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人格障害について。
なぜ、人格障害は、精神障害者保健福祉手帳や障害年金の認定対象にならないのでしょうか?

A 回答 (2件)

精神障害の認定で必ず使われる基準が2つあります。


ICD と DSM です。

ICD は「国際疾病分類」と訳されます。
国連の WHO(世界保健機関)が制定しています。
世界共通の診断基準を作って統計を取る、ということが第一目的です。
なお、ICD は、医学の進歩とともに改版が重ねられています。
ICD-10(第10版)の後、2018年6月に ICD-11(第11版)が出ています。

DSM は「米国精神医学会(APA)による精神障害診断基準」と訳されます。
ICD と同じく、世界共通の診断基準です。
第3版である DSM-Ⅲ以降、診断基準として確立されています。
DSM-Ⅳ(第4版)の後、2013年5月に DSM-5(第5版)となりました。
DSM-5 では、スペクトラム(連続体)という概念が導入されました。
精神障害を「ある・なし」だけとらえるのではなく、連続性のある物としてとらえた上でその強弱によって判断する、という概念です。

日本では、ICD-10 および DSM-Ⅳ を用いています。
つまり、少し古い版が用いられています。
しかし、どちらを用いた場合でも、人格障害は原則として認定対象外です。

人格障害は病識(自分が精神疾患である、という明確な自覚)がない場合がきわめて多いことが特徴です。
かつ、精神科などを受診してさえいない人も多数います。
また、統合失調症や躁うつ病などで見られる明らかな精神症状が見られない例も大半を占めています。

このため、日本においては、ICD や DSM に沿って人格障害を「性格的な著しい異常」ととらえ、精神障害とはしていません。
神経症(ノイローゼ)についても同様です。
一般公開はされていませんが、この考え方は、国による障害認定基準などが決まる過程で、しっかりと議論・検討されています。
したがって、差別的なことでも何でもないと考えて下さい。

障害は、元々の傷病や疾患が明確にあって、その結果として生じます。
つまり、傷病の状態だったときの後遺症のようなものです。
言い替えれば、「医学的に病気であることが確立されていない傷病・疾患」に関しては、それによって生じた結果は「障害」にはなりません。

このような理由から、人格障害だけでは、原則として障害認定されません。
なお、統合失調症や躁うつ病といった「医学的に明らかな精神疾患」を伴う状態であれば、人格障害の状態であったとしても、統合失調症や躁うつ病として障害認定を受けられる場合があります(例外規定)。
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この回答へのお礼

この度は大変詳しくお返事ありがとうございました。親族に人格障害がいるのでとても助かりました。またジャンル違いでしたら申し訳ないのですが、人格障害の治療は主になんだとおもいますでしょうか?
認知療法でしょうか?

回答者さまは医者ではないことは承知のうえですので、さしつかえなければお返事いただければ幸いです。

お礼日時:2021/01/13 17:32

丁寧なお礼をいただき、こちらこそありがとうございます。


お礼文で補足のご質問をいただきましたので、私なりに考えてみました。
私自身が福祉面で障害者支援にかかわる立場であることと、このカテゴリが「福祉」カテゴリであることをかんがみて、福祉的見解として回答します。

正直申しあげて、私は、人格障害(現在は「パーソナリティー障害」と呼称します)そのものは「治療」できないと思います。
人格(その人の気質・気性・性格=パーソナリティー)は「その人らしさ」でもあるので、そもそも治療するべきようなものではないのでは?、と思うからです。

人格障害が問題となってしまうのは、本人の人格のまずさから派生してくる「感情の激しさ」と「それがもたらす周囲への著しい影響」ゆえなのでは?と思います。
実際、その結果としての精神疾患様態が前面に出て、統合失調症のような状況を示すことが少なくありません。
そうであれば、感情のコントロールを図るために、抗精神病薬などによる薬物療法の効果に期待することがまず先なのではないか?、と思います。
認知療法の効果性は認められているところですが、しかし、本人が積極的に「パーソナリティーを改善してゆきたい」と思っていなければダメで、そのためにはまず、本人の感情がコントロールされる状態が必要だと思います。
要は、順序があるのではないか?と思うのです。
もちろん、よく言われているように、たいへん長い過程を要することも多いでしょうし、結果として、変わったようには思えないこともあるでしょう。
とはいえ、やはり、ある程度までは薬物などを使って感情を緩やかにしないと、おそらく、認知療法に限らず、効果は上がらないと思います。

その他、発達障害との識別が非常に困難です。
表面にあらわれる社会的不適応状態が、きわめて似ているためです。
しかし、発達障害は、一般に、幼少の頃から独特な不適応状態を呈し、ほかの健常児とは相容れない行動パターン・思考パターンになります。
人格障害の場合には、幼少の頃は不適応状態が目立たず、思春期以降に表面に出てくるのが一般的です。また、周囲を引っかき回す特徴もあります。
したがって、こういったことを頭に入れた上での対応・治療(療法)が必要になってくるのではないか?とも思います。

答えになっていない部分も、多々あろうかと思います。
あくまでも「私見」ということでお許しいただければ幸いです。

参考:
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_perso …
https://snabi.jp/article/106#474di
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この回答へのお礼

この度はとても親切な回答有難うございました!
家族にパーソナリティ障害がいるので、対応に困っていたので大変貴重なご意見は助かります。
私も実は治療は必要ない…
というか個性なので、なんていっていいのかわからない状態です…。
治したくなければそのままでいいのでは?とも思うのですが、とてつもなく我儘で困っています。
現在は離れて暮らしているので、影響はあまりうけないのですが、命令とかが多く、
お前は何様だ!と言いたくなってしまう状態でした。

病気は遺伝だからなおらない
とかもらいってきて治療をせず、好きなことをして失敗したら、こちらに責任を押し付けてきて驚いてしまいます。

私は思考パターンについては、
筋トレのようにやるしかないと思ってますがわ
回答者さまのおっしゃる通り、まずは気持ちを落ち着かせなければいけないとも思ってます。
やはり、また病院を進めてみます。
障害者施設で働いてきた目線での回答者さまのご意見は、本当に参考になりました!感謝いたします。

お礼日時:2021/01/14 14:31

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