代表取締役が、知り合いの外国人とその国で事業を行なうための出資金という名目で会社から約5,000万円拠出しました。しかし、その事業形態は(法人ではなく)その外国人の個人事業でした。それ故に出資というより無担保貸付或いは寄付行為という方が正しいと思います。その後、その事業はその外国人およびその家族が実質的に運営し、その事業は実質的に乗っ取られた形になっため、代表取締役がその外国人に対して出資金相当額の債権放棄しました。
この場合、
①その代表取締役だけでなく全取締役に対して、善管注意義務として株主代表訴訟により賠償を請求することは可能でしょうか?
②その代表取締役を特別背任で告訴することは可能でしょうか?
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
お礼ありがとうございます。
ただ・・・少数株主に過ぎない質問者さんは、実効性がある権限は、ほぼゼロに等しく。
単独株主権で、株主代表訴訟をして全面勝訴したところで、会社にも経営者にも、大して打撃は与えられませんし、弁護士費用などを考えれば、アナタも経済的に赤字では?と思います。
せいぜい、「いやがらせ」程度の効果しかありません。
また一従業員の立場で、「会社のため」を考えて行動するなら、会社から与えられた業務に精励することであり、経営に干渉することは越権行為です。
結論から言えば、アナタが考えている行動は、ほぼ「無意味な行為」と断言します。
株主の立場で、会社に意見したいのであれば、せめて3%の株式保有。
従業員の立場で、会社に意見したいのであれば、労働組合や労基署でもを介すのが妥当。
しかし、従業員が少数株主として、会社に意見すると言うのは、たとえ従業員側の意見が正しくとも、会社としては絶対に認めることが出来ない性格です。
一従業員が、わずかな株式保有を根拠とする権利を行使して、「会社や経営者は、私の意向に従って反省し、私好みの会社経営をしなさい」と言っている様なものなので。
もし、そんなことが通用するなら、ガバナンスは崩壊し、会社と言う組織そのものが存在できません。
「無意味」どころか、「逆効果」になっても、不思議ではないです。
No.3
- 回答日時:
会社は株式保有数が3%未満の少数株主に対しては、全株主に開示を求められる経営情報以外の情報を開示する義務を負っていません。
言い換えれば、アナタの株式保有数が3%未満であれば、アナタが望む様な実効性のたる株主権限の行使は、ほぼ不可能です。
むしろ「敵対的株主」「社内の反乱分子」に認定されて、会社の敵として排除される可能性だけが高まることになると思います。
ありがとうございます。貴殿の回答の3%の規定については、把握しておりませんでした。本当にありがとうございます。当回答により、私の持分は3%未満であるため、全面的な開示を求める権利はないと認識しました。しかし、(役員から会社の敵とみられることは覚悟の上)会社に対し、役員の責任を追及することを求めることは可能と思われ、60日後責任追及することがなければ、役員に対し株主代表訴訟を起こすことは可能と考えています。もちろん、社内的な立場がどうなるかは覚悟しております。また、ご存知のとおり、株主代表訴訟は、私個人の利益のためではなく、あくまでも会社のためです。これで会社の敵として排除されるのであれば仕方がないと考えております。
No.2
- 回答日時:
株主が,いきなり役員の責任追及の訴えをすることは(原則として)できません。
まずは会社に対して,役員の責任追及の訴えを起こすように請求する必要があります。すでにお調べかもしれませんが,役員の責任を追及する訴えに関する規定は,会社法847条にあります。
その請求ができるのは株主です(同条2項)が,会社が公開会社(定款に株式の譲渡制限に関する規定がない会社)である場合は,6ヶ月前から株主である必要があります(同条1項)。
株主からその請求があった場合,1項但書きに該当する場合を除いて,会社は60日以内にその訴えを提起する必要があり,その訴えがされない場合に,当該請求をした株主は,自ら会社のために(株主自身のためにではない)責任追及の訴えを提起することができます(同条3項)。ただしその期間を経過してしまうと会社に回復することのできない損害が生じるおそれがある場合には,当該請求をしようとする株主は,会社のために,直ちに責任追及の訴えを提起することができます(同条5項)。
会社と取締役の関係は委任に関する規定に従うとされている(会社法330条)ので,取締役は会社に対して善管注意義務を負います(民法644条)。
全取締役に対して善管注意義務違反を問えるかという点については,取締役会設置会社であれば取締役会には業務執行の決定と取締役の職務執行の監督権限があること(会社法362条2項),取締役会非設置会社であっても業務執行の決定は取締役の過半数で決する必要がある(会社法348条2項)ので,できそうではあります。
訴訟を提起する場合,監査役が業務監査権限を有するならば(現在,登記でそれがわかる会社もありますが,定款を確認しないとわからない会社もあります),その監査役が会社を代表します。ただ監査役に業務監査権限があるということは,それもまた善管注意義務と言えるように思います。そこをどう考えるかという点も考えどころでしょう。
監査役がだめ,もしくはいないということになると,株主総会で定めた者が会社を代表することになります(会社法353条)が,それには他の株主の協力も必要です。協力が得られない場合には,請求後60日を待って株主自らが訴えを提起するしかない,というか少数株主がそうしようと思うのであれば,そうすることになってしまうのでしょう。
ただ,それをして会社にそれだけの損失補填をさせられるのかというと,取引の具体的な事情や取締役の財力の問題(の他にも会社法427条の責任限定契約の存在の可能性,425条の責任の一部免除の総会決議)もあり,それをするだけの価値があるかという問題にぶち当たってしまうように思います。
特別背任罪については,会社法960条にあるように,「自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的」が必要です。代表取締役に最初からその意図があったのであればともかく,そうではなく,過失による事業の失敗であった場合はこれには当たらないので,難しいかもしれません。
非常に丁寧に、かつ、正確にご回答いただき、本当にありがとうございます。実は私はその会社の従業員でありますが、役員ではないため、詳細な情報を掴んでいません。そこで、
①先ず、次回株主総会時に、取締役および監査人に対し、詳細な説明を求め、
②次に、責任の度合いがある程度判明したら、取締役および監査人に対し、責任者に賠償させるよう訴えてみたいと思います。
③しかし、100%ではありませんがオーナー会社の取締役らが責任者(トップ)に賠償請求させるような勇気がある者は皆無で、②後60日以内に何も起こらないケースが考えられます。そのときは、善管注意義務を怠ったことで、取締役(少なくともトップ)の責任を追及したいと考えています。
本当に参考になりました。ありがとうございました。
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