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以前大学ででブルのアナーキカル・ソサエティ論についての講義を聞いたのですが、このアナーキカル・ソサエティ論は国際的アナーキー状態にあっても戦争状態に陥ることはなく、国際社会を成立させることが可能といっていますが、法や文明の進化があったとしても、無秩序状態なら法などの抜け穴を使って戦争状態になるんじゃないのかな、と考えるのですが、実際ブルのこの論は立証されているのでしょうか。

A 回答 (1件)

ヘドリー・ブル『国際社会論―アナーキカル・ソサイエティ』


The Anarchical Society: A Study of Order in World Politics
各国が主権を主張して、国際システムとしては中央政府のような存在がない、すなわち、一種の無政府状態・アナーキーな社会であっても、その国際社会はそれなりの秩序を形成して、運営は継続され続ける、そのような国際社会を「アナーキカル・ソサイエティ・無政府的社会」と呼んだということでは、ないのですか。

このwikiには、を読むと、そのように感じます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E3%81%97 …
「権威が重なり合い、かつ多元的な忠誠のシステム」、すなわち「新しい中世」という説明がありますが、個人的には、語感的には、「新しい中世」といわれるよりも、「アナーキカル・ソサイエティ」という方が、現代の国際社会を素直に言い表しているように感じます。
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> このアナーキカル・ソサエティ論は国際的アナーキー状態にあっても戦争状態に陥ることはなく、国際社会を成立させることが可能といっていますが

上記wikiの中では、戦争を避けられるかどうかについては触れていないですが、秩序維持に関しては、「主権国家システムに比べ、それほど秩序だっていないことの確証ではなく、むしろ、いっそう秩序だっていることの確証をまったく持てない」(『国際社会論―アナーキカル・ソサイエティ』P305)と、秩序があるとは結論づけてはいないようです。

私は、国際関係論を学んでいませんし、国際社会論―アナーキカル・ソサイエティも読んでいないのですが、
① 主権国家内でも内乱も紛争も暴動も民族紛争も分離独立運動も発生しますし、いろいろな社会変革もあって、秩序は維持できるようなものではない。
② 主権国家同士でいえば、平穏に関係維持できていることもあるものの、それなりの緊張関係や小競り合い、敵視による両国間の慣行の変更はつきものである。
③ ローマ教皇のような存在、宗主国のような存在があったり、両国間・多国間の条約締結、あるいは国際貿易商人の活躍などで、状況に応じた仲裁や緩衝・バッファー機能が働いて、現実的な秩序が維持されることは結構多い。
④ 3歳~9歳くらいの子供たちだけの場合は,通常前後4,5歳での年齢幅で仲間集団を形成するが、その仲間集団を維持し続ける最少の規律を非文献的に作り秩序を保ち,状況変化などでその規律が不適当になれば適宜見直し修正していくことが多い。(日本では2,30年前からその傾向が消えたが、5,60年より前ではごく一般的だった)
⑤ ソ連は、第二次世界大戦終結後から冷戦終結までアメリカ合衆国と共に超大国だったが、1980年代から内部矛盾がひどくなり、90年代にはソビエト連邦が崩壊して、いくつかの主権国家ができたり、それが相互に牽制対立などしクリミア危機もあり、その他にも危機と繁栄、停滞と紆余曲折を経験しながら30年間経っている。 大英帝国なども、ヨーロッパの多くの国も、植民地や連邦などの独立を経験し、民族問題や新たな問題としての移民問題など多数の問題を抱えながら、一方でEC、EUなどやの動きも並行して続け、各国の経済でデフォルトがおきそうなら協調支援もしている。
⑥ キューバ危機、ベトナム、アフガン、あるいは北朝鮮政権の政策、中国の権益重視やトランプの米国利益第一策など、国際紛争・戦争の勃発や拡大になりそうなこともしばしば経験しながらも、2021年7月は、なんとか大戦争勃発までにはならず、済みそうです。
⑦ 国際連盟は失敗ととらえられていて、国際連合や経済協力体制、軍事同盟なども、「これでいけそう」などというものは全く見えそうにないのに、グローバルに国境など気にしていないように経済活動を展開する巨大企業の経済上のウエートは高まり、もはやGAFAに限らず、製薬メーカ、中国企業なしには、経済も生活も成り立ちません。資源・産物・情報・技術・資本さらには「人手・人間」の大規模な移動なしには、経済も生活も成り立ちません。

中央政府、中央立法府、中央司法、中央軍がないと、グローバル社会が不安定になるというものではないことは、明らかでしょう。 
仮に、世界・グローバルな中央政府、中央立法府、中央司法、中央軍があったとしても、社会の安定性や秩序の形成や維持という面で、現状よりも効率的・安定的・納得性が高いということにはならないと、私は思います。
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ヘドリー・ブルの「アナーキカル・ソサイエティ」のことは知りませんが、最も現実的で安定なのが「アナーキカル・ソサイエティ」であるように思います。
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