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先日、高松塚古墳の変わり果てた姿が公開されました。

発見当時の鮮やかな色彩も今ではカビの影響で黒ずみ、元の姿の面影もありません。

文化庁の対応が随分と批判されていましたが、残念ながらこの役所は古墳を管理する能力がないと判断せざるを得ないように思います。

ここで教えて頂きたいのですが、

1.高松塚古墳が発見されなかった場合、もっと状態が悪化していたと考えるべきでしょうか? それとも発見されない方が良かったでしょうか?

2.今後、もし未盗掘の古墳が発見された場合、今の日本の管理能力、技術力のもとでは発掘せず、そのまま将来の子孫に任せた方がいいという事になるのでしょうか?

日本の宝を壊された事に激憤する者としてお伺いしたいと思います。

A 回答 (3件)

1.について


 高松塚が発掘されていなかったとしても壁画の劣化は進んでいたと思われます。
 昭和47年の発見当時でも描かれていた時よりは大分劣化が進んでいたのですから漆喰が剥がれたり、カビが生えててダメになってたのではないかと思われます。
 現に本来、朱雀の絵あったはずの壁にはその痕跡すら残っていません。
 ただ、こんなに短期間であれほど劣化しなかったということは間違いはありません。
 少々乱暴な話にはなりますがキトラ古墳の壁画がどうにか現状維持されているのは高松塚の犠牲があってのことではないかと思っています。
 もし高松塚の前例がなければキトラ古墳もいきなり開封されてあっという間に今以上に劣化が進んでいたことでしょう。

2.について
 現在、開発で壊され消滅していく古墳や遺跡は全国で年間数千箇所にも及びます。
 未盗掘の古墳を発掘するのであれば管理能力以前に「発掘調査をする必然性」が問われます。
 好例が同じ壁画古墳のキトラ古墳です。
 キトラ古墳は今発掘調査をして保存処置をしなければ剥落していた漆喰が地震などで落ちて壁画そのものが消滅していたことでしょう。

 今回の高松塚の保存失敗は、文化庁や担当者の責任がかなり大きいと言わざるを得ませんが、日本には漆喰の上に描かれたこのような壁画古墳は高松塚とキトラ以外にはなく保存方法は手探りであった、ということもまた事実です。
 一概に「発掘しなければ良かった」とも言えないとは思います。

 ちなみに高松塚古墳は芋の貯蔵穴が掘られて切石が出土していたことをきっかけとして発掘調査が始まりました。
 詳しくは参考URLをお読みください。

参考URL:http://www.nara-np.co.jp/special/takamatu/vol_01 …
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この回答へのお礼

有難うございました。 なるほど、日本には漆喰の上に描かれた壁画の保存方法というか、先例がなかったんですねえ。 しかも高温多湿で地震が多い。 難しいはずですね。 

お礼日時:2006/09/21 10:04

ご質問について、個人的に思うことを書き込みます。



>1.高松塚古墳が発見されなかった場合、もっと状態が悪化していた? 発見されない方が良かった?(一部略変)

想像的結論…壁画が発見されていなかった場合(=発掘調査がされなかった場合)、良好な遺存状態で今に伝わっていると想像します。

ご存知とは思いますが、古墳は埋葬後に埋葬部を埋め込んでしまいますので、壁画の描かれた埋葬空間の横口式石槨内は外界から遮断されます。
外界と遮断されるので、風化変質のスピードがゆっくりになるということですが、この状態でも全く変質しないということではないと思います。
また、高松塚古墳は過去に盗掘されていたらしいので、少なくとも一度は外気などが入り込んでいますが、その後、盗掘坑は埋まっていますので、一定の空間状況が保たれた状態になり、発掘調査で壁画が発見され、空調設備を設置して保存した、ということだと思います。

なお、発掘調査当時、高松塚古墳に壁画があることは知られていなかったはずですので、調査の目的は壁画調査ではなく、飛鳥時代の墳墓構造などを通じて、当時の社会構造を解明することにあったと推測されます。


>2.もし未盗掘の古墳が発見された場合、発掘せず、そのまま将来の子孫に任せた方がいい?(一部略変)

希望的対応…実際のところ、それが最善だと思います。土中の環境を変えないことが一番です。
ただ、上述したとおり、ゆっくりとした速度で風化変質はしていきますが。

なお、日本国内で実施されている発掘調査の大部分が、土木工事などで現状維持ができない場合に、その対処として、やむをえず発掘調査をする、ということになっています。
掘りたいから掘る、ということではないのです。
また、高松塚古墳の発掘調査は学術目的だったはずですので、この範ではない事例です。


>日本の宝を壊された事に激憤する者

日本国内中の飛鳥時代の古墳を発掘調査しても、高松塚古墳レベルの壁画は数件しかないでしょうから、まさしく国宝ですね。
古代の中韓文化の影響を色濃く受けた創造物ですが。
妙なものですね。民俗差別が生じる時って、どんな現象の時なのでしょうか。

現状保存に失敗した理由は、現状を保存しようとしたことと保存技術レベルに大きな乖離があったのだということを表していると思います。当時の知見や技術では現地保存は無理だったと。
また、キトラ古墳の壁画保存関係のニュースをみると、現代の技術でも現状保存は極めて困難だと思いますが。

そりゃぁ、ロケット開発(=宇宙開発)くらいの経費をつぎ込めば可能なのかもしれませんが、過去に対する対価がどのくらいのものなのか…。

それにしても、文化庁(に限らず、役所全般)の対応は「まずかった」ですね。
保存技術の問題から生じる損傷ならば技術の進歩とともに修正しつつ対応も可能でしょう。(予算化されるかどうかはわかりませんが)
今回の場合は、技術的問題だけでなく、人為的ミスで損傷したことまで「隠蔽」しましたからね。少なくとも後者の問題に公然と対処すれば、今のような状況にまではならなかったのだろうに、と思います。

壁画の現状保存は相当困難だということだと思います。
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この回答へのお礼

有難うございました。 興味深く読ませて頂きました。 実際には無理でしょうが、ある意味で 「予算無制限」 にすれば現状保存が可能なんでしょうね。
自分とすればこのような貴重な歴史的遺産は次の世代に引き継いでいかなければいけない義務があると思うし、また一度壊れると修復不可能でしょうから、「自信がなければ触るなよ」 と言いたくなっています。
それでも文化庁は 「現在の科学水準でも充分」 と判断したんでしょうね、きっと。
でも、もしあと数百年後の日本人が発掘していればもっと多くの情報が入手できたのかも知れないですね。

お礼日時:2006/09/20 14:36

私は文化庁はもう少しはやりようがあったとは思うけど、人間のやることだから仕方ないと思う。


発掘でモノをぶっ壊すことは結構あることだし。

で。

1.悪化していたでしょう。地震による亀裂が元で水が入ったのが原因だし。
2.それでは考古学が停滞してしまいます。しかも、こういうことはやっぱり試行錯誤でやらないとその保存技術自体も進みません。さらに学問は連続しないと取り戻すのが大変です。
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この回答へのお礼

有難うございました。
地震で亀裂が入ったのが原因だとしたら、この古墳はいずれは平成の時代に破壊される運命にあったという事になるんですねえ。 1000年も頑張ってきたのに、とても残念ですね。
発掘調査はやはり先送りしないで、発見しだいすべきなんですね。そうしないと保存技術が進歩しないというのも分かる気がするんですが、今回の問題をみるとどうも ・・・

お礼日時:2006/09/20 14:01

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