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とあるサイトに以下の記述がありました。

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日本国憲法が保障している基本的人権は、決して無制限に行使でき
るものではない。人間は社会を構成し、その中で生きているのだか
ら、当然に他人の人権も尊重しなくてはならないからである。

従って基本的人権は「他者を害しない範囲で」行使できる、という
ルールが(法律上に明文の規定がなくても)当然に妥当することに
なる。これを「他害行為禁止の法理」と称する。

例えば「表現の自由(21条)」を主張するものは、自分の自由を主
張する一方で他人のプライバシー(13条)に配慮すべきであるとい
える。もしその配慮を欠いて、「表現の自由」の名の下に他人の私
生活を暴きプライバシーを侵害するような表現(小説の公表など)
を行えば、違法行為として、民事、刑事上の制裁を受けることさえ
ある。
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『基本的人権は「他者を害しない範囲で」行使できる』というのは、
非常に納得できますが、Googleで『他害行為禁止の法理』の
キーワードで調べてもほとんどヒットしないため
『こんな法的解釈は存在しない』と言われています。

『基本的人権は「他者を害しない範囲で」行使できる』に該当する
法的情報などございましたら教えてください。

それとも、そういものは存在しないのでしょうか?

A 回答 (2件)

ご指摘のサイトは、中学・高校向けレベル という感じで、正確な法的解説 とはいえないように感じます。


他害行為禁止の法理 なんて、少なくとも大多数の法律関係者は聞いたことがない と答えるでしょう。私も聞いたことがありません。


基本的人権は「他者を害しない…」…  に関連することを解説すると


そもそも憲法は、国家が守らなければならないこと を定めたもので、
基本的人権も、「国家が侵害してはならない」ものです。
基本的人権を「行使する」という表現は少し違うように思います。

憲法では、種々の基本的人権を (国家が:典型的には法律を定める国会 が)侵すことのできない もの 11条 として保障しており、
だとすると、例えば 国会は 表現の自由 を制限するような 名誉毀損罪 という法律を定めることができない といえます。

しかし、それではあまりに不都合なので、他の基本的人権(例えば 13条幸福追求権に含まれる名誉権)の保障のためには、基本的人権(例えば表現の自由)も 制限できる とすべきだと考えます。 
ただ、法解釈である以上、条文上の根拠が必要で、13条に(ここでは幸福追求権とはまったく別の意味での13条:偶然にまたもや13条ですが) 「権利は…公共の福祉に反しない限り」 とある言葉じりをとらえて、「公共の福祉」を根拠に制限できる (名誉毀損罪という法律を制定できる)という理屈をとります。
「公共の福祉」が人権相互の調整原理・一般的制約原理等 といわれるのはこのためです。

ある基本的人権が、他人の基本的人権を害する場合には、「公共の福祉」を根拠として、国家は(典型的には国会が法律によって)制限できる ということはできます。

ただ、公共の福祉を根拠に制限できる という理屈ではあまりに大雑把なので、自由国家的公共の福祉 と 社会国家的公共の福祉 に分類される といった議論に発展していきます。


そして、前者:自由国家的公共の福祉 の意味については、
(1)各個人の基本的人権の共存を維持するという観点での公平。具体的には、「国民の健康・安全に対する弊害を除去」を目的とする制約。 と解するのが多数ですが、
(2)「他人の権利を害さないことや、基本的憲法秩序を害さないこと」を目的とする制約。 と解する有力学説もあります。

(以下はかなりマニアックな議論で、私見ですが、よく考えると、
(1)「国民の健康・安全に対する弊害除去」で何故 表現の自由を制限できるのか 名誉権の保護が何故 健康・安全のためなのか 私には理解不能です。 
この点、
(2)他人の権利を害さないこと… とする説に立てば、名誉権が害される場合は表現の自由を制約できる と無理なくいえるように思います (私は(2)説のほうが好きです) 「害さない」という用語が使用される場合を紹介したまでですが)
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 こんばんは。



 公共の福祉の内容として、『基本的人権は「他者を害しない範囲で」行使できる』というフレーズがよくでてきます。

 東大の故芦部教授は公共の福祉=「人権相互の矛盾・衝突を調整するための実質的公平の原理」と述べられています。つまり、表現の自由(21条)もプライバシーの権利(13条)も絶対無制約ではなく、矛盾衝突する場合があるのだから、それを調整しなければならない。その道具として、公共の福祉という公平の原理を使おう。そうすると、21条は13条を害しないよう、また、13条も21条を害しないような範囲内で認められる権利・自由である、となるわけです。

 このことを「他害行為禁止の法理」という名称で呼ぶかどうかは、学者しだいです。私も結構憲法の教科書は読みましたが、あまり聞き慣れません。ただ、京大の佐藤教授は、人権の制約の根拠を「他者加害の禁止」という言葉で表現されていたように思います。このフレーズであれば、ネット上でも検索できるかもしれません。
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