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「脳内にある海馬という部分は、外部から入ってくる様々な情報を一時的に記憶しておいて、その情報が初めて入った日から30日くらいかけてその情報が大事かどうかを判断し、大事だと判断したものだけを長期保存型の大脳皮質に刻み込む。そして、覚えなくても甚大な影響がない、興味がない、などのために一回のインパクトが薄い情報が大脳皮質に刻まれるには、情報の入力を繰り返すことが必要である。」(引用ではありません。念のため)
 というような記述を見たんですが、この繰り返しというのは、ある情報が初めて入った日から30日くらいの、つまりその情報が大事かどうかを判断している期間に行われなければならないのでしょうか。言い換えれば、一回のインパクトが薄い情報は、30日ぐらいの期間の間に何回か繰り返さなければ意味はなく、例えば、その30日というデータが正しいとして、常に40日おいて繰り返した場合は、何度繰り返しても大脳皮質にその情報が刻まれることはないんでしょうか。

A 回答 (1件)

こんにちは。


復習は早い方が良い。学習は多い方が良い。興味を持つと覚えが早い。これは当たり前のことですよね。質問者さんも、経験的に良くご存知のはずです。
提示して頂いた例文は、脳内の長期記憶形成に於ける海馬の役割に就いて述べたものだと思いますが、少々首を傾げる部分が幾つかあります。ですから、これを前提にすると、どうしてもきちんとした回答が書けません。このサイトには優秀な会員さんがたくさんいますが、未だ皆さんが回答に手を拱いているのは、もしかしたらそのせいではないでしょうか。
というわけで、ご質問とは少々ずれるかも知れませんが、ここでは脳に於ける記憶形成の手順に就いて簡単に説明をさせて頂きますので、取り敢えず例文の方は、ちょっと白紙に戻して下さいませ。

海馬というのは「体験の入口」であり、脳内に記憶というものを作り出す部位だと考えられています。海馬で扱っているのは「短期記憶」というもので、ある程度の時間が経てば消えてしまいます。これに対して、長い時間が経っても消えないもの、もしくは一生ものの記憶が「長期記憶」ですね。
この長期記憶とは、全てが大脳皮質であるかどうかはまだはっきりと判明していないそうですが、一時的に海馬に形成された短期記憶が、神経信号として大脳皮質、もしくは脳内の別の部位に送られ、そこに定着したものです。そして、この海馬から送られる信号によって行なわれる長期記憶の形成を「長期増強」と言います。

記憶というのは体験によって得られた情報に基いて脳内に形成される「神経回路」です。ニューロン・ネットワーク、神経結合など、幾つかの言い方がありますが、「シナプス結合」というのが比較的適切なのではないかと思います。
短期記憶は新たな体験に対して海馬内に形成されたシナプス結合です。この回路には、自発的に思い出したり、あとから同じ情報が与えられたりすることによって再び信号が流れます。この信号が大脳皮質などに送られ、それに基って形成されるのが長期記憶です。
シナプス結合は可塑性を持つため、信号が流れるたびにその結合は強化され、信号は更に流れやすくなります。そのようにして、長期記憶は海馬から信号が送られて来るたびに増強されます。そして、長期増強とは、そのシナプス結合が長期間に渡って信号の流れやすい状態になるということです。

短期記憶は長期記憶形成の元になるものなのですが、それは一時的なものであり、時間が経てば消えてしまいます。反復学習することによって短期記憶に信号が流れ、その結果、長期記憶の増強が起きるわけですから、当然、復習は海馬から短期記憶が消えてなくならない内に行なわなければ効果はないということになるわけですね。
海馬に於ける短期記憶の保持期間というのは余りはっきりと決められるものではなく、一般的には「数秒から数日」とされており、長いものでは2年間というのもあります。
このように、短期記憶は時間が経つと何時の間にか消えてしまうのですから、それまでに長期増強が行なわれなければ、長期記憶は形成されないか、もしくは大変弱いものになってしまうはずです。つまり、覚えられないか、上手く思い出すことのできない記憶ということですね。思い出せないということは、忘れたと同じことです。

長期増強が行なわれなければ、長期記憶のシナプス結合は形成されないか、もしくは結合の弱いものになります。ですから、原理的には、長期増強の機会を逸すると、ひとはみな忘れてしまうということになると思います。
例えは、交通事故などで強いショックを受けて、ある一定の期間の記憶がなくなってしまったなんていう例があるそうです。これは、海馬に保持されていた短期記憶が消えてしまったからなんですが、その期間以外の記憶、つまり、長期記憶はちゃんと思い出せるというものです。スポーツの最中の脳震盪なんかでも、結構簡単に起こるらしいですね。
また、身近な例では、大酒を飲んだ翌朝、夕べの出来事を何ひとつ思い出せないなんてのがあります。これも、強かに酔っぱらってしまっていたために、海馬が昨夜の体験をきちんと長期増強できなかったからですね。ただ、本人が憶えていなくとも、周りのひとはちゃんと長期増強している場合もあります。アイツとはもう飲みに行かないなんて、あとで言われないように気を付けたいものです。

何かしらの体験によって脳が受け取った情報が新たな記憶として形成される過程は次ぎのような段階を踏み、それぞれに関与する部位が違います。
即時記憶(大脳前頭野)
短期記憶(海馬)
長期記憶(大脳皮質、もしくはその他の部位)
この内「即時記憶」というのは、電話を掛けるために番号を覚えたとか、今そこに誰かが通り掛った、などといった本当に一時的な(数秒程度の)記憶です。これが海馬に送られることによって短期記憶となり、初めて脳内に留められる「記憶の元」というものになります。

記憶とは、「記銘」「貯蔵」「想起」という作業を含め、脳内に取り入れた新たな情報を保存した後、意識や行動の中に再生するという一連の機能を指します。
この中で「記銘」とは、得られた情報を処理し、記憶できる単位として「符号化」するということです。そして、一時的な脳の反応、即ち即時記憶が海馬に送られ、記銘という過程を経て符号化されたものが短期記憶です。従って、先に述べました通り、短期記憶が形成されるということは、海馬内に「記憶の元」が出来上がったということになるわけですね。

符号化とは、インディックスと付けて情報を取扱い安くするということですが、もう一つ重要なことは、この作業によって複数の情報が一緒に符号化されるということです。複数の情報とは、記憶となる主役の体験だけではなく、その関連情報などを指します。例えば、これは大切な情報だとか、妙に感動した、むちゃくちゃ腹が立ったとかいった、そのときの体験に付随する情報です。これが系統的に整理されるわけですから、ここで情報は大変具体的なものになります。そして、その関連情報は、そのまま重要性の選択基準となります。

即時記憶としてそのまま忘れてしまって良いものか、記憶に留まるべきな情報なのかという判断には、単純にふたつの基準が考えられます。
ひとつは、これは重要な情報であるという当人の意思が働いた場合です。そして、言うまでもなくもうひとつは、取り分けインパクトが強かったため、深い印象となり、当人の意思とは全く無関係に記憶の候補に残ってしまう場合ですね。
このような「感情」や「本人の意思」などの関連情報は、海馬に引き渡された時点で一緒に符号化されるわけですから、ここで初めて情報選択の判断基準が成立するわけです。従って例文にある、
「記憶となる情報選択の判断は海馬で成される」
というのは、つまりこのようなことを指しているのではないでしょうか。
短期記憶が形成されなければ長期記憶も形成されないわけですから、即時記憶の符号化という作業を行ない、記憶として脳内に残すべき情報を選別しているのが海馬という部位であることは間違いありません。ですが、その情報選択の基準は上記に述べたようなものであり、決して海馬が自発的にその情報の重要性を、まして30日を掛けて評価しているというわけではありませんね。

さて、というわけですから、やはり復習は早い方が良いですね。
短期記憶がなくなってしまってったあとでは、外から同じ情報が与えられても、つまり反復学習が行なわれたとしても、そこに信号を流す回路がないということになります。ですから、それは新たな短期記憶として海馬内に回路を作ります。もちろん、以前何処かに出来掛けの長期記憶があったとしても、もし情報の関連性が消滅してしまっているのであれば、脳は別の所に新しい長期記憶の回路を作り直さなければならなくなるはずです。つまり、最初からやり直しということになりかねないわけですね。
また、短期記憶は同じ情報を受け取る度に回路に信号を流し興奮します。当たり前のことですが、この信号が長期記憶を増強するわけですから、短期記憶が消えない内により多く反復学習を行なうならば、記憶は強く、知識は正確なものとなります。
そして、興味を持つと覚えが早くなります。
これは面白い、感動した、そのときとても怖い思いをした。このような感情が伴いますと、その体験を扱う短期記憶に流れる信号が強くなります。一回に流れる信号が強くなるのですから、当然それに比例して長期増強の効果も大きくなります。つまり、感情を伴った体験は本人の努力とは無関係に、より記憶に残りやすくなるわけです。何といっても、殊更鮮烈な印象と共にある特別な体験は、たった一度でも生涯に渡って忘れられない記憶になってしまうなんてことは、誰にでもあることですよね。

長くなって済みません。
脳に於ける記憶形成の概略というものを述べますと、概ねこのようになると思います。ただ、記憶とは何なのか、例えば短期記憶はどうして消えてしまうのか、など、まだ科学的に判明していないことや、もちろん私には説明できないこともたくさんありますので、やや歯がゆい回答になってしまいます。
また、例文に対する指摘で、「情報を選択するのは海馬や脳の仕事ではない」と述べましたが、これは一般的な解釈で、最近では「海馬に於ける選択的情報」という考えも研究されているようです。ただ、恐らくこれは例文の解釈とは違うものだと思いますし、余りにも専門的な話らしいので、ここではちょっとカンベンして下さい。
以上、何かのお役に立てば幸いです。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。また、返信がずいぶん遅れてしまいましたことをお詫びいたします。

>海馬に於ける短期記憶の保持期間というのは余りはっきりと決められるものではなく、一般的には「数秒から数日」とされており、長いものでは2年間というのもあります。
 これは意外でした。記憶したときのインパクトとかそれに対して興味があったかなどですごい差が出るんですね。

 聞きたかったことは分かりました。要するに、一度記銘したものでも、次に記銘したときにそれが短期記憶に残っていなかったなら、初めて記銘するのとなんら変わりはないということで良いんですね?(誤解している場合のみ答えてくれれば結構です)

お礼日時:2005/03/17 23:12

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