最近、急にバイオエタノールが注目を集めています。そういえば、ふと思い出したのですが、メタンは有機廃棄物から比較的簡単に作れたはずです。そう思って調べると、
http://www.kobelco-eco.co.jp/seihin/recycle/e00_ …
みたいなシステムがちゃんとあるんですね。
で、質問なんですが、メタンは廃棄物処理という観点からも、一石二鳥なのに、どうして食物を原料とするバイオエタノールの方が注目されているのでしょう?
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
メタン発酵残渣の問題
家畜ふん尿の処理としてメタン発酵は密閉されているので悪臭が少なく、事故でもない限りメタンの漏洩はないし、エネルギー利用できて温暖化対策にもなるので、優れています。
北海道のように広い牧場で牛などに牧草を食べさせ、そのふん尿をメタン発酵した残渣を再び牧場に撒くのであれば、肥料成分が循環してよいのですが、多くの場合、飼料として、海外から輸入した穀物などを与えているので、牧場等に撒くと過剰になり、地下水を汚染するなどの問題を生じます。
また、消化液は水分が多く、体積と重量がかさんでしまうため、保存や輸送に経費がかかり、流通しにくいという問題があります。このため、他の畑などではあまり利用できません。 広い牧場など、撒く場所があっても、肥料を撒く時期は年に2~3回と限られるため、その間、保管するための巨大なタンクが必要になります。
また、撒くときには大きなタンクローリーのようなもので畑や牧場に乗り入れる必要がありますが、重量のある車を乗り入れると、土が固くなって作物の生育に悪影響があります。
政策的問題
ドイツなどヨーロッパではメタン発酵が盛んで、日本国内のメタン発酵プラントもヨーロッパのメーカーからの技術導入が多くなっています。 ヨーロッパでメタン発酵が盛んな理由のひとつにメタン発酵で発電した電力の買取価格を高くする政策があります。
日本では電力の買い取り価格が非常に安く、RPSを含めても受電価格よりもずっと低い値段になります。 また、日本の補助政策はプラントの建設費には厚く出るので、プラント価格はそれを見込んで安くならない傾向がある一方で、電力買取価格を含め、ランニングにはお金があまり出ません。 このため、プラントを維持して経済性を出すことが難しくなっています。
またまた詳細なお話、ありがとうございます。
「メタン・燃料電池」で検索すると、
http://www.kajima.co.jp/news/press/200108/3c1fo- …
というようなシステムも2001年に提案(販売?)されているんですよね。うーん、これなどを見ると、何故もっと騒がれないのか不思議です。
ytrewq さんの政策的な問題を読むと、結局、大企業が政府に圧力をかけないと動かないのか、という気がしてなりません。それとも私が知らない問題がまだあるんでしょうか?
No.4
- 回答日時:
温暖化対策として今、一番対策が急がれているのは自動車用燃料です。
太陽光や風力のように電力としてエネルギーを取り出す技術はたくさんありますが、自動車用のエネルギー源は限られます。バイオエタノールが注目されているのは、自動車用燃料として使えるからです。メタンは気体ですから、自動車燃料に使うときには自動車には燃料タンクではなく、ボンベを搭載する必要があり、エンジンの改良も必要となります。メタンを圧縮して流通させるシステムも新たに構築しなければなりません。
つまり、メタンも自動車用燃料として使えないことはありませんが、自動車側の改良とメタンの流通システムという社会資本の充実が必要になり、時間と多額の資金が必要となります。
一方、バイオエタノールはガソリンに少量(3%)添加する場合は、現在走っている自動車を改良なしに使うことができます。また、石油連盟が先月試験発売を開始したバイオガソリンはエタノールをETBEという物質に転換して添加する方式で、この場合は現在のガソリンの流通システムをそのまま使うことができ、流通インフラの整備が不要になります。
このように、バイオエタノールは現在の技術とエネルギーインフラをそのまま使うことができ、「今すぐ使える」温暖化対策という点で注目されています。
発酵メタンをアルコール(この場合はメタノール)に転換したり、そのほかの方法(例えばフィーシャー・トロプシュ法)で液体にすることはできますが、経済的に成り立つかという問題と、量的に確保できるかの問題があると思います。
ブラジルではエタノール、ガソリン、メタンのいずれも使える車が普及し始めていますが、これはブラジルが資源的に恵まれていることと、数十年の歴史をかけて流通インフラを整備していった結果です。日本でも将来、そうなるといいと思います。
ご回答ありがとうございます。
知りたかったのは、流行はともかく、エタノールにより食料が高騰するという本末転倒(?)の事態が生じているのなら、別な手段ももっと検討すべきではないか、という事です。
化石燃料に代替としてバイオ系の燃料が必要というのが、これからの時代の流れであろうとするならば、もっと長期的な観点から、さまざまな手段が検討されるべきではないか、その中で、メタンはその原料が廃棄物で良いという利点がありながら、なぜもっと注目されないのか。もちろん、バイオエタノールであろうとメタンであろうと、問題はいろいろとあるでしょう。そういう意味で、単に問題の有無だけではなく、定性的、定量的な理由が知りたかった訳です。
とはいえ、いろんな回答をお寄せいただいた回答者の皆様には感謝いたします。ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
エネルギー利用に関して、アルコールは主にガソリン代替の自動車用燃料、メタンは定置用の発電や熱利用につかわれます。
また、原料もアルコール発酵は栽培された作物を利用するのに対して、メタン発酵は主に廃棄物の利用です。他の方法ではエネルギー利用が難しい、家畜糞尿も原料にできます。 このようにメタン発酵とアルコール発酵では目的・用途が違うので、どちらが良いということは無いと思います。メタン発酵は以前から注目されているのに、普及しない最大の問題は残渣として残る消化液の処理です。肥料として有用ですが、それを利用する場所が限られるため、実際には使われず、廃水処理せざるを得ないことが多くなります。 廃水処理は設備、ランニングに費用がかかり、結果としてメタン発酵の経済性を悪くします。
バイオエタノールが今注目されているのは自動車用燃料としてガソリン消費削減ができ、すぐに二酸化炭素排出量削減の効果が出ると考えられているためだと思います。
燃料電池自動車や電気自動車は二酸化炭素排出削減の切り札ですが、いまだに技術開発の途上だし、普及にはインフラの整備も必要で、実際に二酸化炭素排出量削減効果がいつから出るのか目処が立っていません。
もし可能であれば「普及しない最大の問題は残渣として残る消化液の処理です」という辺りをもう少し教えていただけますか?一般論ですが、何かしようとすれば、いい面も悪い面もあります。例えば、バイオエタノールでは食料の高騰といった問題が顕在化しています。でも、何故か今は皆バイオエタノールですよね?
言いたいのは、問題の有無ではなく、ビジネス的な障壁なのではないのか、そう考えるともう少し定量的(否、定金銭的?)な議論が必要ですよね?
すいません、問題があるということが分かっただけで収穫です。ありがとうございました。
P.S.
Wikipedia でみると(私は化学は全くの門外漢です)、メタンはアルコール類に近いので簡単に変換できそうな印象を受けました。発酵メタン->アルコールでガソリン代替、という方法はあり得ないのでしょうか?
またLNGの主成分もメタンであるということは、都市ガス等にもメタンは応用できるんですよね?つまりメタンの使い道はすでにあるのだから、メタン発酵ってもっと注目されてもいいのではないのでしょうか?それとも私が知らないだけ?
No.1
- 回答日時:
エタノールは常温で液体、メタンは気体→貯蔵性・運搬性はエタノールのほうが上。
さらに、ガソリンなど、他の液体燃料に混和するのも簡単。メタンは強力な温暖化ガス(同量の二酸化炭素の20倍の効果)→大量生産するのはよいが、漏洩が問題になる。また、液体燃料の消費が多い既存社会には受け入れられにくい。
すぐに思いつくのはこのくらいですかね
早速の回答ありがとうございます。
質問してから思い出したのですが、海底にあるメタンハイドレートをエネルギーとして使おう、という話もあったと思います。わざわざ海底から持ってくるのだったら、ゴミをメタンに変えた方がいいのではないのでしょうか?
メタンの温暖化効果に関しては、生ゴミの廃棄で腐って放出されているメタンがエネルギーとして燃やされることで、総体として大気に放出される量が減るなんてことはないのでしょうか?
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