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12世期のフランスとイギリスについてです。
なぜジョン王はフィリップ二世に攻められ領土を失ったのですか?

A 回答 (1件)

12世紀だと、「フランス」とか「イギリス」という「国」という概念も意識もありませんでした。

「領主が誰か、どこの家の領土か」という程度。

ジョンはイギリスのプランタジネット朝、フィリップ2世はフランスのカペー朝の王ですが、ジョンの父親ヘンリー2世は、祖父ヘンリー1世の娘マティルダが嫁いだフランスのアンジュー伯爵家に生まれた子で、ヘンリー2世はフランスのアンジュー伯爵家とイングランド王とを兼任していたのです。なので、このヘンリー2世に始まるイングランド王朝をアンジュー家のシンボルである「エニシダ」にちなんで「プランタジネット朝」と呼びます。(ヘンリー1世までは「ノルマン朝」と呼ばれます)
また、ジョンの母親もフランスのアキテーヌ侯爵の娘です。
なので、ジョンの血は、半分が「フランス、アキテーヌ家」、1/4が「フランス、アンジュー家」、残り 1/4 が「イングランド、ノルマン朝(ヘンリー1世)」です。「ノルマン朝」自体も発祥は「フランス、ノルマンディー家」であることを考えれば、ほぼ100%フランスの家系と言っていよい素性です。

さらに複雑なことには、ジョンの母親は、イングランド王ヘンリー2世と結婚する前は、フィリップ2世の父親であるフランス王ルイ7世の王妃だったのです(フィリップ2世の母親はジョンの母親とは別なシャンパーニュ伯爵家の娘)。
つまり、フィリップ2世から見ると、もともと父親が持っていた「アンジュー家」の領地(ジョンの母親のものは夫のものでもある)を自分が相続できるはずだったのに、ジョンの母親が離婚してイングランド王ヘンリー2世と結婚することでイングランドの領地(フランスの土地だが、領主がイングランド王)になってしまったわけです。
ジョンはヘンリー2世の息子ですから、その「アンジュー家」の領地を相続することになるわけですが、もともとそれは自分のものになるはずだったフィリップ2世は難癖をつけてジョンからそれを奪い取ったというわけです。「フランス国内の領地だし、もともと自分が相続すべきものだった」という大義名分があったのでしょうね。

というように、「イギリスとフランスの関係」とは、結局のところ「親戚同士の相続争い」が多いのです。「イギリスはフランス貴族の領地だった」と考えるのが正解だと思います。「国家と国家の戦い」というのと少し違いますから、気を付けて見た方がよいです。もう少し後の話になるジャンヌ・ダルクが登場する「百年戦争」も、「イギリスとフランスの国どうしの戦い」というよりは親戚どうしの領地争いです。

イギリスとフランスに限らず、ヨーロッパの王室や貴族間では婚姻関係が複雑で、なかなか「王朝」「領土の所有権」の関係が複雑です。しかも「女性にも王位継承権がある」ことで、相続に関する争いや戦争に事欠きませんでした。
なので日本とは違って、イギリスのエリザベス1世、ヴィクトリア女王、現在のエリザベス2世、オーストリアのマリア・テレジアなど女王もたくさんいます。

ヨーロッパの「国」「王朝」は、長い歴史もあっていろいろ複雑ですから、単純に分かったつもりにならずに、多面的・複眼的に眺めてみてください。
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