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質問概要
民事、刑事、ともに訴訟においては「立証責任は原告が負う」という原則がある、と承知しています。
ではその立証が俗にいう「悪魔の証明」に該当する場合、立証責任は被告側に背負わされるのでしょうか?

質問詳細
昨年からステルスマーケティングが規制されることになりました。
詳しくは消費者庁が発している書面、あるいは各種報道を参照していただきますが、
このステマ規制では、いわゆるインフルエンサーと呼ばれる、ネット上での口コミ伝播につよい影響力を持つ人に対して
「宣伝とはわからないように、ウチの商品を派手にヨイショしてちょうだいよ」
ってな依頼をして、誇大広告をやらせることはダメよ、
ということです。

で、これについて、お役所が
「これは誇大広告ではないか? ステマではないか?」
と疑問を持った時、どのように動くのか? について調べたところ、下記のような記述を見つけました。
伊勢市Hpより
「合理的な根拠がない効果・性能の表示は、優良誤認表示とみなされます。
消費者庁は優良誤認表示に当たるかどうかを判断するため必要があると認めるときは、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を事業者に求めることができます。その結果、当該資料が提出されないときは不当表示とみなされます。」

まあ、これを載せているのは伊勢市、というローカルな市ではありますが、地方都市とはいえ市役所が載せているのですから、間違った内容ではない、と信じて先に進みます。

このサイトでは
「表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を事業者に求めることができます。その結果、当該資料が提出されないときは不当表示とみなされます。」
とあります。

要するに消費者庁は業者に対して
「おいおい業者さん、アンタのところの商品をめちゃめちゃ褒めてるインフルエンサーがいるんだけど、そのインフルエンサー曰く
”この商品にはこんな効能があります! こんなに素晴らしい結果が得られます!”
って言ってるんだけどさあ、これ、なんか信じられないんだよねー
悪いけどさ、このインフルエンサーがうたっている効能が得られる、っていう証拠を出してくれないかな?」
というお尋ねが入る、ということです。

これ、ただ聞き流せば
「まあ、お役所が業者に対してそういう指摘や指導をすることもあるわなー」
と思います。
しかしながら質問概要にも記載した通り、民事刑事の訴訟では
「立証責任は原告が負う」
という原則があります。

この消費者庁のお尋ねは、この原則に反するのではないでしょうか?
この「立証責任は原告が負う」の原則に基づけば、消費者庁は
「この業者の商品を調査したところ、インフルエンサーがうたうような効能はありませんでした。
 よってこの業者の氏名住所責任者を公表します」
と、このようにしなければならないのでは? と思いました。

しかしここでまた一つ疑問が生じます。
この場合、消費者庁は
「この業者が扱う商品には効能が無い」
ということを証明しなくてはなりません。
ところが、この「無いことを証明する」というのは俗に「悪魔の証明」と言われており、立証が大変難しいのです。(だから悪魔の証明、という)
となると
「立証すべきが悪魔の証明に当たる場合は、立証責任は相手方に移る」
という法律原則でもあるのかなー? と思いました。

そこで改めてお伺いします。
民事、刑事、ともに訴訟においては「立証責任は原告が負う」という原則がある、と承知しています。
ではその立証が俗にいう「悪魔の証明」に該当する場合、立証責任は被告側に背負わされるのでしょうか?

法律に詳しい方、お願いします。

質問者からの補足コメント

  • 質問文中の
    「消費者庁は優良誤認表示に当たるかどうかを判断するため必要があると認めるときは、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を事業者に求めることができます。」
    につきましては消費者庁発行の書面にも記載がありました。

    第5ページを見て下さい。↓
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/representa …

    合理的な根拠がない効果・性能の
    表示は、優良誤認表示とみなされます。
     消費者庁は優良誤認表示に当たるかどうかを判断するため必
    要があると認めるときは、表示の裏付けとなる合理的な根拠を
    示す資料の提出を事業者に求めることができます。その結果、
    当該資料が提出されないときは不当表示とみなされます。

      補足日時:2024/08/09 19:54

A 回答 (7件)

まず,主張立証責任とか悪魔の証明ということは,訴訟の世界での話であって,行政が,何らかの行政目的を達成するために制度を作る際に適用されるものではありません。


 立証責任の議論を,そのまま行政の制度設計に持ち込むこと自体が,無関係なものを結びつけていることで,考え方として誤っています。

 引用のパンフレットによると,景表法は,根拠のない不当表示を禁止しており,事業者に故意過失がなくても措置命令の対象となるとしています。すなわち,「根拠がない」ことが,措置命令の要件になるわけです。

 その場合,対象となる商品は,何らかの効能をうたっているわけですから,それを商品化したことには,当然根拠があってのことであって,事業者は,その根拠があるからこそ商品化し,それを販売し,宣伝をしていることになります。

 そうすると,措置命令の前提として,事業者に対して,その根拠を示すことを求め,根拠を示せない場合には,「根拠がない」とみなすことは,行政の制度設計としては,合理性があると考えられます。

 それが,販売している事業者でなく,インフルエンサーであっても,世の中に対する影響については代わりありませんから,インフルエンサーの行為についても,事業者と同等の扱いをすることも,適切と考えられます。

 インフルエンサーも,「効果がある」という記事を書くわけですから,自ら「効果があった」体験をしているはずです。ですから,その「体験」を示すように求めることも、行政の行動としては,合理的なものです。

 ここに,主張立証責任を持ち込んで批判をしても,意味はないと考えられます。

 そうはいっても,行政の行動は,どこかで訴訟になることも考えておかなければなりません。

 この問題が訴訟になったときにどうなるか,ですが,当然,ここでは主張立証責任の問題が出てきます。

 これを考えると,措置命令の取消訴訟となると,その要件を満たしていることの主張立証責任は,被告である行政の側にあります。

 ですから,訴訟の場で,被告である行政庁(国とか地方自治体)は,直接に,「効果がないこと」を立証することもできます。

 これに代えて,消費者庁の規準に従って,「根拠を示すよう求めたが示されなかった」という事実を立証することもできます。これは,何を意味しているかというと,「根拠がない」ことを「根拠を示さなかったこと」で代用しているのではなく,「根拠を示さなかったこと」を「根拠がないこと」の間接事実として主張立証し,それによって,裁判所に「根拠を示さなかったこと」によって「根拠がない」と推認される,という判断を求めていることになるわけです。

 その背景となる経験則として,「効果があるという以上は,必ず根拠を持っているはずだ」という法原則があることになります。これがあるからこそ,「根拠を示さないこと」は「根拠がない」ことを推認させる間接事実となる,という,そのような仕組みになります。インフルエンサーが自らの体験として記事を書く以上は,インフルエンサーについても,同じことがいえるわけです。

 このように,質問をされている制度は,訴訟の場においても,主張立証責任を転換しているわけではない,ということになります。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

>「根拠を示さなかったこと」を「根拠がないこと」の間接事実として主張立証し,それによって,裁判所に「根拠を示さなかったこと」によって「根拠がない」と推認される,という判断を求めていることになるわけです。

なるほど、このようにすれば「無いことの証明」ができますね、まあ、あくまでも完全なる「無いことの証明」ではなく、「無い可能性が非常に高い」と主張して、裁判所に「業者が扱う商品につき、業者が自らの広告に表示したり、インフルエンサーを媒体として表示した(あるいは、させた)商品の効能・効果・機能は、実は無い、と推認できる」という判決を出してもらう、という二段階が必要にはなりますが。

裁判になる前の手前の段階での景品表示法において、
「根拠のない不当表示を禁止」
「合理的な根拠を示す資料の提出を事業者に求めることができます。
 その結果、当該資料が提出されないときは不当表示とみなされます。」
としてあるところがポイントですね。

これがあるからこそ、これに応じない業者に対して行政処分を下し、業者がそれを不服として裁判を起こされても、大丈夫、ということですね。

お礼日時:2024/08/10 14:25

監督官庁の仕事のなかで、立証責任などはないです。



>「これこれ、こういう理由だから、債務はないのです」と立証する責任がありますよね。
ないです。債務のない理由などないです。
「債務はない。」でいいです。
被告側が「あるヨ、この通り」と借用書などで貸金のあることを証明すればいいわけです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました

お礼日時:2024/08/13 17:19

消費者庁は監督官庁ですから、その責任において事業者に問うのであって、「事件」ではないので一緒にはできないです。


なお、無いことの証明はできませんが、例えば、「不動産は所有していない」と云う証明に賃貸借契約書の写しで証明になることもあります。
また、「借金していない」証明では、債務不存在確認訴訟で構わないです。
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この回答へのお礼

ご回答お願いします。

>消費者庁は監督官庁ですから、その責任において事業者に問うのであって、「事件」ではないので一緒にはできないです。

まだ事件になっていないので、民事訴訟、刑事訴訟における立証責任の有無は関係ないのですね。

>また、「借金していない」証明では、債務不存在確認訴訟で構わないです。

債務不存在確認請求訴訟の場合、「私には相手方に対する債務はありません」と主張する側(つまりその訴訟を起こした原告側)に
「これこれ、こういう理由だから、債務はないのです」
と立証する責任がありますよね。
「原告は被告に対して債務不存在確認請求訴訟を起こします。
 ところで原告側は”債務が無いことの証明”は”悪魔の証明”になるから出来ません。
 さあ、被告よ、原告に債務があることを証明できるもんならしてみなさい。」
ってなわけにはいきませんよね。

お礼日時:2024/08/13 14:08

そもそも疑問の根拠となっている原則が間違っています。


裁判での立証責任は「原告にある」のではなく,「ある主張をする側にある」というのが原則のはずです。

そして例示の(被告である事業者側に課せられている)証明は,「ないことの証明」ではありません。
原告の主張である「効果がないこと」の証明は「ないこと証明」そのものですから,これぞ悪魔の証明です。
それに対して事業者側は「効果がある」ことを根拠に事業展開しているのですから,効果があることの証明資料を有しているはずで,それは証拠集めなどせずに簡単に証明できることのはずです。だから裁判でそれを示せば,それが効果がないことを否定する証明になり,悪魔の証明をせずに裁判が行えるので,その立証責任は事業者側に課せられているのです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

他の方の回答にありますが、仮に処分を受けた業者が訴訟を起こしてきたとしてもその前の段階で、
「広告に謳うような効果があることの合理的な証拠を提示せよ」
という命令に対して、一切応対しない(もしくは合理的ではない証拠しか示せなかった)状態でした(だから行政処分が下った)

それを業者が不服として訴訟を提起したなら、法廷においては、被告(行政側)が、原告(業者側)が行政の命令に対応しなかった(できなかった)ことを裁判所に示せばよいのですね。

あとは業者側が
1 広告内容が正しいことの合理的な証拠
および
2 なぜそれを行政からの回答期限までに提示できなかったかの理由
この二つを裁判所が納得できるレベルで提示できるか否か、というところに焦点が合わされてくるわけですね。

お礼日時:2024/08/13 14:17

この消費者庁のお尋ねは、この原則


反するのではないでしょうか?
 ↑
反しますね。
立証責任を転換しています。

原告に立証責任がある、というのは
あくまでも原則です。
例外を認めない、というものでは
ありません。

こういうのは、刑事、民事、行政などで
見られるところです。

例えば刑事。
責任能力が無い、ということは
被告の方で、それを疑わせるような
証拠を提示することに
なっています。

不倫。
二人でホテルに入った。
Hした、という証明はまず無理。
しかし、裁判所は、Hしたと見做す
ということになっています。



この場合、消費者庁は
「この業者が扱う商品には効能が無い」
ということを証明しなくてはなりません。
 ↑
悪魔の証明とは少し違うように
思えます。

効能が無い、なんて証明は
科学的に可能だからです。

悪魔の証明てのは、例えば。

赤いカラスが存在するか。
存在しない、という証明は生物学的に
あり得ない、という場合以外は
まず不可能。

過去現在未来のカラスを総て
調べる必要があるからです。

しかし、存在する、という証明は
簡単です。
一羽捕らえてそれを調べれば
解決します。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

お礼日時:2024/08/10 14:25

大げさでもいいから褒めてくださいは問題ないです。


全く効能のないことを宣伝したり、実際の効能以上に効能があると宣伝するのがまずいです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

お礼日時:2024/08/10 14:25

ある一つの誤解をされています。


刑事事件では、立証責任は検察が負いますが、民事事件では必ずしも原告が立証責任を負うとは限りません。
例えば行政法においては、行政機関が事業者などに合理的な根拠の提出を求めることが可能な場合があり、この時点で立証責任が事業者側に転換します。
つまり、消費者庁が「商品の効能に合理的な根拠がない」と判断した場合、事業者にその根拠の提示を求めることができます。この場合、事業者がその根拠を示せなければ、その表示は不当表示とみなされる可能性があります。

まとめると、この事例の場合、消費者庁が事業者に対し「このインフルエンサーが述べている効能を裏付ける証拠を提示してください」と求めたとき、消費者庁がその効能が疑わしいという証拠や理由を示したうえで、事業者に根拠を提示する義務を課させることができます。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

「立証責任は原告(求める側)が負うもの」
という原則はあくまで刑事訴訟においてのみ、であり、
そうではない場合が日本の世の中には存在する、ということですね。

そうなるとインフルエンサーに
「多少大げさでもいいから、わが社の商品をめちゃめちゃほめてください」
とお願いした業者側は窮地に立たされますね。
ま、自業自得ってことで。

お礼日時:2024/08/09 20:38

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