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肥育農家の方が,黒毛和種,F1,乳用種など,肥育期間の異なるいろいろな種を肥育する理由を教えて頂きたいです。一番利益率が高い種類だけを飼わないんでしょうか?

A 回答 (2件)

 それは「一戸の農家が」という意味なのでしょうか。


 それならば、一戸の農家で混在して飼っている例はそれほど多くないです。F1と黒毛和種を混在して飼っている農家はいますが、ホルスタインとF1あるいは黒毛和種を両方飼っている農家はかなり少ないです。
 ご質問にもあるとおり、肥育期間も違えば導入月齢も違いますので、飼いにくいですからね。

 ご質問の意味が、「いろいろな種の肥育牛を飼う農家がいる」という意味ならば、根本的には「いろいろな種の肥育素牛が供給されるから」です。
 ホルの搾乳牛をホルの精液で受胎させれば、生まれてくるホルスタインの半数はオスで、これは肥育する以外に用途がありません。
 ホルスタインのオスはとても安く取引されるので、酪農家が牛乳代以外で収入を得ようとホルを黒毛和種の精液で受胎させるとF1が産まれます。これはホル♂よりは高値で取引されるので、いくらか収入増が期待できます。もちろん受精卵移植をしてホルスタインに黒毛和種を産ませる手もあります。

 というわけで、「供給」があるので受け皿ができるのは必然、というわけです。

 利益率ですが、どれが一番良いのかは一概には言えません。
 ホルスタインの肥育が売値は最も安いですが、素牛の値段も安いですし肥育期間も短いので牛舎の回転率も高くなります。
 黒毛和種は売値は最も高いですが、素牛代も高いです。また肥育期間も長くかかるので牛舎の回転率も落ちます。
 その中間がF1で、素牛代が比較的安い割に売値もけっこう高いのでかなり儲けている農家も見受けられます。
 ですがそれにはかなり高度な肥育技術が必要なので、F1肥育農家が誰でも大儲けしているわけではありません。

 その利益率は、概ね素牛代、餌代、枝肉価格によって決まるのですが、それらは常に変動しているので何が一番良いかは常に決まっているわけでもありません。
 例えば今、黒毛和種の枝肉価格が非常に高いので一儲けしようと黒毛和種の素牛を大量に導入したら(当然枝肉価格が高いときは連動して素牛価格も上がる)、それらの牛が肥育されて出荷される頃には枝肉価格が下落して大損、と言うことになりかねません。というかけっこう高い確率でそうなります。大勢の人が同じことを考えれば、黒毛和種が供給過多になりますからね。

 また、乳用牛のホルスタインにF1や黒毛和種の肉用牛を産ませると言うことは、「ホルスタインにホルスタインを産ませる数が減る」ということです。これは肥育牛の話ではなく、乳用牛の後継牛が不足することを意味します。
 つまりそうなればホルスタイン♀の価格が上がるわけです。すると酪農家は乳用牛の更新にかかる経費が増大するので経営的に辛くなり、後継牛を確保するためホルスタインにF1や黒毛和種ではなくホルスタインを産ませようとします。

 ・・・そんなこんなで素牛の需給バランスは常に揺り戻しながら変動し、それは枝肉の価格にも影響するわけです。

 つまり早い話、どの種の肥育牛を飼っている農家であっても、同じように良い時と悪い時が来るわけです。良い時により儲け、悪い時に少しでもダメージを減らすのは肥育技術だったり経営センスだったりするわけですが。

 そういうわけで肥育牛は決して1種類にはならないのでした。
 そもそも例えば世の中に牛と言えば黒毛和種の肉しかない、という状況になったら消費者だって困るでしょうけど。

この回答への補足

ご回答ありがとうございます!大変貴重なご意見、参考にさせて頂きます。おっしゃる通り、私の意図は、「一戸の肥育農家が、和牛、乳牛、F1等、多種の牛を肥育する場合、その理由は?」という意味です。わかりにくくてすみませんでした。

補足日時:2007/08/26 00:28
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 Jagar39です。

回答遅くなりました。

 「一戸の農家が」ですね。
 No.1にも書いたとおり、一戸の農家が複数種の肥育牛を飼育している例はあまり多くないです。
 まあ飼う農家はNo.1にも書いたような、各品種の相場変動による経営リスクを減らそうと言う意図があるのでしょうが、思い通りに働いている例はさらに少ないように思えます。

 それぞれの品種をきちんと飼うことができれば、確かに経営的リスクは減るはずだとは思いますが、同一農場で複数種をきちんと飼うことは非常に難しいです。
 完全に牛舎を分けて管理することができれば両立も可能なのかもしれませんが、よほど大きな規模の農家でないとそれも不可能ですし。
 そもそもそれだけの規模があれば単一種の肥育に集中した方がスケールメリットも出やすく、経営的には圧倒的に有利だと思います。

 ただ、和牛とF1は両立している農家はけっこういます。
 和牛の品種改良の成果か、最近のF1は和牛並みの枝肉成績が出ることは普通になってきましたし、ということは"飼い方"も和牛と同じになってきているということでもあります。
 だとすれば、和牛とF1の相違点は導入月齢や導入価格、肥育期間などの比較的僅かな違いしかないことになるので、並行して飼育することが経営リスクの低減に十分なり得ます。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございました。前回と合わせて、大変貴重なご意見ありがとうございました。勉強になりました。

お礼日時:2007/08/30 11:40

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