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権利株の譲渡は「対抗することができない」とされ、一方で株券発行前の株式の譲渡は「その効力を生じない」とされているのはなぜなのでしょうか?
譲渡が制限される理由は、事務処理の便宜のためということで共通していると思うのですが。

A 回答 (1件)

財務カテにもおられた方でしょうか?


まず、おっしゃるような株券発行前の譲渡の「無効」とは、対会社間での効力を認めない「相対的」無効ということですよね。「会社に対抗できない」というのとこの対会社間での相対的無効の違いとは、会社が効力を認めることの可否の点にあります。
実際、現・会社法施行前の旧商法では、新株発行の効力が発生する前後いずれでも会社に対して相対的無効でした(旧商法190条、280条ノ14第1項、204条ノ2)。この規定の趣旨は確かに株券発行・株主名義作成事務上の便宜とされ、条文上効果の区別が無かった時代が長いこと続いておりました。
しかし、このような趣旨なら対会社間での相対的無効でなくとも譲渡を会社に対抗できないとすればよいとする指摘がありました(法制審議会の会社法部会に出席していた学者でさえその点は認めています)。
そこで、新・会社法では一部この見解を認め、権利株の状態であれば会社に対抗できないものと条文上も規定を改められました(会社法35条、50条2項、63条2項、208条4項)。しかし、その後株式発行の効力が発生した段階での株券発行前の株式については、依然、相対的無効とされています(128条2項)。
私見ですが、株式発行の効力発生後に株券の譲渡を伴わない株式譲渡を認める余地を残せば、株式発行にあたり株券を発行するとした制度趣旨じたいが対会社間でも相対化されることを懸念したのではないでしょうか?
権利株はあくまで株式引受人の地位なので、株式そのものではありません。払込義務と一体の権利です。これに対して、払込後株券発行前の株式は少し特殊ですが一応株式です。
払込期日等も経過、新株について株主資格を取得した以上後は一般的ルールに従属したルールによるものとすべきという理解があるものと思われます(有価証券論的にいえば、発行後の株券占有の資格授与的効力に先んじて、新株発行確定時の株主(会社の認めた権利株譲受人でも同じことですが)に対して「会社が潜在的な占有を認めている」ことが、株券発行前における株主の形式的資格の一形態となる、といったところでしょうか)。だからこそ、このような状況ではさすがに「対抗できない」ではなく相対的無効(対会社間では「有効たりえない」)としたのでしょう。実際、株券不発行の制度もできたわけですし、発行するならするで株式発行の効力発生後はせめて趣旨を貫徹させるようにするべきとでも考えたかと。
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