)
一般的には
・エネルギーがかなり大きい(振動数が高い、波長が短い)と、突き抜けて透過する。
・エネルギーがそこそこ大きいと、透過はするが吸収されて減衰する。一部反射される。
・エネルギーが小さい(振動数が低い、波長が長い)と、透過できずにほとんど吸収、一部反射される。
なのでしょうが、それが電離層のどの層と、どの程度の割合で起こるかということによるのだと思います。電磁波との相互干渉のしかたは一つではなく、「電離層のこの層は透過するが、この層で反射される」とか「ほとんどこの層で吸収されて減衰」とか。
反射されるにしても、「反射量」と「吸収量」の比率がどうなるかによって、地上で「反射波」が検知できるかどうかが変わるのでしょうね。
あまり定量的には説明できませんが、定性的にはそんなことではないでしょうか。
↓ ウィキペディアの「電離層」をご参考まで。電波の反射も簡単に触れられています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E9%9B%A2 …
ありがとうございます.定性的には何となく分かってきました.
当然,太陽からの電磁波の影響を最も強く受けている大気上層は,電子の密度や運動エネルギーが高く,VHFより波長の長いほとんどの電磁波は反射させてしまうのですね.
あとは「反射量」「吸収量」(減衰率?)をきちんと式で理解できれば,なぜVHFやUHFより短波長な電磁波が透過しやすいかがすっきりするのですが…これは時間をかけて丁寧に勉強するしかないですね.
ありがとうございます.
No.1
- 回答日時:
はじめまして
電離層は紫外線やエックス線などにより電離した領域です。ですので上層の電離層ほど強力です。一方、電磁波は波長が短いほどエネルギーは高くなります。
で、どうなるか、長波のような光子のエネルギーの低いものは、弱い電離層でも跳ね返されます。短波のようにそこそこエネルギーのあるものは、低層の電離層は突き破るものの、高層の電離層で跳ね返る、さらにエネルギーの高い極超短波だと高層の電離層も突き破るということでしょう。
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振動数の高い(波長の短い)波ほどエネルギーが強く,振動数の低い(波長の長い)波ほどエネルギーが弱いということは存じています.
例えば中学・高校の理科では,同じ電磁波である可視光線の場合,波長の長い赤色光の方が大気中の塵などで散乱しづらいため遠くまで届き,波長の短い紫・青色光は散乱しやすく遠くまで届かない,と教わります.これは波長は違うが「エネルギーを同じに揃えた波を照射した場合」という前提の下でしか成り立たないということなのでしょうか?それとも,これは大気中の塵や気体分子が,「たまたま」可視光にとって減衰が顕著に分かれる密度であったためで,波の一般的な性質ではないということなのでしょうか?
ご回答ありがとうございます.
共鳴はむしろ,減衰してしまう地上波を基地局?で増幅して伝達するのに用いられている現象だと思っていました.
電離層で「反射する」と皆さんは書いておられるのですが,これは電離層の電子が共鳴することで電磁波を発し,一見すると反射しているように見えるということなのでしょうか?