質量とか、長さとか、電荷などの物理量と、時間は同列に扱うべき量なのか疑問に思いました。
つまり、基本的な物理量と異なり、時間は、速度と移動距離など、複数の物理量が存在しないと存在できない量なのに対して、質量や長さ、光速などは、その量が単独に存在できるのではないかと思ったからです。
それとも、光速や質量なども他の物理量が存在しないと存在できない量なのでしょうか?
時間という量は、単独で存在する基本的な物理量なのか、それとも他の物理量とは異なる二次的な計算結果に過ぎないのか?
物理学の基礎や科学哲学にお詳しい専門家の方のアドバイスを頂ければ幸いです。
No.2
- 回答日時:
この世には「静」と「動」があります。
「静」だけなら、確かに「時間」の概念は不要です。
しかし「動」とは「時間に対する変化」ですから、「時間」を持ち込まないと定義できません。
「物理量」を「モノに関するもの」とお考えかもしれませんが、その「モノの変化」を定義するときには必然的に必要になります。
>光速などは、その量が単独に存在できるのではないかと思ったからです。
「光速」は「長さ」と「時間」で定義できますよね?
>時間は、速度と移動距離など、複数の物理量が存在しないと存在できない量
逆でしょう。「速度」が「長さ」の時間変化で定義される。
質問者さんの考えられている「物理量の体系」というのをご説明願えませんか?
>「光速」は「長さ」と「時間」で定義できますよね?
そのような定義では、高速の定義の前提として時間と長さの定義が必要になります。
>質問者さんの考えられている「物理量の体系」というのをご説明願えませんか?
不変の物理量を使用して、可変の(=二次的な)物理量を定義する体系を考えています。
不変のモノといえば、20世紀後半以降、「真空中の光速度」ですので、これを基本に据えて他の物理量を定義する体系が望ましいです。
No.4
- 回答日時:
ご紹介いただきましたサイトの情報は、時間の定義ではなく、時間の測定メモリの定義になっているようです。
これは、人為的・恣意的に決めればよいだけと思います。
私が興味ある「時間の定義」とは「時間と何か?」に対する答えとなるものを指しています。
No.5
- 回答日時:
いわゆる自然単位系と言うのが、自然定数を元に構成されます。
有名なのは、プランク単位系です。
基本単位は、プランク時間、プランク長、プランク質量、プランク電荷、プランク温度です。
光速、万有引力定数、ディラック定数、クーロン力学定数、ボルツマン定数は、プランク単位系では、1となります。
なお、相対性理論に使いやすい自然単位系として、幾何学単位系があります。
こちらは、基本単位は全て長さの次元に変換されます。(時間は光が単位時間に進む距離(光秒)とします)
光速、万有引力定数、クーロン力学定数、ボルツマン定数、メートルは、幾何学単位系では1となります。
なお、幾何学単位系では、速度、力は無次元となります。(速度は、光速との比となります)
ありがとうございます!
私が考えた方向は、マックス・プランクと同じでした(笑)
どう考えても光速を1とすべきですよね!
幾何学単位系でメートルが無次元で1になるというのは解せないので、よく考えてみます。
No.6
- 回答日時:
お礼ありがとうございます。
幾何学単位系の場合は、長さの基本単位としてメートルが1となるので、無次元では無く、長さの次元の基本単位です。
時間の単位が、光が1秒に進む距離になるので、光速も1となります。(速度は、距離を長さの次元の時間で割るので、無次元となります)
力は、2物体の質量の積を物体間の距離の2乗で割るので、結果的に長さの2乗を長さの2乗で割るので、無次元になります。
速度と力、仕事率、電位、ポテンシャル以外は、長さの次元です。
当然ながら、光速、万有引力定数、ディラック定数、クーロン力学定数、ボルツマン定数は無次元で1となります。(つまり、方程式からは消えます)
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
木造さんは相変わらずこちらで活躍しているんですね。
帰米直前に風邪をひいてしまい、やっとそれも収まり、さらにサンクスギビングデーの連休の静寂で手持ちぶたさから、また教えてgoo欄をからかってみる気になりました。説明は長いですが、物理変数の中でどうして時間だけが奇怪な存在で、それ以外のあらゆる物理変数とは同列に扱うことができないかを一番下のところで説明します。
自然は数学という言語で記述されているという神憑ったお言葉を、僅かな例外を除いてほとんど証拠もないままに宣ったガリレオなるじじいがおった。幻聴かなんかで、神々からの詔でも聴こえたんかしらね。んで、その布教活動の成果が出て、人々はこの宣託は正しいのかもしれんと思い込むようになった。となると、その信者たちは、物理の世界を記述するのに、その物理系を特徴付ける定数だの、変数だのを語り出した。そして300年程の月日が流れた。そして、数学という思い切った色眼鏡で世界を見て行くうちに、定数と変数には深刻な違いがあることが判ってきた。
物理系を特徴付ける定数とは物質の質量だ、慣性モーメントだ、電荷だ、各自由度の間の結合定数だ、などがその例です。これらを、物質の位置だ、運動量だ、角度だ、角運動量だ、時間だ、エネルギーだという物理的変数とは峻別されなくてはならないことが判ってきた。さらに、その定数なるものを経験と数学の発達に基づいて調べて行くうちに、この宇宙には個々の物理系のあり方に寄らない、普遍的な定数があることが判ってきた。そこでそれを宇宙定数と名付けて、一般の運動方程式に出てくる場当たり的な定数と区別するべきであることが判ってきた。例えば、光速や、電子(あるいはクオーク)の電荷や質量や、万有引力定数や、あとで説明すプランク定数などが宇宙定数ですが、その数はほんの数個しか知られていません。宇宙定数の値は、我々の埋め込まれているこの宇宙に固有な値を持っており、それはその特殊な値を持っていることが、この宇宙の個性を表しているのです。それに対して、一般の運動方程式に出てくる場当たり的な定数はそれらの偶然な組み合わせで与えられている定数です。
一方、物理系を記述するには、物理定数の他に、上記で述べた物理変数なるものが存在する。そして、ガリレオに始まる物理教の教えの進化によって、数限りなくある物理変数がバラバラに存在している訳ではなく、必ず二組みの対になって出てくることが、この宇宙の個性であることが解ってきた。この対のことを正準共役の対と言います。そしてその特徴は、その対の積の物理的な単位が必ず「作用変数」と呼ばれる物理量と同じ物理的単位を持ってることです。物理学の専門用語では、物理的単位のことを物理的次元とも言います。具体的には、作用変数の物理的次元は、位置と運動量を掛けたもの、すなわち、(長さ)に(質量x長さ/時間)を掛けたものになります。それは、実は時間にエネルギーを掛けたものと同じです。だから、変数を表す位置と運動量は正準共役の対になっています。また、時間変数とエネルギー変数がやはり正準共役の対になっています。そして、物理学の問題を解くときには、その系を特徴付ける定数は何か、そしてその定数によって結ばれている変数がどの変数と正準共役の対になっているかを、初めにはっきりさせなくてはなりません。その対をしばしば正準変数と呼びます。そして、物理学の基本法則に基づいて、その正準変数間の微分方程式を書き下し、その微分方程式を積分することによって、物理系の性質を論じるのです。
そして、正準変数と宇宙定数の間に、驚くべき関係があることが1900年にマックス・プランクによって発見されたのです。すなわち、正準共役を特徴付ける作用変数の物理的次元には最小単位があり、どのような物理系でも、その値より小さな作用変数の値を持つことができないことが発見されたのです。今では、作用変数の最小単位をプランク定数と呼んでいます。これが上に述べた宇宙定数の一つだったのです。そして、これが後の量子力学の発見の夜明けだったのです。
いよいよ時間変数が他の物理変数とは同列に語れない奇怪な量であることを説明しましょう。量子力学が発見されるまで、物理変数は「数」として表されると物理教信者は信じていました。ところが、量子力学の発見で、正準変数の対の積の値は、その積の順番を入れ替えると、値が異なってしまうことが解るようになってきた。こんなことは変数が数だったら、起こり得ません。そのことから、実は物理変数と呼ばれていたものは数ではなくて、数学でいう行列や演算子と呼ばれるものだったことが解ってきました。演算子とはそれを一つの関数に作用すると他の関数が得られるある数学的な実態のことです。例えば微分演算子や積分演算子が代表的な例です。そして、演算子として表された正準変数が、正準交換関係と呼ばれる特別な交換関係に従っているようにこの宇宙はできていることがハイゼンベルグによって発見されました。これによって、量子力学が完成したのです。そこで、ハイゼンベルグは、演算子によって表される物理量のことを、「オブザーバブル」と呼ぶことにして、今までの数として表されるものと考え違された物理変数と区別しました。
ところが、ここでまた驚くべき事実が発見されたのです。確かに、位置と運動量の正準変数に対して、位置に対応する演算子と運動量に対応する演算子が存在します。ところが、時間とエネルギーの正準変数には、エネルギーに対応する演算子は存在しますが、時間に対応する演算子が存在し得ないことが数学的に厳密に証明されてしまったのです。この証明はパウリによってなされました。その要点は、この宇宙が現に存在しているための必要条件は、エネルギーの測定値が連続な値をとる自然な状況では、その値に必ず下限がなくてはならないのですが、その下限の存在は、時間に対応する演算子があるとして、それがエネルギー演算子と正準交換関係を満たしていることと矛盾していることを示す点にあります。もし下限がなかったら、この宇宙はマイナス無限大のエネルギーに向かって崩壊してしまうからです。だから、物理変数の中で時間だけが例外で、時間をオブザーバブルで表すことができないのです。
アインシュタインの相対性理論では、時空が同列に扱われ、あたかも力学の問題を時空の静的な幾何学に押し込められるかのごとき主張をしています。すなわちこの宇宙の出来事は全て決定論的静的幾何学に与えられているように力学を構築しようとしています。その見方は、この宇宙に粒子の数がほんの数個あるだけなら、それなりの記述が可能でしょう。でも、我々の宇宙は途轍もない数の粒子から構成されている。そして、そんな複雑な我々の世界では、決して全未来が静的幾何学のように既に決まってしまっているわけではない。我々の想像的な営みで、次々と新しい様相に変化する動的物語的な世界に住んでいます。静的世界観では、永遠、すなわち「存在」がその論点の基軸になる。しかし動的物語的な世界では諸行無常、すなわち「変化」がその論点の基軸になっています。そして、この時間変数のグロテスクさを意識しながら我々の世界を理解しようというのが「複雑系の物理学」と呼ばれているものなのです。
猪突先生、渾身の回答ありがとうございます。
色々勉強になります。
今後とも認識論の時間と物理学の時間の両方を考えて行こうと思います。
どうもありがとうございました。
No.9
- 回答日時:
>質量がマイナスだとどうなりますか?
の質問がもう打ち切られていたので、ここを借りてコメントします。
質量はある物理系の運動方程式を考えるとき、その系を特徴付ける定数として現れてきます。例えば、角度が任意に大きくなれる普通の硬い棒でぶら下がっている振り子の場合、それが円振り子ではなくて、通常の柱時計のように平面内で運動している場合を考えて見ましょう。その場合は振り子はエネルギーが小さい時には往復運動をし、エネルギーが大きい時には回転運動をします。そして、その時の運動方程式の中には質量を振り子の質量をmとして、mが運動エネルギーの中に現れてきます。そして、位置エネルギーの項は振り子の角度に関する三角関数になっています。そして、この運動方程式は厳密に解けることが知られています。
それとは全く無関係な問題として、我々の太陽系の小惑星の一つの運動を小惑星と太陽と、惑星の中で一番重く、さらに小惑星の近くにある木星の、3体問題として運動方程式を立てて見ます。一般に、この問題は原理的に解けないことが知られています。解けない理由が、我々の無知によるわけではないことが知られているのです。この原理的に解けないことの発見から、現在皆が興味を持っているカオスの力学系の問題が生まれたのです。
ところが、ある特別な周期にある小惑星に対しては、その運動方程式が、その運動を表す変数(正準変数の組み)を上手に選ぶと、そのエネルギーがあたかも通常の振り子で質量が負になっているように近似的に表現でるときがあります。さらに、力学の最も基本的な原理は、物理定数と正準変数が与えられたとき、そのエネルギー(専門家の間では、そのエネルギーを正確にはハミルトニアンと呼びます)が与えられると、運動方程式が完全に決まってしまいます。だから、この小惑星の問題は、木造さんの言う、まさに負の質量を持った振り子の運動の振る舞いと、数学的には全く同じになります。そして、質量が正でも負でもその運動方程式は完全に解けます。
しかし、その小惑星の運動は現に観測されている運動であり、それがこの宇宙とは無関係な異次元の世界の現象であるとは、へそ曲がりの木造さんでも考えますまい。実際、その解を調べると、何が起こっているかというと、通常の振り子と反対に、エネルギーが低い時には回転運動に対応する運動が起こり、エネルギーが大きい時には往復運動に対応する運動が起こっているだけです。
ですから、質量の符号に対して、何かミステリアスな関係が存在して、質量が負の時にはカルトもどきの現象が起こる可能性があるなどという、とんでも科学で金儲けしている連中に惑わされてはいけません。
質量が正だろうが負だろうが、我々に合理的に理解できる運動が具現化されているのです。
No.10
- 回答日時:
>幾何学単位系でメートルが無次元で1になるというのは解せないので、よく考えてみます。
うんにゃ、まず何を無次元で1とするかつにいて、どれが優劣があるか絶対的な基準があるがごとき議論には組みできません。無次元で論じるというのは、本来次元がある量に対して、どの大きさを基準して論じようかということを言っているに過ぎず、その観測された大きさを自分の決めた大きさの量で割り算して、その何倍あるかと言っていることです。そして、数学は全て無次元量の間の関係式ですから、自然を記述するにな当たって、数学の言語に乗せるためには、こちらが恣意的に基準となる大きさを選定しなくてはならない。
私たちは無意識にアリンコは小さいと感じ、クジラは大きいと感じる。それはあからさまに表現していなくても、案に自分の大きさと比べて大きいとか小さいと言っているのですね。そして、私たちの大きさは、だいたい 1mぐらいです。決して10mでも、10cmでもない。だから、1mを基準に物の大きさを測ろうと言っていることに説得力がある。確かに、私たちの大きさは地球環境の偶然のなせる結果です。でも、私たちの大きさを基準にして世界を理解することは、私たちにとって十分に説得力がある。
原子分子の世界ではそれが小さ過ぎて、それを私たちの大きさを基準にして10進法で表すと鉛筆の芯が無駄になってしまう。だったら、私たちの感覚を犠牲して、鉛筆の芯を節約する方法で大きさを表現してみたら、という論理で、現在のナノメーターやかつてのオングストロームという単位ができた。
物理学の数学的関係式を自然単位系で書こうという運動は、如何にして鉛筆の芯を節約しようかという運動に他ならない。その結果、鉛筆の芯は節約できるかもしれませんが、我々の感覚でその事象を理解しようという深層の心理を犠牲にしている可能性だってあるのですよ。
何を持って、それが単純だというか複雑だというかは、決して記号の簡略化にあるのではなくて、どれだけ大脳による認識に負担が掛からないかに掛かっているのです。早い話、複雑な数学の問題の定理の証明は、数行でなされた証明よりも、数ページでなされた証明の方が遥かに、理解し易いですよね。
自然単位系が良いなんて言ってる連中は大抵数学好きな物理屋で、その内容を体得して理解したいと言っているわけではなく、自然を理解するよりも、自分の使っている言語に恍惚としている連中なんだと思います。
確かに何を無次元で1にするかは恣意的なので、回答はありませんね。
>自然単位系が良いなんて言ってる連中は大抵数学好きな物理屋で、
質問した時には、愚拙にフランス人が乗り移ってしまったようです。
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