下記の文章は、「雪のふる街」(本間昭南・著)の一節です。(284~285ページ)
>賢一は何も言わなかった。ただ黙って相変わらず加世の肩越しに海を見ていた。
>その時になって彼は彼女が、自分に背中を向けて海を見ていてくれて良かったと思った。
>彼は素早くマフラーでごしごしと顔を拭った。それで少しは平静な表情に戻ったと思ったが、掛ける言葉はまだ見つからなかった。
>「私、今年から学校に行くわ。多分もう大丈夫だと思う。あいつらはあいつら。私は私だものね」
>加世は勢いよく振り向いて賢一を見た。
>賢一はその顔を見て、思わず息を呑んだ。
>彼女がこんなにも嬉しそうに、しかも晴れやかに笑うことができるとは想像もできなかった。
>つられて賢一も笑った。
>その瞬間、喜びが胸の奥からこみ上げて来た。
>「そうだとも、加世。そうだとも」
>賢一は思わず心の中で叫んでいた。
>腰を伸ばし、両手を空に突き上げて伸びをすると加世も立ち上がり、それから彼を真似て両腕をぐいと上げ、続いてぴょんぴょんと飛び跳ねてみせた。
(質問その1) 著者は、賢一のことを「彼」とか「賢一」、加世のことを「彼女」とか「加世」とか表記しています。その表記はバラバラです。ここに問題はありませんか。
(質問その2) 「掛ける言葉はまだ見つからなかった」の「まだ」と、「それから彼を真似て両腕をぐいと上げ」の「それから」は不要ではありませんか。
No.5
- 回答日時:
その1
「賢一」表記は作者目線。
「彼」表記は登場人物目線。
厳密じゃないけど、おおよそその傾向は守られている。
その2
その効果を説明することはできるけど、ごめんなさい、ちょっと面倒で。
文法的に不要でも、あえて冗長化することで強調するといったロシアフォルマリズム的手法もあります。
これは報告書とかじゃなくて文芸ですから、無駄であること=不要、というわけではありません。
もしあなたが不要だと思うなら、あなたにとってこの文体が好みじゃなかったというだけですね。
好みの問題です。
だいたいそれを言い出したら、この小説があろうがなかろうが世の中はつつがなくまわるわけで、
この小説自体が不要です。
回答ありがとうございます。
この著者は、よく主語を省略します。そのために、誰の(何の)ことを書いているのかわからない時がよくあります。ですので、私は、著者が意図してそういう表記(主語の使い分け)をしているとは思えません。
次の文章の主語は何でしょうか。
→ https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9693317.html
>どの回答が正解かを判断する事も出来ないだけ・・
申し訳ありません。
「なるほど」と思える回答もあります。
私は、そういう回答を求めて質問しています。
「ただいま不在にしております」という電話対応に問題はありませんか。
→ https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9668886.html
No.8
- 回答日時:
>あなたが編集者であったとしたら、この文章をどう校正しますか」
校正でいいのでしょうか? それなら、何も修正しません。
理由:校正とは、原稿と版下が一致するように修正すればokだから。
つまり、原稿が間違っているなら、それは原稿作成者の責任であり、原稿と版下で差異があった場合のみが校正者の責任となるため。
では、校閲の場合。
校閲なら、原稿の明らかな誤字などは訂正します。
事情を情事と書いたとか、原稿のままでは意味が2通りに解釈できるとか、そういった場合に訂正します。
で、質問文に引用した範囲において、そういう明らかな間違い箇所は無いので、やはり、何もしません。
最後に推敲(または、手直し)の場合。
ここでようやく、原稿をよりよくするために手を入れることが可能ですが、
まあ、表記不統一(「彼」と「賢一」を統一)、こればかりは行いません。そんなことしたら文章ぶちこわしです。
「彼」に統一:これは絶対ありえません。最初の1回は、どうしても固有名詞を使い、意味を確定する必要があるから。
「健一」に統一:文章の意味解釈の問題は生じないので、統一は不可能ではないけど、やる気がありません。
表記統一が必要なのは、理系文書(法律なども含む)の場合。文系文書は、「死ぬ」「みまかる」「永久の眠り」など、多彩な表現をしないと、内容が薄っぺらになるので、わざと表記不統一にします。(読者が、同義と解釈できる範囲で。)
※中公新書「理科系の作文技術」にもこのことは記述があったような....
よって、
>表記が不統一であることは校正の対象になるのではないでしょうか。
すくなくとも文系文書の場合、推敲の場合ですら、それはあり得ません。逆に、表記を統一すると訂正が入ります。
>(質問その2) 「掛ける言葉はまだ見つからなかった」の「まだ」と、
>「それから彼を真似て両腕をぐいと上げ」の「それから」は不要ではありませんか。
それから、は、おそらく不要で、まだ、は必要。 まだ、の有無で、いつから見つからなかったか、の、いつ
の時系列がずれる。 まだがあるほうが時系列的に前から。 ただし、ニュアンスとしての違い。
なお、不要と言っても、入れてあっても特に害はないので、目くじらを立てる場所ではないと判断しスルー。
そんなどっちでもいいこと(=文章を誤解されるおそれが無いこと)より、
校正なのに、校閲どころか推敲までしないとならないの?そこまで拡大解釈しないとならないの?
と、こっちが気になります。
※2017bb4uさん、たとえば許可、認可、承諾はどこがどう違うかわかってんのかな?
校正と校閲の混同までは許すとして、推敲までも混同は、そりゃないんじゃないの?
※※あと、校正と校閲の区別について、Wikipediaの記述にしたがっています。
masa2211さん。回答ありがとうございます。
お礼が遅れまして申し訳ありません。(ブログにもコメントを頂きましたが、そのことに気付いたのは2か月後でした。本当に申し訳ありません。)
>校正でいいのでしょうか? それなら、何も修正しません。
表現(言葉の選択)が適切でありませんでした。
私が質問したかったことは、「この文章をより良くするにはどうしますか」ということです。
No.9ベストアンサー
- 回答日時:
私ならこう書きます。
賢一は何も言わず、黙って加世の肩越しに海を見ていた。
加世が、自分に背中を向けていて良かったと思った。なぜなら、自分の表情を見せたくなかったからである。
賢一は素早くマフラーで顔を拭い、それで少し平静を取り戻したが、掛ける言葉は思いつかなかった。
「私、今年から学校に行くわ。多分もう大丈夫だと思う。あいつらはあいつら。私は私だものね」加世はそう言いながらこちらを振り向いた。
賢一はその顔を見て、思わず息を呑んだ。
こんなにも嬉しそうに、晴れやかに笑う姿を見たことがなかったのである。
賢一も笑いかけ、喜びが胸の奥からこみ上げのを覚えた。
「そうだとも、加世。そうだとも」
賢一は心の中で叫び、腰を上げると、両手を空に突き上げた。すると、加世も同じよう腕を上げ、飛び跳ねてみせた。その時、賢一は加世と何かを共有できたと直感した。
No.10
- 回答日時:
>質問の意図は、「あなたが編集者であったとしたら、この文章をどう校正しますか」ということです。
表記が不統一であることは校正の対象になるのではないでしょうか。(質問者からの補足コメント)を受けての余談ですが・・・
最近,川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』(講談社, 2011)という小説を読みました.主人公はフリーの校閲者です.
校閲という仕事について,いろいろ興味深い話がありました.たとえば,表記の不統一に関連して「漢字の閉じ開き」という言い方があることをこの本で初めて知りました(「漢字を開く」なら聞いたことがありますが,「閉じ開き」って言うのですね).
もちろん小説であり,校閲という仕事の案内書ではありませんが,小説がお好きなようですので,面白く読めるかもしれません.
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質問の意図は、「あなたが編集者であったとしたら、この文章をどう校正しますか」ということです。表記が不統一であることは校正の対象になるのではないでしょうか。
次の文章の「・・・のに」はおかしくないでしょうか?
→ https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9443016.html
「大きく見開いた瞳を上目遣いにして」見るというのは、どういう状況でしょうか。
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>質問者が回答の良し悪しを決めるサイトで 質問者が理解不能なら どの回答が正解かを判断する事も出来ないだけ・・
回答を頂けるということは有難いことです。しかし、回答の中には質問者が理解できないものもあります。満足に質問文を読まずに(理解せずに)回答しているのではないかと思えるものもあります。質問文をよく読んで回答を頂ければと思います。
>時間経過を表す言葉ですから、おかしくはありません
おかしくないことの理由が時間経過を表す言葉であるからというのであれば、時間経過を表す言葉であれば何でもいいのかということになります。そういうことはないのではないでしょうか。
「まだ」は、その状態が長く続いているということを表します。「掛ける言葉はまだ見つからなかった」の「まだ」の場合、掛ける言葉を長いこと探しあぐねていたということになります。しかし、このシーンはそういう状況にありません。声を掛けようと思ったが適当な言葉を思いつかなかったというシーンです。