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量子論の計算において離散量で有限の場合は行列表示、連続量をあつかう場合は積分を用いて計算します。しかし一次元調和振動子の場合などはシュレディンガー方程式を変数変換してエルミート多項式をとけばエネルギーが求まりますが、この場合は消滅生成演算子を用いてH=aa*+1/2(無時限化しました)とおいてからa*を固有ベクトルにかけて計算すれば特殊関数を用いるよりもはるかに簡単にエネルギーを求めることができます。この方法は非常に便利なのですが、量子論のほかの計算(たとえば井戸型ポテンシャルや粒子の散乱等)には用いることができません。どうして調和振動子だけこの方法が適用できてほかのケースには当てはまらないのでしょうか。その理論的背景にはどのようなものがあるのでしょうか。わかる方がいらしたら教えてくれませんか。

A 回答 (4件)

自由電磁場のハミルトニアンは調和振動子の無限個の集まりの形の書くことができます。

光子の生成消滅演算子とは調和振動子の生成消滅演算子に他なりません。ラマン散乱にかぎらず場の量子論すべての摂動論は生成消滅演算子で記述されますが、これは「調和振動子は生成消滅演算子で記述される」ということに他なりません。それでは調和振動子以外に代数的に解くことができるものはないのかと言えば、それはあります。代表は水素原子です(例えば、島和久「連続群論」岩波、p.237)。調和振動子と水素原子の共通点は何かといえば、dynamical symmetryがあることです。水素にはRunge-Lenzベクトルという保存量があり、これを使って代数的にエネルギー順位が求まります。ハミルトニアンと可換な保存量を十分に見つけることができればよいのです。
 K.Mariwalla;Phys. Rep.,20,(1975),287
なお(無限)井戸型ポテンシャルのエネルギー準位は超対称量子力学を使って代数的に求めることができます。
 F. Cooper et al.,Phys. Rep.,251,(1995),267
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この回答へのお礼

詳しい解説どうもありがとうございます。調和振動子に出てきた代数的な解法はやはり調和振動子だけの限定的な例外ではなく、水素原子や井戸型ポテンシャルにも存在するのですね。対称性が1つのポイントであるようです。これから勉強するのを楽しみにします。

お礼日時:2007/03/13 00:08

下の回答で


 島和久「連続群論」岩波、p.237
とあるのは
 島和久「連続群論とその表現」岩波、p.237
に訂正させていただきます。
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とても良い所に気が付いたと思います。

どういう場合にこのような生成消滅演算子で描像で書けるか考えてみてください。よい勉強になると思います。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。量子論は古典論と違って具体的なイメージがつかみにくいので難しいですね。しかしこのような調和振動子の簡単な例題でも、量子論の深いところとのつながりが見え隠れして面白いと感じます。

お礼日時:2007/03/13 00:14

>量子論のほかの計算(たとえば井戸型ポテンシャルや粒子の散乱等)には用いることができません。



アドバイスだけです。例えばラーマン散乱のケースでは生成消滅演算子が使われますが。。。詳細は参考URLを見てください。

http://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/~struct/basic/Ra …

参考URL:http://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/~struct/basic/Ra …
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この回答へのお礼

解説どうもありがとうございます。散乱でも消滅生成演算子を用いることがあるのですね。もうすこし勉強してみます。

お礼日時:2007/03/12 23:53

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