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9月下旬に死去した祖父が、公正証書遺言を残していました。内容は「一切の財産を長女(私の母にあたります)に相続させる。長女に欠格事由ある場合は孫(私)に相続させる」というものでした。祖父には、他に配偶者(私からみて祖母)と二人の子(次女・三女。私からみて叔母)がいます。

母が公証人役場に、遺言書の扱いについて尋ねた所、「そのままにしておくこともできる」「母が実行しなければそのままである」ということを言われたそうなのですが、「実行」というのは、何をもってそうみなされるのでしょうか?どこかへの手続きなどがいるのでしょうか?(祖父の財産を使ったときなどもこれにあたるのでしょうか。)
また、「そのまま」にしておく(=実行しないでいる)場合、原則どおり配偶者へ2分の1、残りを子で等分、ということになるのでしょうか?しかし仮に実行しないとしても、その場合、どのような手続きになるのでしょうか?(祖母や叔母達と母との、協議ということになるのでしょうか。証明などはいりますか?)

今は、遺言は実行せずそのままになっています(かなり問題のある叔母達のため、話合いの機会も持つことが難しい状態で…)。なお、相続財産と言っても古い土地家屋(あまりお金にはなりません)の他には殆ど無く、預金は10万以下。祖父の性格行動を考えると、逆に、借金がある可能性も全くないとはいいきれません(借用書などは出てきませんでしたが)。本などで調べると相続放棄は3ヶ月以内、とあり、仮に隠し借金があった場合、遺言を実行して私の母ばかり債務を承継するとこになったら、と考えると怖いです(悪徳な債権者は3ヵ月経過後に請求してくるとも聞いたことがありますし・・・)。もうすぐ遺言を実行しないまま3ヶ月経ちますが、仮にこのままだと、どのような状態になるのでしょうか?

素人質問ですみませんが、よろしくお願い致します。

A 回答 (3件)

1.仮に祖父に債務があった場合-。


 祖父の遺言通りに母が祖父の遺産全てを相続しなかったら、法定相続分で相続されますから、祖父の債務は祖母1/2、母と叔母2人はそれぞれ1人当たり1/6(=1/2×1/3)を相続することになります。
 祖父の債務も、この割合で支払う義務が発生します。

 祖父の遺言通りに母が祖父の遺産全てを相続した場合は、基本的に母が祖父の債務を全て相続することになります。
 上記で「基本的に」と断りを入れたのは、債権者が法定相続分による遺産分割を主張して裁判を起こす可能性があると思われるからです(=祖母や叔母2人が財産家であれば、債権者はその資産を狙ってくる可能性がある)。

2.遺留分について-。
 祖父の遺産は、相続人全員の協議で分割するのが原則ですが、今回は祖父の遺言があるので遺言が優先されます。

 遺留分が問題になるのは、母が遺言通り祖父の遺産全てを相続すると決めた場合だけです。
 この場合には、母は遺言通り祖父の遺産全てを相続することができますが、もし、他の相続人である祖母、叔母2人が遺留分を要求してきたら支払う義務があります。

 もちろん、他の相続人が遺留分を請求してこなければ、請求権は1年後に時効により消滅しますから、母は他の相続人に対して遺留分を渡す必要はなくなります。

 この1年後というのは、遺留分が侵害されたことを他の相続人が知ったときが時効の起算点になるので、例えば、このまま祖父の遺産分割がなされず数年経ち、あるとき母が祖父の土地の所有権移転登記をすれば、そのときから1年間は遺留分減殺請求権があることになります(この場合でも、祖父の死後10年で時効により請求権は完全に消滅します)。

 とにかく、まず、母は祖父の遺言を承認するのか、放棄するのかを決める必要があります(この決断自体には、特に期限はありませんが…)。

 回答の補足で「実質、母が相続することになる」という状態は、祖父の遺産の大半を占める土地家屋の所有権登記が、母の名義になるということを意味していると思います。
 母はまだ遺言を承認も放棄もしていない状態なので、単に遺産全てを相続する権利があるというだけだと思います。

 母が遺言を放棄すれば、相続人全員で遺産分割協議を行い、祖父の遺産を分割することになります。このときは、必ずしも法定相続分で分ける必要はなく、相続人が合意して分割方法を決定することができます。

3.相続放棄について-。
 相続放棄に関する手続きは、相続人が単独で行うことができます。他の相続人にいっさい相談する必要もありません。

 また、限定承認はプロでも難しいですが、相続放棄は一般の方でも簡単にできます(特段、司法書士に依頼する必要はないと思う)。

 ただし、いったん家庭裁判所に相続放棄を申し出たら、取り消せないので、慎重に考えて下さい。

 最高裁HPの「裁判所に提出する書式例集」を開いて、「1代表的な家庭裁判所の手続(審判)」の「13相続放棄」に、「相続放棄の申述書」のサンプルが載っています。
 詳細は、家庭裁判所でお聞きになれば、書き方を教えてくれると思います。
http://courtdomino2.courts.go.jp/home.nsf
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この回答へのお礼

ありがとうございます。いただいた回答をプリントして母にも見せ、今後のことを話し合っているところです。とても丁寧に教えていただいたので、母親も限定承認のことなど、今まで知らなかったことを知ることができ、喜んでいました。今回初めて質問させていただいたのですが、世の中にはこうやって善意で教えてくれる良心的な方もいるのだなあ・・・と、私自身も感動しております。また何かありましたらどうぞ、よろしくお願いいたします。今回はありがとうございました。

お礼日時:2005/12/15 19:08

1.「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生じる。

(民法985条1項)」ので、祖父が死去したときから、この公正証書による遺言は効力を持つことになります。

 しかし、だからと言って、祖父所有の土地、家屋、預金、現金などの遺産全てが、遺言で指定された母が相続し、母の所有となっていると考えるのは早計です。

 法定相続人には相続する権利として「遺留分(民法1028条)」が認められており、たとえ、遺言があっても、他の相続人には自らの遺留分を請求する権利があります。
 相続人が、祖父の配偶者である祖母、子である母、叔母2人であるなら、祖母の遺留分は祖父の遺産の1/4(=1/2×1/2)、叔母の遺留分は一人当たり祖父の遺産の1/12(=1/2×1/2×1/3)と計算できます。

 祖母や、2人の叔母が母に対して遺留分を請求してきた場合、祖父の遺産の中から遺留分相当を相続させるか、あるいは遺留分に相当する金銭を渡すこと(=代償分割)になると思います。
 なお、遺留分減殺請求権は、相続開始を知ったときから1年間行使しないと時効により消滅します(民法1042条)。

 ところで、母は遺言を承認も放棄もしていないので、まだ、この遺言は実行されていないということになります。とすれば、祖父の遺産は、法定相続人全員の共有状態にある、と考えた方が妥当だと思います。
 例えば、祖父の債権者は法定相続分に応じて相続人に対して祖父の債務の履行を求めることができますが、遺言の存在は知らないからです。

 質問文では、現在の状態を聞かれているので、以下のようになると思います。
○祖父の遺産は、法定相続人全員の共有の状態にある。
○母は祖父の遺言について、承認も放棄もしていない(また、他の相続人から、承認や放棄の請求もない)。
○祖父が亡くなってから3ヶ月が経過すれば、家庭裁判所で相続放棄を申し出ない限り、相続人は祖父の遺産を単純承認したとみなされる(3ヶ月を延長することも可)。

2.相続放棄については、3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出る必要がありますが、この期間は、家庭裁判所が認めれば、延長することができます。

 最高裁HPから、左側INDEXの「家事事件について」を開いて、「第6代表的な家事審判手続」の「13相続放棄」を見て下さい。「(7)その他」に「相続を承認するか放棄するかを判断する資料が得られない場合には,申立てにより,家庭裁判所はその期間を伸ばすことができます。」とあります。
http://courtdomino2.courts.go.jp/home.nsf

 祖父の借金について情報不足ならば、その点も合わせて、家庭裁判所に期間延長の申請も可能だと思います。
 ただし、多少、期間を延長したからといって、祖父の借金、特に連帯保証債務については判明しないと思いますから、ここは、相続するかしないか決断をするしかないでしょう。

3.「限定承認」は相続人全員が家庭裁判所に申し出て、手続きを進める必要があります。母単独では、限定承認はできません。
 また、手続きが煩雑なのと、もし、手続きに不手際があれば、相続人が損害賠償の責任を負う場合もあるので、適格に進める必要があります。

 統計上、年間に亡くなる人は約100万人ですが、限定承認は毎年800件程度しか行われていません。
 今回、叔母の協力が得られないのなら、限定承認はあまり有効な選択肢ではないと思います。

この回答への補足

とても丁寧に教えていただき、助かりました、ありがとうございました。教えていただいたHPも拝見しました。限定承認は殆ど使われていないのですね・・・。

母が仮に承認も放棄もせず、このままの状態にしていた場合は、(1)「3ヵ月経過した時点で、法定相続人達(母・叔母・祖母)は、放棄ができなくなり、単純承認したとみなされる」つまり、仮に債務があった場合、誰かは必ず支払う状態になり、(2)「更に1年経過した時点で、叔母達は遺留分の請求ができなくなる」つまり、プラスもマイナスも含め、実質、母が相続することになる、ということなのでしょうか。

また、質問ばかりで恐縮ですが、財産が共有となっているであろうこのような状態では、仮に「放棄の期間延長申立」を考える場合は、母は、単独でなく、他の法定相続人(祖母や叔母)と共同してなす必要があるのでしょうか?そして、一般的には司法書士の先生方等に依頼して書類を作成するものですよね?(記載例は調べたのですが・・・個人では難しい?)

本当に素人で済みません。お時間ありましたら教えていただけたら幸いです。

補足日時:2005/12/10 00:13
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法律に「実行」という言葉があるわけではありません。

祖父のお金を母が受け取るとか,祖父の土地建物の登記を母に移転するなどのように,遺言通りに,祖父の財産を母のものにすることを「実行」と言っているのだと思います。

祖父の財産を使ってしまった場合,単純承認という効果が発生します。単純承認の効果が発生してしまうと,相続放棄や限定承認ができなくなってしまいます。

祖父の遺言がある以上,祖父の死亡と同時に,自動的に,祖父の財産は現在既に母のものになっています。
母が何もしなくとも,「祖母が2分の1,残りを子で等分」とはなりません。

ですが,母が,祖父の遺産をみんなで分割するのは自由です。その場合,土地建物の登記を移転したりしたい場合には,遺産分割協議書が必要になります。

祖父の遺言通り遺産を相続したいのか,みんなで分けたいのか,それとも特に遺産を相続したいとは思っていないのか,結局は,母の意思次第ということになると思います。

借金がある可能性が高いのであれば,限定承認することも考えられます。
しかし,詳しい事情はわかりませんが,叔母らに問題があり,土地建物もそれほど資産価値がなくて特に必要なく,現金などの資産もめぼしいものがないので要らず,しかも借金がある可能性が高いのであれば,相続放棄してしまって,トラブルから身を守ることも考えておいた方がよいのではないかという気がします。その場合,3か月以内ですから急ぐ必要がありますね。

この回答への補足

ありがとうございます!今まで聞いた中で一番分かりやすい説明で、とても参考になりました。遺言書がある段階でもう母のものとなっているのですね(登記などを移していなくとも)。

質問ばかりで申し訳ありませんが、仮に限定承認の場合、このようなケースでは、相続人である母のみ(祖母や叔母達は関係なく)で申述できるのでしょうか?限定承認についてはほんの少し読んだことがあるのですが(プラスの範囲でマイナス財産を相続するというものですよね)、手続きが大変であまり使われないとも聞きました。

お忙しいところ申し訳ありませんが、ご存知でしたら教えていただければ幸いです。

補足日時:2005/12/08 23:49
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