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M殻には3s, 3p, 3d軌道があり、N殻には4s, 4p, 4d, 4f軌道がある。
そして、3d軌道よりも4s軌道の方が原子核に近い、
すなわちエネルギー準位が低いということで、
KやCaでは4s軌道に先に電子が入るということらしいですが、

どうやったら、電子軌道(電子雲)の大きさをきちんと把握できるでしょうか?
KやCaで埋まる電子軌道がなぜ3d軌道ではないといえるのでしょうか。
電子2つでいっぱいになるということが観測できているのでしょうか。

このあたりに詳しい方から、分かりやすい解説をお願いしたいです。
よろしくお願いいたします。

A 回答 (4件)

電子の殼や亜殼は、それぞれの電子がリュードベリ公式[Wn = - Rhc/(n+a)^2]のエネルギー準位を有して、それらの差が光スペクトルとして表れる原理から、光スペクトルの観測値が上手く整合するように決定されました。

この式のnは整数で殼を決めます。aは負値の補正項で、スペクトルの明るさやぼやけ方の形態で区別されるs(sharp), p(principal), d(diffused), f(fundamental)の亜殼ごとに(どの原子でも)順に小さくなります。fundamentalは、どの原子でも0に近かった為です。これらの補正項は、原子核の正電荷を内殻電子群が遮蔽する不完全さに対応していると見なされています。
後に、各原子のイオン化エネルギー(すなわち、最外殻電子軌道のエネルギー)を測定されると、添付図のように幾つかの平坦部が現れ、この箇所が、dとfの亜殼に当たることが判明しました。
そして、銅Cu, 銀Ag, 金Auなどの代表的な金属や、 ニッケルNi, 鉄Fe, コバルトCoの強磁性体はd亜殼に属していし、レアアースはf亜殼に属しているので、d電子やf電子の振る舞いを知ることは重要です。ところが、これらd軌道やf軌道の構造や働きは良く判ってないようです。少なくとも私は、それらを簡明に説明した文献を見つけることが出来ませんでした。

ただ、次のことが言えると思います。
原子番号が1つ増える毎に中心正電荷は+qだけ増えますが、電子数も増えます。仮に問題にしている電子軌道の内側の電子群が中心正電荷を完全に遮蔽しておれば、どの原子の最外電子にも+qだけの中心電荷が働くので水素電子と同じエネルギーを有するはずです。
なお、電子は低エネルギーの軌道から埋まって行きますが、その軌道は水素原子を巡る電子に許されている軌道と同じものです(そのことは、ボーアが最初に提起した)。例えば、周期表第2周期の最初のリチウムLiは2s状態にあります。ところが、光スペクトルの観測から得られるエネルギー準位は、水素電子の2s準位(13.6/4≈ 3.9eV)よりも1.6倍高くなってます。それは、Liの最外殼電子よりも内側の電子群の静電遮蔽が不十分で、+q以上の電荷を感じていることを示しています。
そして、同じ周期内で原子番号が進むほどイオン化エネルギーが増えるのは、この遮蔽の不完全さが増す為です。 そして、この不完全さは、周期が増えることでも増します。このため、ボーアの水素原子モデルでは主量子数nの2乗で半径が増えるはずですが、実際の原子では特に第3周期以降の半径がほとんど変わらないのはこのためです。
d軌道やf軌道のイオン化エネルギーが小さく揃っていることは、d電子やf電子の静電遮蔽効果がs電子やp電子よりも大きいだけでなく、その効果がそれらの外側の電子だけでなく、同じd電子やf電子に対しても働くことを示しているように思います。もしも、d電子やf電子がs電子やp電子よりも広い半径に分布しておれば、そのような事が可能ではないかと、私は考えます。
「電子殻と電子軌道について」の回答画像2
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この回答へのお礼

ありがとう

d9win さん、まったく知らない情報を
ご提供いただき感謝します。
s(sharp), p(principal), d(diffused), f(fundamental)
はそんな単語の頭文字だったんですね。

ご提示いただいたイオン化エネルギーのグラフを
拝見すると、周期表にも対応して、
LiやNaやKは低いですね。
Kで3d軌道(亜殻ですか)に入るよりも、
4sの方が納得感がある気もします。(非論理的ですが)

M殻は3s, 3pで終わり、
N殻は3dと呼ばれているものも含めて、
4s, 4p ...とは解釈できない証拠があるんでしょうね。

お礼日時:2021/06/29 08:07

根拠云々に関してはそういう理論体系であり、それが様々な事象をうまく説明できるということです。

K、L、Mの電子殻は主量子数1、2、3に対応しており、それはs、p、dの前にある数字です。
同じ主量子数のものが、s、p、dに分かれるのは、複数の電子を収容することに伴って、軌道の分裂が起こるからです。軌道の分裂を考えない、つまり、電子が1個しか存在しないような場合には、主量子数だけで済みます。

原子軌道は3個の量子数、すなわち、主量子数、方位量子数、磁気量子数で表されるという理論体系があります。主量子数は前述のように電子殻の記号(KLM)に対応しています。方位量子数は、spdの記号に対応しています、磁気量子数は同じエネルギー準位の軌道の数に対応しています。こういった体系の中で、最もすっきりとまとまるのがそういうわけ方だということです。

https://staff.aist.go.jp/a.ohta/japanese/study/R …
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この回答へのお礼

助かりました

EZWAY さん、再びのコメントありがとうございます。

> 原子軌道は3個の量子数、すなわち、
> 主量子数、方位量子数、磁気量子数で表される
> という理論体系があります。

参照URLを含め、大変勉強になりました。
何でp軌道やd軌道に収容できる電子数が、
切りがいい(と思う)8や12,16ではなく、
6個、10個なのかも理解できました。

お礼日時:2021/06/30 06:23

“N殻は3dと呼ばれているものも含めて、4s, 4p ...とは解釈できない”理由は次のものです。


(1.)リュードベリの公式のnとs, p, d, fに応じたaの値がスペクトルの観測結果と一致する。
(2.) 3dに属する(遷移)元素は互いに似た特異な特性を示す(s, p元素は周期表の列ごとに特性が大きく変わる)。
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この回答へのお礼

解決しました

d9win さん、再びありがとうございます。
きちんとしたエビデンスがあり、
・ M殻には3s, 3p, 3d軌道があり、
・ N殻には4s, 4p, 4d, 4f軌道があり、
・ そして、4s軌道は3d軌道より原子核側にある
ということ、納得しました。

お礼日時:2021/06/30 06:11

そもそも、3sとか3dという言い方自体が、量子力学の理論に基づくものであり、その理論が実験事実をうまく説明できるので受け入れられているということです。


電子数に関わる理論体系として、それとは違うものが構築でき、それで実験事実なり、他の理論体系なりと整合性があるならそれでも構わないわけですが、そういうものがないから現在の理論が受け入れられているということです。

>どうやったら、電子軌道(電子雲)の大きさをきちんと把握できるでしょうか?
「電子軌道」ではなく、「原子軌道」は半経験的な計算で導くことはできるでしょう。もちろん、簡単なことではありませんので、「きちんと把握」したいのであれば、あなたなりに勉強するなり調べるなりしてもらうしかありません。

>KやCaで埋まる電子軌道がなぜ3d軌道ではないといえるのでしょうか。
その軌道(原子軌道)を4s軌道と呼ぶのは半ば定義だからです。つまり、そうなるような理論体系において、定義上、その軌道は4sと呼ぶことに決まっているからです。あなたが言っているものは、既に名前が決まっているものに対して、その名前が気に入らないと言っているようなものです。
軌道のエネルギー準位に関しては実験で観測できるようなことです。
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この回答へのお礼

うーん・・・

EZWAY さん、早速の回答ありがとうございます。
解説していただいた内容は大まかに理解しました。

質問をもっと直接的に書き直すと、
① エネルギー準位から、
 3s, 3p, 4s, 3d, 4pと軌道が埋まっていく
 (名称はともかくこれは受け入れます)
② その上で、3s, 3p, 3dがM殻で、4s, 4p, ...はN殻、
 と区分する根拠は何でしょうか
となります。

お礼日時:2021/06/29 07:50

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