
No.7ベストアンサー
- 回答日時:
クルマの設計屋です。
先ず御指摘のFRPなるモノがナニモノか?とゆぅ点をハッキリさせましょう。
FRPとは、引張り強度が高い繊維と、マトリックスとなる硬質物質からなる物体を指します。繊維と硬質体、としますと、例えば竹と和紙を漆(天然樹脂)で固めた民芸品的な器などもリッパなFRPです。
しかしクルマに使われるのは、普通ガラス繊維をポリエステルかエポキシで固めたGFRP(いわゆるグラスファイバー)か、炭素繊維を同様の樹脂で固めたCFRP(いわゆるカーボンファイバー)で、両方を総称してFRP(=ファイバー・リーンフォースド・プラスチック=繊維強化樹脂)と呼んでいます。
さてこのFRP、ガラスか炭素かによって特性が違います。
>FRPは軽くて安価で丈夫なようなのでどうかと思ったのですが。
御指摘通りFRP類は軽くて丈夫ですが、炭素繊維のプリプレグ材を使ったCFRPは全く安価ではありません(プリプレグ材とは樹脂が予め含浸されているクロスで、硬化させる為にはオートクレイブ炉に入れて『圧をかけながら焼き上げる』行為が必要です。これは主に軍用の航空機、レーシングカーのモノコックシャシやカウル、ウイングなどに使われる手法で、レーシングカーでは炭素繊維にケブラとゆぅ防弾チョッキの繊維を織り込んで使いますが、基本的にはCFRPが使われる以前のジュラルミンのモノコックシャシに比べ5倍以上の捻り剛性が得られます。勿論、これがガラス繊維なら、これほどの剛性は得られませんが値段はグッと安く済みます。)
>シャーシもFRPにしようと思ったらFRPに今以上何が要求されますか?
FRPのフルモノコック構造のクルマは既にあります。市販車では‘50年代末に登場したロータス・エリートや、日本であればフジキャビン(ロータスより4年も早く登場しました)などがGFRPのフルモノコックで金属製のシャシを持っていませんでしたし、最近ではマクラーレンF1やフェラーリなどのスーパーカーがCFRPのフルモノコックを採用しています。勿論、レーシングカー(市販車を改造した、乗用車にケが生えた?モノでは無く、F1や耐久レースなどの専用車)では既に15年も前から、シャシのメインの部分はCFRPで出来ており、金属の板などは使っていません。
250km/hでガードレールに貼り付いてもドライバが手を振りながらクルマから降りて来られるのは、アルミよりも鋼(鉄)よりも遥かに丈夫なフルカーボンモノコックのおかげです。(そしてしかも、そのメインのモノコック部分は20kgf程度の重量しかありません。同じ剛性をアルミで作ろうとしたら・・・・考えたくありません・・・・)
これほど高性能なFRP類ですが、しかし現在の量産車ではあまり相手にされません。
1.FRPはガラスでもカーボンでも、熱硬化樹脂(熱をかけると軟化せず逆に硬くなる樹脂)で固めます(だからエンジンなどをそのままボルト止めしても、車体がトロける事はありません)。
ところが車体は入り組んだ形状や板厚がマチマチで、熱をかけて硬化させようとしても熱分布が均一化しません。つまり熱いところとナマぬるいところが出来てしまうワケで、これが完成後の『歪み』を生み出します。
GFRPボディの製造技術で数々の特許を持つロータス社でも、この歪みは如何ともし難い様で、工場の塗装行程の前には1台当り4人の作業員が取り付き、みがきまくってボディの歪みを修正しています。こんな事をしていては、現在の日本車の様な低価格でクルマを製造する事は不可能です。
フェアレディSP210はGFRPボディでしたが、このクルマでニッサンはGFRPの量産性のトライを実施していた、と言われています。当時の資料では、確か『150~200台/年辺りがカットラインで、それを超えるとGFRPの方が鋼板ボディより高価になる』とゆぅ様な結論だったと記憶しています。
2.ガラスでもカーボンでも、FRPとは繊維と樹脂が一体となって剛性を発揮する構造ですが、この繊維がクセモノです。
経年劣化により、導管作用で繊維が水分を吸い、内部で繊維と樹脂が剥離します。当然この剥離が進行すれば、車体の剛性はガタガタに落ちてしまいます。(古いロータスなどは、当時は非常に剛性が高くクラッシュしても安全なクルマでしたが、現在ではぶつかるとクシャクシャになってしまいます。)
つまりFRP類は初期の性能をあまり長い期間維持出来ないと言え、こんな点もどんな使われ方をするか判らない量産車には使い辛いところです。
3.FRP類は熱硬化樹脂なので、リサイクルが利きません。
CFRPであれば高熱をかければ全て燃えてしまいそぅですが、プラスチックである以上、有毒ガスの発生は避けられません。これがGFRPなら、例え燃やしても最後には必ずガラス成分が残ってしまいます。
現在では小さく破砕して埋め立てる以外に廃棄方法が無いでしょう。
ロータスのレストア屋など、よくユガミが来て交換したボディを工場の屋根に載せたり壁にブラ下げて飾っていますが、あれは棄てる時にはディスク・グラインダで細かく切り刻むとゆぅ難儀な処理(コーヒーに入れるクリーミングパウダーの様な細かいガラスクズが大量に発生します。吸い込んだらいかにもカラダに悪そう・・・・)をしないと産業廃棄物処理業者が引き取ってくれず、しょうがないので飾りに使っているのではないか?と思われます。
とゆぅワケで結論です。
★まず、硬化時の歪みを取る技術が無ければ、実際に安く作る事は不可能です。
★耐用年数を延ばす為に、水分に対してもっと強い合成樹脂を開発する必要があります。
★FRPのリサイクル技術の確立か、エンジンなどの高温に耐え、しかし例えば薬品などで溶け、手軽にリサイクル出来る材質を発明する必要があります。
ついでに・・・・長くなりましたが余談です。
古いクルマ(鉄板製の)では、しばしば錆によりフロアやボディが抜けてしまう事がありますが、この補修にFRPを使う事は、結構普通に行われています。穴の空いた部分のサビを落とし、目の細かい金網やボール紙で穴を覆って、ウラ(車内)とオモテ(車外)からガラスマットを積層します。硬化したあと、ソレッぽく削って塗装すればOKです。
勿論これは正しいレストア技術ではありませんが、樹脂が完全に塗り込めたならサビの進行を止められますし、なにより車体の剛性がUPします。
ちゃんと削って形を整え塗装しておけば、とりあえず古いクルマに関してはそれが原因で車検に落ちる事も無い様です。
とゆぅところでも一つ余談。
車体の補強に板増しとゆぅ手段がありますが、ガラスクロスの積層による補強とゆぅのも考えられます。
補強したい部位の塗装を剥がしドリルで小さい穴を開けまくり(樹脂のクイツキをよくする為)、ガラスマットを積層する方法です。
板増しと同等の効果が得られますし、なにより溶接機などなくても、幾らでもブ厚く補強出来ます。
内装をバラす手間と場所があれば、後はガラスマットと樹脂とハケを入手すればどなたでも出来る補強です。
No.5
- 回答日時:
確か米軍のハーベーが、そうじゃないですか。
それから東ドイツのトラビーもですね。車体すべてかどうかまではわかりませんが、紙の繊維を樹脂でモールドしたものです。欠点の一つに内部が破損しても外観ではわからないときがあること。それと、たたき出しができないことでしょう。
シャシーに使用する場合、強度に方向性ができることでしょうか。ねじれなどに対して複雑な振動モードが生じるような気がします。まあ繊維の組み方次第ですね。
No.4
- 回答日時:
*アルミまたは鉄を使っていると思うのですが
はい。
*これを全てFRPに変えてしまうことは可能ですか?
他の方も書かれているように可能です。
*全てFRPに変えてしまうデメリットはありますか?
FRPは1個だけ作るなら比較的安価ですが、大量生産には向かないでしょう。
また、シャーシに用いるとなると、強度の問題から思ったほど軽くできないようです。
少なくとも今以上に軽さが要求されます。
No.3
- 回答日時:
FRPのデメリットというと、やはり加工性が良くない、ということでしょうね。
鉄やアルミみたいに切削加工ができませんし、叩いて伸ばすこともできません。
強度的にも体積あたりの強度で言えば
(種類にもよりますが)鉄にはかないませんし。
スポーツカーやF1カーのようにコストパフォーマンスよりも
軽さ(速さ)を追求するものでない限り、ボディを総FRPにする、
ってことはないのでは?
>シャーシもFRPにしようと思ったら・・・
よっぽど耐熱性に優れたものにするか、
根本的に全く異なった低発熱のエンジンを開発する、とかしない限り
エンジンの熱で溶けちゃうでしょうねぇ・・・
>ボディはグラスファイバー+FRPでした。(by No.2の方)
何でしょうかね、これは・・・
FRPにさらにグラスファイバーを加える必要はないでしょうし。
グラスファイバーを使って作ったFRPってことなのかな。

No.2
- 回答日時:
ボディだけなら、グラスファイバー+FRPというものはありますが...
友人の持っていたロータスヨーロッパのボディはグラスファイバー+FRPでした。
通常の車をFRPに変えるとなると、車検が通るかどうか...
デメリットは、金属ボディに比べると燃えやすいってことですかね?
一度、ボディがメラメラと燃えているのに遭遇しましたし。
あと、あまり正確にできないらしく、雨漏りがしてました。
ぶつけた時は板金でなく、一度その部分を剥がして、グラスファイバーを
貼って、そのあとFRPで固めて塗装という作業が入るので結構大変そうでした。
シャーシはFRPだとちょっときついんじゃないですかね?
ある程度粘性も必要でしょうし、いきなりパッキリいっちゃうとマズイものですし、
たぶんそれをしちゃうと車検は通らないでしょう。ちょっと事故っただけで重傷
になりそうですし。
No.1
- 回答日時:
詳しくは判りませんが、おそらくFRP製にして強度を出そうと思うとかなりの分厚さが必要になるでしょう。
ボディだけなら日本でもオールFRPの車が20年以上前に存在していますよ。京都にある会社が作った「童夢-ゼロ」です。一般市販車として公道を走ることはなかったと思いますが、その技術は、現在JGTC-GT500レースで活かされています。
童夢-無限プロジェクトのNSXは、レギュレーションの関係で鉄フレームが入っていますが、ボディはカーボンファイバー製ですね。
もちろん、他のチームの車も、ほとんどがカーボンファイバーで作られています。
ついでに言えば、安価と言う意味では鉄にかなう物はありません。曲げ加工が容易でデザインも楽、材料はたくさん作られているため安価です。修理も簡単ですし、リサイクルも簡単ですね。
オールFRPにしようと思ったら、コストとリサイクルの問題をまず解決する必要があるでしょう。
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