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物価が安くなるとどんなデメリットが生じますか?

A 回答 (11件中11~11件)

「高いインフレ率の経済」「デフレ・低インフレの経済」「緩やかなインフレの経済」を比較してみることで理解しやすくなると思います。



デフレ・低インフレの経済情勢では、「需要<供給」状態となるので、企業経営者は事業を縮小し、人件費を削り、リストラを促進して対応します。そしてその事が更に需要を縮小させることになるため、更なる事業縮小、人件費の削減、リストラ促進を迫られる企業が増えることになります。この悪循環によりマクロで観た市場は、企業部門は生産供給を拡大させる必要性がなくなるため、生産性を向上させることにインセンティブが無くなります。このため生産性の高い設備を導入するより古い機器を長く使い続けたり、中古機器で対応しようとする企業が増えます。日本で未だにFAXが多くの企業で使用されているのもこのためです。
またデフレの社会では世の中から仕事が減り、投資が減り、所得が減るという悪循環が強まるため、事業縮小やリストラに力を入れる企業だらけになります。これは所得が低い層ほど割を食う社会となり、人件費の安売り合戦が起こることで貧困層が拡大することになります。また若者は全般的に所得が低い層となるため、所得が下がる、所得が上がらない、ということから結婚できない人々が増えて少子化が拡大します。

高いインフレ率の経済情勢とは、物価上昇が急速に進むため企業努力で生産性を上げてもそれ以上の勢いで物価が上昇してしまうことや、所得が上昇する以上の勢いで物価が上昇してしまいますので、人々の暮らしは年々悪くなります。また物価上昇の勢いが早いとき、企業は利益確保のために更に高値で品物を販売しようとしますので、更に物価上昇圧力が高まる悪循環に陥ります。
物価が急速に高まることで、高すぎて物を買えなく困窮する人々が増えることになり、ときには政府による食料配給などが必要になったりもします。このような状況下では企業により過剰な通貨供給が求められる状態になるため、景気を悪くしてでも物価上昇を止めるための金融政策なども必要になります。

緩やかなインフレ経済とは、”緩やか”な「需要>供給」状態であるため、企業は需要に応えるために生産能力を増強し利益拡大に努めます。供給より需要が大きい訳ですから、企業は生産を拡大し供給能力を高めることで利益が拡大できることになります。このため市場では投資競争が活発化し、それは多くの企業が人物金を調達し、設備を増強したり、人手を拡大したり、事業計画を見直すことによって生産性が向上することになるのです。結果として中長期で見ると生産性を最大限上昇させたところが優位に立ち、非効率な企業は淘汰されることになります。多くの企業が事業を拡大し、人手を必要とし、設備投資を拡大することは、国民の所得上昇に繋がり、物価上昇に繋がります。また投資の拡大や事業の拡大によって必然として人材の流動性も高まります。
このためインフレターゲット論などに代表されて、緩やかなインフレ状態が経済にとって好ましい状態とされ、政府や中央銀行はここを目指して経済政策を行うべきとされているのです。

またインフレ率は2~4%ぐらいが良いとされている数値はだいたいこのぐらいというかなりアバウトなもので、個別の国の事情によっても少しずつ変わってきます。先進国であれば企業の生産性向上でインフレ率を吸収できるのが、年率でだいたい2~4%ぐらいということです。なので単純化して考えると、需要が年8%ほど拡大していると物価が4%ほど上昇する経済社会になるということです。
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