
「ミクロカノニカル分布、カノニカル分布、グランドカノニカル分布」と
「マクスウェル・ボルツマン(MB)分布、フェルミ・ディラック(FD)分布、ボース・アインシュタイン(BE)分布」の違い(?)がわかりません。
というか、この『分布』という言葉は同じ意味として受け取っていいのか?ということです。
(あるときはグランドカノニカル分布、あるときはFD分布というように同じ括りで考えていいのか?という疑問です。)
ミクロカノニカル分布:平衡における孤立系での分布
カノニカル分布:熱溜に接する系での分布
グランドカノニカル分布:さらに、粒子のやり取りがある系での分布
MD分布:下記二つの古典的極限
FD分布:フェルミオンの従う分布
BE分布:ボソンの従う分布
というような個々の定義や、ミクロカノニカル→カノニカル→グランドカノニカルの導出、FD、BE→MBの導出のそれぞれについては何とか理解できるのですが、これら二つの「分布」がどうにも結びつきません。
調べてみると、古典統計的なカノニカル分布、古典統計的なグランドカノニカル分布、量子統計的なカノニカル分布、量子統計的なグランドカノニカル分布があるようですが(1粒子状態を考慮する=量子統計だったかと)、それでは「古典ならMB」とか「量子ならFDもしくはBE」とかいう考えは間違っているのか?などの疑問が沸きます。
細かい部分では、前者の分布は「カノニカル"集団"における分布」と表現されるのに対して、後者の分布は「フェルミ"統計"に従う粒子の分布」と表現される違いがあったりするので、同じ『分布』として捉えていいのかすら分かりません。
(例えば、熱溜に接する系でのフェルミオンの分布は、カノニカル分布かつFD分布になるというおかしな?ことになるのかなぁとか)
質問の論旨が漠然としていてスミマセン。よろしくお願いします。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
まず、グランドカノニカル分布とフェルミ分布
の違いですが、グランドカノニカルの方は、あくまで
『体系』の振る舞いを与えます。総粒子数や総エネルギーが変動する状況における、体系が「ある総粒子数」
と、「その総粒子数のもとでの、各1粒子エネルギー
準位にいくつずつ粒子が分配されるか」の確率を与えるということです。そこまででグランドカノニカル
は終わりです。
そのあと、その確率を使って、
『ある1粒子エネルギーεjにいる粒子数njの平均』を求め
ます。一気に、体系がある微視的状態をとる確率から、1粒子状態の平均粒子数へと飛躍が生じているわけです。このとき、nj以外の変数
であるni,nk...は、平均をとると分母と分子で帳消しになり
<nj>=Σnj・exp[-β(εj-μ)nj]/Σexp[-β(εj-μ)nj]という
式の中に入ってきません、つまりjだけの和になります。それで、フェルミ粒子ならnjに1と0を順次代入して和をとれば、その<nj>=1/{exp[β(εj-μ)]+1}がフェルミ分布になります。
ボーズ分布なら、0~∞までnjについて和をとったものです。つまり、どちらの分布も、「あるエネルギーの1粒子状態にいる
平均粒子数」ということであります。グランドカノニカル分布から導かれる分布ではありますが、グランドカノニカル分布とは分布の意味が異なります。
<<古典統計的なカノニカル分布、古典統計的なグランドカノニカル分布、量子統計的なカノニカル分布、量子統計的なグランドカノニカル分布があるようですが(1粒子状態を考慮する=量子統計だったかと)、それでは「古典ならMB」とか「量子ならFDもしくはBE」とかいう考えは間違っているのか?
まず、マクスウェル・ボルツマン分布は分子の速度
分布のことです。もちろん、古典統計にしか使えません。さらに体系の振る舞いや、ポテンシャルエネルギーを考えるときは、古典統計ではボルツマン統計
まで考える必要があります。ボルツマン統計も、
平均の粒子数です。カノニカル分布は、体系が
ある微視的状態をとる確率だから、ボルツマン統計とは厳密には異なります。あまり区別されてませんが。
量子論的なカノニカル分布というものは、位相空間を
量子数の組が張る空間に換えるだけで、exp[-βEj]という因子は変わりません。これと、F・D統計などとの
違いは、「1粒子状態にいる粒子数」のような細かい情報は分からない、ということです。それでも、古典統計よりは厳密性を出したいときに有効なのでしょう。
ありがとうございます。とてもよく分かりました。
>一気に、体系がある微視的状態をとる確率から、1粒子状態の平均粒子数へと飛躍が生じているわけです。
ここの理由がいまいち理解できていませんが、お礼を投稿するのが遅れてしまったため、いったんここで締め切りとさせていただきます。すみませんでした。
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