No.2
- 回答日時:
微分がどういう定義なのかを考えると、ありえないと思いますが。
f'(x) = lim n→0 (f(h+n) - f(h)) / (h+n - h)
これが1階微分なので、1/2階微分とは???
この回答への補足
たしかにその通りですね。
でも、この定義からちょっと離れてみて単純にn階微分の表記(d/dx)^n(f(x))を見たとき
演算子のべきは拡張できないかなぁ、と思うわけです。
もとの定義を忘れて、演算子のべきを拡張できるように矛盾なく再定義する方法はあるのか知りたいなぁ、
というのが質問の意図です。
No.3
- 回答日時:
数学的な厳密さはご容赦いただくとして(私は物理が専門なので)、
大昔に同じことで大分悩んだことがあります。そのとき思ったのは、
関数をベクトル空間の要素だと思えば、微分演算子は行列で
表されるから、対角化すれば、非整数への拡張が出来るのでは
ないかということです。
まず、行列のべきは、対角化してしまえば、非整数に拡張する
のは容易です。対角成分のべきを取ればいいだけですから。
よって、微分したい関数をベクトル空間内の要素だと思って、
適当な基底ベクトル(これも関数)で展開して成分表示します。
そうすると、微分後の関数の成分表示できますから、
両者を結びつける行列が存在します。これを、微分演算子
を表す行列と思うことにします。
すると、この行列を対角化するような基底ベクトルを選んで
やれば、微分の非整数拡張ができるのではないでしょうか。
さらに、フーリエ変換の非整数回の演算だとかも同じ原理
でできますよね。
問題は、微分演算子に対応した行列を確実に対角化できる
かどうかだと思います。
例:べき関数(1,x,x^2...)で展開した場合は、
f(x)=(a,b,c,0,..)とすると、ホントのf(x)は、f=a+bx+cx^2...
ですから、微分すれば、
f'(x)=(b,2c,0,...)
となります。よって、行列は、
|010....|
|0020...|
|00030..|
|:::::::|
となります。これは対称でないので、対角化が保証されません。
べきの計算は簡単ですが、非整数べきへの拡張ができませんね。
他の基底(sinとかexpとか)ではどうでしょうか。
お礼が遅れましてすみません。
なるほど。演算子の行列表現からの拡張ですか…
基底の選び方が難しそうです。
参考になりました。ありがとうございました。
No.4
- 回答日時:
> 微分の階数って回転と何か関係があるのか?
大当たり!だと思います。
●Diracのデルタ関数
∫δ(x) F(x) dx = F(0) (積分はx=-∞~∞)
は、畳み込み積(convolution)
(f*g)(x) = ∫f(x-t) g(t) dt (積分はt=-∞~∞)
における単位元です。すなわち
(f*δ)(x) =(δ*f)(x) = f(x)
です。
δ関数のn階微分をδ~(n)と書くことにします。
n階微分を畳み込み積を用いて表すことができます。すなわちf(x)のn階導関数をf~(n)(x)と書くと、
f~(n)(x) = (f*δ~(n))(x)= (f*δ~(n))(x)
である。要するにn階微分とは、δ関数のn階微分との畳み込み積を作ることです。これは部分積分の公式を使って示せます。
●では非整数階の微分を考えてみると、「a階微分(a≧0)とは、δ~(a)との畳み込み積を作ること」と言いたくなりますが、δ~(a)ってのは正体不明です。
●このままでは身動きとれないのですが、回答No.1でibm_111さんがFourier変換という方法をご指摘になっています。
ここでは超関数のFourier変換を
g(y) =Fourier[x,y,f(x)] = ∫f(x) exp(-2πixy) dx (積分はx=-∞~∞)
としましょう。
○すると逆Fourier変換は
f(x) = ∫g(y) exp(2πixy) dy (積分はy=-∞~∞)
で表されます。つまり
f(y) = Fourier[y,x,g(-y)]
或いは
f(-x) = Fourier[y,x,Fourier[x,y,f(x)]]
ということですね。
以下、Fourier変換して逆変換したら元に戻る、そういう関数・超関数だけを相手にして微分を考えることにしましょう。
○畳み込み積はFourier変換で単なる掛け算に変換されます。すなわち
Fourier[x,y,(f*g)(x)] = Fourier[x,y,f(x)] Fourier[x,y,g(x)]
だから、f(x)のn階微分f~(n)(x)のFourier変換は
Fourier[x,y,f~(n)(x)]=Fourier[x,y,f(x)] Fourier[x,y,δ~(n))(x)]
となる。
○Fourier変換をxの冪乗(いずれも超関数であることにご注意)に適用すると、以下の結果が得られます。
Fourier[x,y,x^n] = ((-2πi)^(-n))δ~(n)(y) (nは非負の整数)
Fourier[x,y,(|x|^a)] = (2cos(π(a+1)/2))Γ(a+1)((2π|y|)^(-a-1)) (aは非整数の実数)
Fourier[x,y,(|x|^a)sgn(x)] = (-2isin(π(a+1)/2))Γ(a+1)((2π|y|)^(-a-1)) sgn(y) (aは非整数の実数)
ここに出てくるΓ(a+1)ってのはガンマ関数
Γ(a+1)=∫(x^(a+1))exp(-x) dx (積分はx=0~∞)
のことです。また符号関数sgn(x)は
sgn(x) = if x<0 then -1, if x>0 then 1
となる奇関数(つまりsgn(-x) = -sgn(x))です。
●さて、nを非負の整数とするとき、n階微分δ~(n)(x)のFourier変換は
Fourier[x,y,δ~(n)(x)] = (2πiy)^n
です。(これはFourier[x,y,x^n] = ((-2πi)^(-n))δ~(n)(y)の両辺をもう一度Fourier変換して、f(-x) = Fourier[y,x,Fourier[x,y,f(x)]]を用いれば分かります。)
●だったら、a階微分のFourier変換も
Fourier[x,y,δ~(a)(x)] = (2πiy)^a
と言いたいところです。でも右辺の「複素数の非整数冪乗」ってのがどういう意味なのか、はっきりしませんね。とにかくその意味を決めてみましょう。
(2πiy)^a =((2π)^a)(|y|^a)(cos(aπ/2)+isgn(y)sin(aπ/2))
これなら、正の実数の実数冪と、実数を引数とする三角関数および符号関数で表されていますから、曖昧さはありません。
指数の法則
((2πiy)^a) ((2πiy)^b) = ((2πiy)^(a+b))
が成り立つことも確かめられます。この法則は「aを正の非整数、mを正の整数、a<mとするとき、f(x)のa階導関数の(m-a)階導関数は、f(x)のm階導関数に等しい」ということを保証してくれます。
勿論、aが整数nの場合には普通の冪乗(2πiy)^nと同じです。
そして、逆フーリエ変換も既に挙げた(|x|^a)と(|x|^a)sgn(x)のフーリエ変換を使って表せ、
Fourier[y,x,((-2πiy)^a)]=
((2π)^a)(cos(aπ/2)Fourier[(|y|^a)]-i((2π)^a)sin(aπ/2)Fourier[(|y|^a)sgn(y)]
となりますから、超関数として意味が決まります。
●以上まとめると、
「非整数a>0について、f(x)のa階導関数は
Fourier[y,x, ((2π)^a)(|y|^a)(cos(aπ/2)+isgn(y)sin(aπ/2))Fourier[x,y,f(x)]]
である。」
ということで取りあえず定義できそうな感じですね。
●試しに
f(x) = sin x
についてa階導関数f~(a)(x)を計算してみましょう。
Fourier[x,y,sin x] = (δ(y-1/(2π))-δ(y+1/(2π)))/(2i)
を使うと、
f~(a)(x)=Fourier[y,x, ((2π)^a)(|y|^a)(cos(aπ/2)+isgn(y)sin(aπ/2))Fourier[x,y,f(x)]]
= ((2π)^a/(2i)) Fourier[y,x, (|y|^a)(cos(aπ/2)+isgn(y)sin(aπ/2))(δ(y-1/(2π))-δ(y+1/(2π)))]
= ((2π)^a/(2i)) Fourier[y,x, (|y|^a)(cos(aπ/2)+isgn(y)sin(aπ/2))δ(y-1/(2π))]
-((2π)^a/(2i)) Fourier[y,x, (|y|^a)(cos(aπ/2)+isgn(y)sin(aπ/2))δ(y+1/(2π))]
δ(y+b)はy=-b以外ではゼロであり、従って 関数h(y)との積は、hがy=-bで連続であれば
h(y) δ(y+b) = h(-b) δ(y+b)
です。ゆえに、
f~(a)(x)
= ((2π)^a/(2i)) Fourier[y,x, (|1/(2π)|^a)(cos(aπ/2)+isgn(1/(2π))sin(aπ/2))δ(y-1/(2π))]
-((2π)^a/(2i)) Fourier[y,x, (|1/(2π)|^a)(cos(aπ/2)+isgn(-1/(2π))sin(aπ/2))δ(y+1/(2π))]
= (1/(2i))(cos(aπ/2)+isin(aπ/2)) Fourier[y,x, δ(y-1/(2π))]
-(1/(2i))(cos(aπ/2)-isin(aπ/2)) Fourier[y,x, δ(y+1/(2π))]
= (1/(2i))(exp(aπi/2)Fourier[y,x, δ(y-1/(2π))]-exp(-aπi/2) Fourier[y,x, δ(y+1/(2π))])
Fourier[y,x,f(y)]=g(x)のとき、Fourier[y,x,f(y+b)] = exp(2πibx)g(x)
ですから、
Fourier[y,x, δ(y-1/(2π))] = exp(-ix)
Fourier[y,x, δ(y+1/(2π))] = exp(ix)
ゆえに、
f~(a)(x)= ((2π)^a/(2i))(|1/(2π)|^a)(exp(i(aπ/2-x))-exp(i(x-aπ/2)))
= ((2π)^a/(2i))(|1/(2π)|^a)(2i)sin(aπ/2-x)
= sin(aπ/2-x)
= sin(x+(1-a/2)π)
となります。
○a=1/2なら
f~(1/2)(x)= sin(x+3π/4)
ですね。a=1だとめでたく
f~(1)(x)= sin(x+π/2) =cos(x)
となります。
●同じ調子でa<0についても、つまり非整数階積分も考えられそうです。
お礼が遅れてすみません。
たいへん詳しい回答ありがとうございました。
> n階微分とは、δ関数のn階微分との畳み込み積を作ること
これは知りませんでした。これとフーリエ変換を組み合わせて拡張していくんですね。
f~(0)(x)=-sin(x)、f~(2)(x)=sin(x)になってしまうのが?..なので
細かく検討してみたいと思います。ウーム。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
以前に物理数学の講義でほんのちょっとだけ触れたことがあります.
そのときのノートを引っ張り出してみました.
所詮,物理屋の数学ですから穴だらけでしょうし,
そんなに深く勉強したわけではありません.
微分階数の非自然数化の萌芽はすでにライプニッツにあるようで,
オイラー,ラグランジュ,リウビル,リーマン,などの仕事があります.
pierrot2002 さんの言われるように,
もともと微分は自然数の回数に対してのみ定義されたものです.
でも,やっぱり拡張したいという願望はありますね.
例えば,階乗はもともと自然数に対してしか意味がありませんでしたが,
オイラーの第2種積分
(1) Γ(z) = ∫{0~∞} e~(-t) t^(z-1) dt
が Γ(n+1) = n! (n:自然数)になることを手がかりにするなどして,
矛盾なく実数さらには複素数まで拡張できました.
微分の場合も,拡張の手がかりは自然数階微分に対して成り立つ一般式にあります.
いくつか考えられます.
【A】 フーリエ変換
ibm_111 さん,stomachman さん,の手法です.
フーリエ変換してしまえば,微分は単なる掛け算になりますから,
それを手がかりにしようというわけです.
【B】 ラプラス変換
フーリエ変換とよく似た事情です.
【C】 微分のもともとの定義からの拡張
f(x) の1階微分は
(2) df/dx = lim_{δ→0} δ^(-1) {f(x) - f(x-δ)}
です.
{ } のところは {f(x+δ) - f(x)} と書く方が多いですが,
上の表現の方があとの式が簡単になるので(大したことはありませんが)
こうしました.
f(x) の2階微分は
(3) d^2 f/dx^2 = lim_{δ→0} δ^(-2) {f(x) - 2f(x-δ) + f(x-2δ)}
f(x) の3階微分は
(4) d^2 f/dx^2 = lim_{δ→0} δ^(-3) {f(x) - 3f(x-δ) + 3f(x-2δ) - f(x-δ)}
f(x) のn階微分は
(5) d^n f/dx^n = lim_{δ→0} δ^(-n) Σ{j=0~n} (-1)^j C(n,j) f(x-jδ)
ただし,C(n,j)はn個のなかからj個とる組み合わせの数.
で,C(n,j)を階乗を使って表した表現で,階乗をΓ関数で書き換え,
nを連続変数化.
【D】x^p の高階微分公式
(6) d^n x^p/dx^n = p(p-1)(p-2)・・・(p-n+1) x^(p-n)
= {Γ(p+1)/Γ(p-n+1)} x^(p-n)
で,nを連続変数化.
例えば,
(7) d^(1/2) x /dx^(1/2) = 2√(x/π)
(8) d^(1/2) 1 /dx^(1/2) = 1/√(πx)
定数 1=x^0 の微分は結果がゼロではないあたりが不思議と言えば不思議です.
テーラー展開できる関数についてはこの方式がわかりやすいですかね.
【E】コーシーの繰り返し積分定理
(9) ∫{a~x} dx_{n-1}∫{a~x_(n-1)} dx_{n-2} ・・・∫{a~x_0} f(x_0) dx_0
= {1/(n-1)!} ∫{a~x} (x-y)^(n-1) f(y) dy
から,積分の逆演算が微分だから(7)の右辺でnの代わりに -n とおいて微分にし,
さらに連続変数化.
【F】コーシーの留数積分定理
(10) f(z) = (1/2πi) ∫_C {f(ζ)/(ζ-z)} dζ
の両辺を z で n 回微分し,右辺の n! をΓ関数で書いて n を連続化.
まだ,他にいくらもあるでしょう.
拡張の時いろいろ注意がいるものもありますし,
いろいろな拡張方式が同じ結果を与えるがどうかも本当は検討が必要です.
(なかなか大変そうで,ちょっと私の手には余ります).
質問の例は,
(11) d^n sin x/dx^n = sin(x+nπ/2)
のnを連続化して 1/2 とおいて拡張した
(12) d^(1/2) sin x / dx^(1/2) = sin(x+π/4)
ですね.
これは多分OKですが(実はちょっと微妙なところもあるみたいですが),
cos の方はうまくいきません.
(13) d^n cos x/dx^n = cos(x+nπ/2)
からすると,
(14) d^(1/2) cos x / dx^(1/2) = cos(x+π/4)
ですが,本当は
(15) d^(1/2) cos x / dx^(1/2) = 1/√(πx) + cos(x+π/4)
です.
つまり,cos x をテーラー展開したときの第1項は定数1(イチ)ですが,
整数階微分ならこれが消えてしまうのに対し,
1/2 階微分なら(8)でこの項が残ります.
それがちょうど(15)右辺第1項です.
お礼が遅れましてすみません。
>微分階数の非自然数化の萌芽はすでにライプニッツにあるようで,
>オイラー,ラグランジュ,リウビル,リーマン,などの仕事があります.
そんなに前から!驚きです。
いろんなアイデアがあるものですね。
でもその分consistentな定義を与えるのは難しそうです。
挙げていただいた例での計算・検討をしたいと思います。
これらを参考に拡張方法を自分でも考えてみたいです。
たいへん参考になりました。ありがとうございました。
No.6
- 回答日時:
siegmund です.
No.5 の回答で,ちょっと気になっていた「微妙なところもあるみたい」
のあたりを少しだけ調べました.
一部訂正が必要で
(1) d^(1/2) x /dx^(1/2) = 2√(x/π)
(2) d^(1/2) 1 /dx^(1/2) = 1/√(πx)
などはOKですが,三角関数は
(3) d^(1/2) sin x / dx^(1/2) = sin(x+π/4) + (フレネル積分関連項A)
(4) d^(1/2) cos x / dx^(1/2) = 1/√(πx) + cos(x+π/4) + (フレネル積分関連項B)
のようです.
(3)と(4)の(フレネル積分関連項)のA,Bは違うものです.
ややこしいので具体的式は省きました.
上は,
K. B. Oldham and J. Spanier: The Fractional Calculus
(Academic Press, New York, 1974)
によります.
この本はなかなかしっかりした本のようですので,
入手できれば参考になるかと思います.
ネットですと
http://mathworld.wolfram.com/FractionalDerivativ …
http://mathworld.wolfram.com/Semiderivative.html
に少しだけ話が載っています.
非整数階微分は,粘弾性関係への応用もあるみたいです.
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