第3級カルボカチオンの反応なのですが、分からなくなってしまいました。
マクマリー有機化学第6版によれば、
(1)t-BuOH → t-BuBr の説明
・臭化アルキルの自発的な解離が起こり、カルボカチオン中間体とBr-を生じる
・カルボカチオン中間体は求核試薬の水と反応し、プロトン化したアルコールを与える
・プロトンが取れて中性のアルコール生成物を与える
(ここでは別の水分子がプロトンを引き抜いています)
(2)t-BuBr → t-BuOH の説明
・-OH基がHBrによりプロトン化される
・プロトン化されたアルコールの(+OH2の)自発的な解離が起こり、
カルボカチオン中間体と水が生じる
・カルボカチオン中間体がBr-と反応して、中性の置換生成物を与える
とあります。
実際は(1)も(2)も平衡反応で、矢印は両方向に書かれてあります。
ここで質問です。どういう条件のときに、どちら側に反応が進むのでしょうか?
別の教科書では、3級アルコールにHBrを加えると速やかに反応して、OHとBrが置換する
……とも書かれてありましたが、今ひとつしっくりきません。
お時間があれば解説をお願い致します。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
平衡反応ですから、要は、H2OとHBrのどちらが多いかということが重要になります。
一般論として、アルコールにしたい場合には、単純に水を多くすれば良いことになります。
t-BuBrを多くしたい場合には、-OHを活性化するために酸性条件であることが前提となります。それに加えて、Br-の濃度が高い方が良いことになります、その一方で、H2Oは少ない方が良いので、現実には、HBr水溶液を用いるよりも、無水のHBrガスを用いた方が望ましいことになります。
HBrの水溶液を用いれば、その濃度に応じた平衡状態になるということでしょう。具体的にどうなるかということまではわかりませんが。
なお、それらの反応に加えて、E1脱離も起こりますので、場合によってはそれを考慮する必要もあるでしょう。
実際の演習問題等では、出題者の意図を汲んで考えるのが現実的かもしれません。
>出題者の意図を汲んで考えるのが現実的かもしれません。
結局、そうですよね。(^^;
HBrガスという点は気づきませんでした。
確かに、無水であればt-BuBrがより優先されそうですね。
もう少し演習問題をこなして、何となく存在する傾向をつかみたいと思います。
回答ありがとうございました。
No.2
- 回答日時:
No1ですが間違えましたので訂正:
>弱酸中(今の場合H2O)で反応が進行する。
弱いLewis塩基、中性分子、加溶媒分解では溶媒(今の場合はH2O)で反応が進行する。
なるほどです。
「よい脱離基か悪い脱離基を考える」という観点から考えると、
強酸条件化では、アルコールの-OHが-OH2^+となる方が-BrがBr^-となるよりも優先され、
水が多く弱酸である場合は、Br^-がよい脱離基として影響力を持つ、
ということなのですね。
落ち着くところに落ち着いた気分です。回答ありがとうございました。^^
No.1
- 回答日時:
この問題を考えるには:
1:SN1反応はカルボカチオンの生成段階が「律速段階」である。
2:脱離基Br^-とOH^-の性質を比較する。
すなわち:
強塩基性イオン(OH^-)はほとんど脱離基とは成らないので、強酸を加えて(今の場合は、HBr) -O^+H2にして脱離基を水分子に変えることにより進行する。
一方、脱離基がBr^-の場合は、Br^-は非常に良い脱離基(すなわち、強酸の共役塩基であるから)で有るので、弱酸中(今の場合H2O)で反応が進行する。
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