
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
実際に単結晶以外で作られたトランジスタと、単結晶
でつくられたトランジスタの特性を比較してみれば、
単結晶である必要性が簡単に理解できるでしょう。
多結晶を利用したトランジスタの例として、液晶の駆動に
利用されているものをあげることができます。液晶では
ガラス基板上にトランジスタを形成する必要があるため、
多結晶シリコンしか利用することができません。
下の記事は、CGSという非単結晶の中では高性能なトラン
ジスタを作成できる技術をデモするために、マイコンを
作成したというものです。
http://techon.nikkeibp.co.jp/members/01db/200210 …
しかし、トランジスタ数は約1.3万個で、たった3MHzで
しか動作していません。ほぼ同時期に単結晶シリコンを
利用したマイコンであるPentium4は、約4000万個のトラ
ンジスタを利用しており、動作周波数3GHzに達しています。
集積度で3000倍、動作周波数で1000倍の差がでています。
これは2002年時点での比較、しかも技術デモと最先端商品
の比較なので、現状はすこし縮まっているかもしれませ
んが、とても同程度というレベルにはなっていません。
これだけの差がつく原因の一つは、電子の流れやすさの
指標である移動度が、単結晶に比べて、多結晶では非常に
遅いことです。平行移動にたいして繰り返し構造をもつ
単結晶では、電子が散乱されにくいのに対し、多結晶では
並進対象性が破れていることから、電子が散乱されるのが
原因です。
また、単結晶では基板のどこでトランジスタを作成しても
同じ特性がでますが、どのような方位の結晶粒と結晶
粒界がチャネル領域にくるかわからないため、多結晶で
は位置により特性にばらつきがでます。したがって、
トランジスタの特性が揃っていることが要求される高性能
大規模集積回路の作成が難しくなります。
これらのことから、多結晶を用いたトランジスタは、液晶
の駆動回路など、非常に限られた部分でのみ利用されて
います。
トランジスタ以外に、光半導体などの場合は、理想的な
単結晶から結晶品質が下がる(欠陥が多くなり、多結晶
に近づく)と、発光の線幅が広がる、非発光性再結合など
が増え発光効率が下がる、発光動作を続けると構造が変化
し短時間で発光しなくなるなどの問題が生じます。
詳細な回答をありがとうございます。
移動度が激減することと位置による特性ばらつきですね。納得しました。一方、一部とはいえ多結晶デバイスもあるのは初耳でした。

No.6
- 回答日時:
>単結晶であることと関係は無いように思えます、、、
仰られる通りですね。余計な文でした、すみません。
私はこの質問を読み返して見て、全くの初心者の質問ではないと思いました。私の回答可能な範囲で再度回答致したいと思います。
半導体の特性評価で良く電子のモビリティーという言葉を耳にします(しました)。これと同時に結晶性の議論がなされていた記憶があります。また、色々と積層させた多元半導体などではその界面の状態を評価してました。これらから親さんの「単結晶でなければならない」という認識は私も同じです。
ではなぜ単結晶でなければならないのか?についての質問になる訳ですが、先に投稿した原子の結合がキーワードとなってくる気がします。
多結晶と言うのは粒界と呼ばれる粒が凝縮した結晶でその界面や隙間がある事が単結晶と大きな違いだと認識しております。それらの違いにより電子のモビリティやバンド図も変化してくると推測します。
ズバリ答えと全く素人ではないと言う狭間で回答を申し上げるなら、多結晶と単結晶の違いは電子の移動の違いとなるのではないでしょうか?
また、真実を知りたければ半導体の歴史を勉強されるのが良いかと思われます。ショックレー等によるトランジスタの発明を紐解けばいいのかも知れません。
※自信なしで回答してます。
再度のご回答ありがとうございます。
電気系の技術者です。半導体はやってませんが。大学時代にそういえばこんな疑問があったと今更ながら重い出した次第です。電子のモビリティが変化するというのが正解のようですね。
No.4
- 回答日時:
ずばり一言で言えば、エピタキシャル成長が出来るからです。
(不純物層も)ありがとうございます。
エピタキシャル成長、まだ覚えてました(笑)
上にどんどん積み上げるように成長させるやつですよね。単結晶でなくてもよいなら、もっと楽に積み上げられそうな気がします。
No.2
- 回答日時:
これが正解だかわかりませんが、
多結晶で粒界があると、電子の散乱体になりますし、
電子の捕獲中心にもなるかもしれません。さらに
物性値も局所的に変わってくる可能性もあり、いろいろやっかいなことも出てくるでしょう。
多結晶を用いて計算どおりに動作する半導体素子をつくるのであれば、粒界を極めて制御した形で導入しなければなりません。
それはほとんど不可能なことです。むしろ粒界を含まない単結晶をつくる方がよほど簡単だからでしょう。
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