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化学工学(応用化学)専門の博士後期三年です。どうぞよろしくお願いします。

博士論文を書く上で、ホウ酸イットリウムを母体とする3価ユーロピウムが、
1.電気双極子遷移を経て赤色(610nm, 624nm)に、磁気双極子遷移を経て橙色(594nm)にそれぞれ蛍光すること、2.それらの遷移確率は結晶場によること、の2点を書籍(下部a参照)により突き止めました。

しかし、それらの著書では、簡潔に「電子双極子によるf- f遷移はパリティ禁制遷移であるため,
磁気双極子遷移や電気4重極遷移による(中略)遷移のみが許容になる.」云々とあるのみで、詳しい説明がなく、パリティ禁制遷移などについて調べても、この時はこういうものである、と言わんばかりの説明があるのみで、さっぱりでした。

私の解釈を以下に示します。
--------
磁気双極子:軸ベクトルであるため、パリティは偶。つまり、偶関数。
電気双極子:極ベクトルであるため、パリティは奇。つまり、奇関数。
(各双極子がそれぞれのベクトルであるところの理解は(おそらく)完了しています。)

f-f遷移はf軌道内でのみ遷移がおこるため遷移の前後でパリティが変化しない(偶パリティ)(?)であるため、空間反転対称を持つ(偶パリティの)結晶場では、パリティが偶の磁気双極子を用いた遷移でなければ全体が偶とならない。
一方、空間反転対称性を持たない(奇パリティの)結晶場では、パリティが奇の電気双極子を用いた遷移でなければ全体が偶とならない。

全体が偶にならなければ、空間全体を考える(関数でいえば全積分?)上でその関数はゼロになってしまうため、その状態ではその遷移を取りえない。よって、上記のような遷移の結晶場選択性が生まれる。
--------

(?)をつけた部分は、私の理解が特にあやふやであるところです。
また、反応の前後でパリティ変化があったとしても、
結晶場の空間反転対称性は反応の前後で変化しないため、影響がないのでは?とも思います。

私の解釈の不足点や誤解点をご指摘いただけたらと思います。
その際、なるべくシュレーディンガー方程式を使用しない方向でお願いしたく思います(私の専門分野が応用化学であり、教授陣もその方面に明るくないため)。
難しい注文と容易に想像でき、非常に申し訳ないのですが、皆さんのお知恵をお借りしたく存じます。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

a.)R.S.Becker 著 『蛍光とりん光』 株式会社東京化学同人 1971年
 小林洋志 著 『現代人の物理7 発光の物理』 株式会社朝倉書店 2000年
 徳丸克己 編 『立化学ライブラリー10 蛍光現象』 共立出版株式会社 1975年

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A 回答 (4件)

結晶場とは、注目するイオンに属する電子に対して、周囲に配位するイオンが及ぼす静電場のことです。


ここでは、Eu3+に属するf電子が、注目する電子ということになります。

(1)まず、配位子の存在を無視した場合を考えます。
f電子に働く場としては中心のEuイオンからの静電場だけですので、反転対称性のある場』ということになります。
したがって、f電子の状態は完全な奇のパリティを持つことになります。
よって、f電子間の光学遷移を考えるならば、電気双極子遷移はパリティが奇だから禁制、磁気双極子遷移や電気4重極子遷移はパリティが隅だから許容、となります。

(2)次に、配位子の存在を考え、さらに反転対称性を持つ場合を考えます。
このとき、Euイオンからの場に付加的な結晶場が加わりますが、どちらも反転対称性を持っているためf電子の状態は相変わらず完全な奇のパリティを持ちます。
よって遷移の禁制・許容は(1)の場合と同じになります。

(3)最後に、反転対称性を持たない配位子の存在を考えます。
このとき、結晶場は奇のパリティを持っているため、f電子に働く場には反転対称性を持たない成分が付け加わります。
この成分により、f電子の状態は(1)や(2)で考えていた完全な奇のパリティを持った状態ではなくなり、偶のパリティの状態も混じりこみます。
(Ψf=Φ(odd)+Φ(even)のようになる)
よって、電気双極子遷移の場合でも、
【混じり込んだ偶成分(偶)】【電気双極子(奇)】【元々の奇成分(奇)】
のように、遷移が許容になります。

ここらへんの事情は、裳華房の『配位子場理論とその応用』に書いてあります。
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この回答へのお礼

わかりやすい説明をありがとうございます。
特に(3)の部分は、これだけでもだいぶ感じがつかめたと思います。
詳細は裳華房の『配位子場理論とその応用』を図書館で借りてくることにします。

ひとつだけ質問なのですが、
>電気双極子遷移はパリティが奇だから禁制
こちらは、電気双極子が奇パリティを有するため、ということで宜しいでしょうか?

お礼日時:2007/11/16 12:25

No.3です。

お役に立てたようで何よりです。

>電気双極子が奇パリティを有するため、ということで宜しいでしょうか
はい、電気双極子が奇パリティを有するためです。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。
あとはご提示くださった本を熟読してみます。

お礼日時:2007/11/16 13:35

すいません、投稿してから気付きましたが、化学ではブラケットはあまり見かけないかもしれませんね。

一応、波動関数を用いて書き直しておきます。ついでに、違う切り口で説明しなおします。(こっちの方が分かりやすいかもしれません)

フェルミの黄金律より、電気双極子による状態ψ_iから状態ψ_fへの遷移確率は|∫ψ_f^*(x) μ_z ψ_i(x) dV|^2に比例します。(*は複素共役の意味で使っています)

ψ_i,ψ_fのパリティが偶だとすると、ψ_i(-x)=ψ_i(x)などとなります。
遷移確率を考えるにはI=∫ψ_f^*(x) μcosθ ψ_i(x) dVを考えればいい事になるのですが、x'=-xで変数変換すると、
I=∫ψ_f^*(-x') μcos(π-θ') ψ_i(-x') dV'=-∫ψ_f^*(x') μcosθ' ψ_i(x') dV'=-I
となります。故に、I=0、すなわち、電気双極子による偶パリティから偶パリティへの遷移は禁止されるという事になります。
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結晶場(=配位子場?)理論に関する知識は全くありませんので、他の方にお任せしようと思っていたのですが、回答がないようなので。



話としては、フェルミの黄金律(Fermi's Golden rule)と群論的な知識があれば理解できそうな感じですね。

詳しい話はしない方向という事なので結論だけ書くと、フェルミの黄金律から、電気双極子による遷移の遷移確率は、|<f|E・μ|i>|^2に比例する事が分かります。E:電場,μ:電気双極子です。特に,Eがz軸方向を向いているとすると,|<f|μ_z|i>|^2に比例する事になります。

どのくらいの確率で遷移するかという事を知りたかったら比例定数も含めて計算する必要がありますが、遷移するかしないかだけであれば、<f|μ|i>がゼロかどうかを調べるだけで分かります。

<f|μ|i>がゼロかどうかが真面目に積分を計算しないと分からないのであればどうしようもないのですが、奇関数の積分が0になるのが積分を直接計算せずに分かるように対称性(今の場合パリティ)を考慮する事で、<f|μ|i>がゼロかどうかがだいたい分かります。

μは空間反転によって,μ→μ'=-μと変換します。
|i>→|i'>=|i>,|f>→|f'>=-|f>のように変換する場合を考えます。(つまり,状態|i>,|f>が偶のパリティを持つとします)
すると,空間反転でμの行列要素は、<f|μ|i>→<f'|μ'|i'>=-<f|μ|i>のように変換する事になります。

系(特にポテンシャル)が空間反転に関して不変な場合を考えているはずですから、この系を鏡から見ても(空間反転してみても)同じ世界になっていなければいけません:<f|μ|i>=<f'|μ'|i'>

この2つを同時に満たすのは,<f|μ|i>=0しかありえないので、今の場合,電気双極子による遷移が禁止される事になります。
※上に書いた遷移確率は最低次の項をとったものなのですが、実際にはより高次の補正項もあります。電気双極子による遷移が禁止されている場合には,高次の項(四重極遷移など)がきいてくる事になります。

>f-f遷移はf軌道内でのみ遷移がおこるため遷移の前後でパリティが変化しない(偶パリティ)(?)であるため、
f-f遷移の部分で結晶場特有の話があったりしたら眉唾になりますが、普通の原子軌道の場合と同じと思いますと、一般に方位量子数lの原子軌道のパリティは(-1)^lとなっています。
f軌道はl=3だったと思いますので,f軌道のパリティは奇です。f-f遷移はパリティが奇から奇への遷移となっていて,上と同じ議論から電気双極子による遷移が禁止される事になりますね.
※念のため。パリティが偶か奇かというのは、空間反転した時に負符号がつかない(偶)か、つく(奇)かという事で、遷移の話とは関係ありません。

>一方、空間反転対称性を持たない(奇パリティの)結晶場では、パリティが奇の電気双極子を用いた遷移でなければ全体が偶とならない。
結晶場って、電子の状態の事と思っていいんですかね?
であれば、ある遷移が起こるかどうか、始状態(遷移前の状態)と、終状態(遷移後の状態)で決まる事で、始状態のパリティが奇だから遷移しないとかそういう話にはなりません。


>全体が偶にならなければ、空間全体を考える(関数でいえば全積分?)上でその関数はゼロになってしまうため、
関数がゼロになるのではなく、というより内積(積分.より正確にはμの行列要素)がゼロになるためです。
行列要素がゼロになる事がパリティを考えれば分かるんですね。

>また、反応の前後でパリティ変化があったとしても、
>結晶場の空間反転対称性は反応の前後で変化しないため、影響がないのでは?とも思います。
何に影響がないと思うのでしょうか?
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この回答へのお礼

迅速かつ丁寧なご回答をありがとうございます。
色々間違いを犯している(遷移にパリティは関係ないなど)ことや、勉強すべき用語を知ることが出来、非常に助かりました。
ある程度理解してから・・・と思い、返信が遅れましたことをお詫びします。

いくつかわからない点がありますので、追加質問させてください。
> <f|E・μ|i> 
1.確認ですが、『遷移前状態から,遷移後状態に粒子(ここでは電気双極子)が変化するときの確率の振幅』ということで宜しいでしょうか?

>遷移するかしないかだけであれば、<f|μ|i>がゼロかどうかを調べるだけで分かります。
2.ブラケットの定義的に『粒子が変化するとき』とあるので、電場Eについては考慮しなくて良いということでしょうか?
電場は電荷が存在することによって引き起こされる電位の勾配ですし、空間反転によって変化してしまうのではないか(奇パリティ)と思うのですが・・・。

>|i>→|i'>=|i>,|f>→|f'>=-|f>のように変換する場合を考えます。(つまり,状態|i>,|f>が偶のパリティを持つとします)
3.最初の状態を空間反転しても変化なし、最後の状態を空間反転すると符号が変わるという意味かと思いますが、括弧の中がわかりません。
最初の状態も最後の状態も偶のパリティを持つなら、『|f>→|f'>=|f>』ではないのでしょうか?

>系(特にポテンシャル)が空間反転に関して不変な場合を考えているはずですから・・・
4.『>結晶場って、電子の状態の事と思っていいんですかね?』とありますが、
結晶場の影響は、遷移する原子が構成する双極子と、その他の周りを取り囲む原子の持つ電荷の相互作用による影響だと理解しています。
なので、双極子を囲む原子に与える相互作用が空間反転に対して変化しない状態ならば、eatern27さんの仰る状況にあるのかな・・・と思いますが、いかがでしょうか?
逆に考えて、双極子を囲む原子に与える相互作用が空間反転に対して変化する状態では、系は空間反転に対して可変となるのかな、とも思います。
(ポテンシャルに対する知識が乏しいので、甚だ怪しいのですが。)

>何に影響がないと思うのでしょうか?
反応の前後で、双極子の周りの相互作用自体は変わらないので、乗算する必要がないのではないかという意味でしたが、前提が違っていたので無視ください。失礼いたしました。

お礼日時:2007/11/15 20:07

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波長が nm 単位なら E = hc×10^9/eλ です。
あとは、
 h = 6.626*10^-34[J・s]
 e = 1.602*10^-19[C]
 c = 2.998*10^8[m/s]
などの値より、
 E≒1240/λ[eV]
となります。

>例えば540nmでは2.33eVになると論文には書いてあるのですが
>合っているのでしょうか?
λに 540[nm] を代入すると
 E = 1240/540 = 2.30[eV]
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基底状態にある原子の、全軌道方位量子数(L)、全方位量子数(J)、全スピン方位量子数(S)は、電子配置の表とフントの規則を使って求めます。

(1) 教科書などに載っている電子配置の表から、原子の電子配置を知る。

カリウム原子から亜鉛原子までの電子配置は以下のとおりです。

K :[Ar] (3d)0 (4s)1
Ca:[Ar] (3d)0 (4s)2
Sc:[Ar] (3d)1 (4s)2
Ti:[Ar] (3d)2 (4s)2
V :[Ar] (3d)3 (4s)2
Cr:[Ar] (3d)5 (4s)1
Mn:[Ar] (3d)5 (4s)2
Fe:[Ar] (3d)6 (4s)2
Co:[Ar] (3d)7 (4s)2
Ni:[Ar] (3d)8 (4s)2
Cu:[Ar] (3d)10 (4s)1
Zn:[Ar] (3d)10 (4s)2

この表で、[Ar]はアルゴン原子の電子配置で
Ar:(1s)2 (2s)2 (2p)6 (3s)2 (3p)6
です。

この表から鉄原子の基底状態の電子配置が
Fe:(1s)2 (2s)2 (2p)6 (3s)2 (3p)6 (3d)6 (4s)2
であることがわかります。

(2) 不完全に満たされた副殻に注目する。

(1s),(2s),(3s),(4s)にはそれぞれ、2個まで電子を入れることができます。
(2p),(3p),(4p)にはそれぞれ、6個まで電子を入れることができます。
(3d),(4d)にはそれぞれ、10個まで電子を入れることができます。

鉄原子の基底状態の電子配置では、10個まで電子が入る(3d)に6個しか電子が入っていませんので、(3d)が不完全に満たされた副殻になります。他の電子が入った副殻は、完全に満たされていますから、鉄原子の基底状態では、不完全に満たされた副殻は(3d)だけです(クロムの場合は、(3d)と(4s)の二つが不完全に満たされた副殻になります)。

(3) フントの規則に従って、不完全に満たされた副殻に電子を入れる。

フントの規則1:α軌道から電子を入れて、α軌道が満たされた後に、β軌道に電子を入れる。
フントの規則2:磁気量子数mzが大きい軌道から順に電子を入れる。

s殻の場合   mz,spin
 1番目の電子: 0 α
 2番目の電子: 0 β

p殻の場合   mz,spin
 1番目の電子:+1 α
 2番目の電子: 0 α
 3番目の電子:-1 α
 4番目の電子:+1 β
 5番目の電子: 0 β
 6番目の電子:-1 β

d殻の場合   mz,spin
 1番目の電子:+2 α
 2番目の電子:+1 α
 3番目の電子: 0 α
 4番目の電子:-1 α
 5番目の電子:-2 α
 6番目の電子:+2 β
 7番目の電子:+1 β
 8番目の電子: 0 β
 9番目の電子:-1 β
 10番目の電子:-2 β

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鉄原子の場合  mz,spin
 1番目の電子:+2 α
 2番目の電子:+1 α
 3番目の電子: 0 α
 4番目の電子:-1 α
 5番目の電子:-2 α
 6番目の電子:+2 β

のように電子が入っています。

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Lはmzの総和から求めます。

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の関係式から求めます。

鉄原子の基底状態では、
S=(5-1)÷2=2
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(4) フントの規則を使ってJを求める。

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鉄原子の基底状態では、3dのβ軌道に電子が入っていますから、
J=2+2=4
になります。

(5) スペクトル項を求める。

スペクトル項は、一般に

(2S+1) (Lを表す記号) J

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L=0,1,2,3,4,5,...に対して
 S,P,D,F,G,H,...が対応します。
(2S+1)はLを表す記号の左上に、JはLを表す記号の右下に書きます。

鉄原子の基底状態のスペクトル項は
2S+1=2×2+1=5、
Lを表す記号はD、
J=4ですから

5D4

になります。
----------
カリウム原子から亜鉛原子までの基底状態のスペクトル項は、以下の通りです(間違っているかも知れません。検算していただけると幸いです)。
K :2S1/2
Ca:1S0
Sc:2D3/2
Ti:3F2
V :4F3/2
Cr:7S3
Mn:6S5/2
Fe:5D4
Co:4F9/2
Ni:3F4
Cu:2S1/2
Zn:1S0

基底状態にある原子の、全軌道方位量子数(L)、全方位量子数(J)、全スピン方位量子数(S)は、電子配置の表とフントの規則を使って求めます。

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カリウム原子から亜鉛原子までの電子配置は以下のとおりです。

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Ni:[Ar] (3d)8 (4s)2
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例えば、水素原子二つから水素分子ができる場合、それぞれの電子軌道を
下図のように描いたと思います;


↑      ─σ*    ←軌道の重なりで生じた反結合性軌道
|    /   \  
|1s─       ─1s ←軌道が重なる前のエネルギー準位
|    \   /
|      ─σ     ←軌道の重なりで生じた結合性軌道

|  Ha      Hb
 (Ha、Hbはそれぞれ水素原子)


π電子共役系でもこれと同様に考えると、感覚的に理解できるかもしれません。
まず、その共役系の4つの原子の、π結合にあずかる4つのp軌道について、
それぞれ2個同士で軌道の重なりを考えます;


↑        ─ πab*           ─ πcd*
|      /   \           /   \  
|     /      \        /      \  
┼ 2p─          ─2p 2p─          ─2p
|     \      /        \      /
|      \   /           \   /
|         ─ πab           ─ πcd

   Ca         Cb    Cc         Cd
 (Ca~Cdはそれぞれ炭素原子、πab・πab*はそれぞれCa・Cbのp軌道の
  重なりで生じた結合性軌道・反結合性軌道。πcd・πcd*も同様)

次に、このπab・πab*とπcd・πcd*との間の軌道の重なりを考えます。
このとき、先程のp軌道同士の場合に比べると、軌道の重なりは小さいため、
エネルギー準位の分裂幅も小さくなります(因みに、重なり0→分裂幅0);

                 _π4
E            /       \
↑  πab* ─                ─ πcd*
|           \       /
|                ̄π3

|               _π2
|           /       \
|   πab ─               ─ πcd
|           \       /
                  ̄π1
   Ca         Cb    Cc         Cd

 (元のp軌道は省略、そのエネルギー準位は左端の『┼』で表示)


この結果、Ca~Cdの炭素上にπ1~π4の4つの軌道ができます。
元のp軌道よりエネルギー準位の低いπ1・π2が結合性軌道(π2がHOMO)、
高いπ3・π4が反結合性軌道(π3がLUMO)になります。
(軌道が重なると、「重なる前より安定な軌道」と「重なる前より不安定な軌道」が
 生じますが、このように、必ずしもそれが「結合性軌道と反結合性軌道となる」
 とは限りません;その前に大きな安定化を受けていれば、多少不安定化しても
 結合性軌道のまま、と)

このように考えれば、それぞれのHOMOとLUMOのエネルギー差は、CaとCbの2つの
π電子系で生じた時に比べ、Ca~Cdの4つのπ電子系の方が小さくなることが
理解していただけるのではないかと思います。


<余談>
このようにして共役系が延長していくと、軌道の重なりによる安定化幅はさらに小さく
なっていくため、「軌道」というよりは「電子帯(バンド)」というべきものになります。
また、HOMO-LUMO間のエネルギー差も縮小し、常温で励起が起こるようになります。
これによって、芳香族ポリマーや黒鉛などは電導性が生じているわけです。

例えば、水素原子二つから水素分子ができる場合、それぞれの電子軌道を
下図のように描いたと思います;


↑      ─σ*    ←軌道の重なりで生じた反結合性軌道
|    /   \  
|1s─       ─1s ←軌道が重なる前のエネルギー準位
|    \   /
|      ─σ     ←軌道の重なりで生じた結合性軌道

|  Ha      Hb
 (Ha、Hbはそれぞれ水素原子)


π電子共役系でもこれと同様に考えると、感覚的に理解できるかもしれません。
まず、その共役系...続きを読む

Q蛍光スペクトル

蛍光スペクトルと励起スペクトルについて教えてください

励起光の波長を変化させて蛍光の波長を固定して測定したものが励起スペクトルで、励起光を固定して蛍光の波長を測定したものが蛍光スペクトルだというのはわかるのですが、2つがどういうものかということがよくわかりません。

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あまり難しい言葉や数式は使わずわかりやすく回答してもらえれば幸いです。

Aベストアンサー

#1さんの説明の通りですが、いくらか、図などがあった方がわかりやすいかもしれませんので、参考URLにgoogleで出て来たページを紹介します。ページ中程にあるJablonski Diagramの左側が蛍光について示した物です。以下、おそらく溶液の蛍光についての質問であると予想して、述べます。

さて、蛍光の過程について述べますと、蛍光とは図にある青の矢印に対応する励起光を分子が吸収します。その後、図では黒色の矢印で示された光を発しない緩和過程(溶媒などに熱エネルギー等の形でエネルギーを渡し、エネルギーの低い状態へ移動する)を経て励起状態振動基底状態へ移動します。そして、図では緑の矢印で示されている蛍光が発光します。

質問者様のおっしゃる励起スペクトルはこの青色の矢印の波長を変えながら緑色の矢印すべてひっくるめた蛍光全体の強度を測ります。このとき、電子励起状態の振動基底状態や振動励起状態(図では太い横線が各電子状態の振動基底状態を示し、その上の細い横線がその電子状態の振動励起状態を示しています。)へ励起されますので、励起光の波長は電子励起状態の各振動状態のエネルギーに対応したものとなります。溶液などでは、振動励起状態へ励起してもすぐにその電子状態の振動基底状態へ緩和されますので、緑の矢印全体の強度というのは、励起された分子の数に比例します。つまり、励起スペクトルは分子の吸収スペクトルに比例したようなスペクトルが得られるわけです。(もちろん、いろいろ例外はありますが)

さて一方、質問者様のおっしゃる蛍光スペクトルは緑色の矢印をさらに分光器などで分散させて矢印一本一本を別々の波長として観測するスペクトルです。つまり、波長は電子励起状態の振動基底状態から電子基底状態の振動励起状態のエネルギーに対応したものとなります。

蛍光スペクトルにおいて、励起光の波長がわからないと言うことですが、溶液などでは励起分子はすぐに電子励起振動基底状態へ緩和しますので、励起光の波長を変えて励起する分子の振動状態を変えても、蛍光スペクトルはすべて電子励起振動基底状態からのもので、波長とその強度比は変わりません(励起スペクトルのように全体の強度はかわりますが)。このような場合、励起光の波長を書かないことが多いです。

図でもわかるように、励起光の波長と蛍光発光の波長はは電子励起振動基底状態のエネルギーをはさんで、励起光は電子励起状態の振動エネルギーだけ高いエネルギー(短い波長)になり蛍光は電子基底状態の振動エネルギーだけ引いエネルギー(長い波長)になり、それぞれの振動エネルギー構造が似ていれば、鏡像のような形になることがわかります。

以上、「励起光が書いていない」ということから類推して、すべて溶液の蛍光測定と仮定してお答えしました。気体や分子線を使ったLIFではちょっと話がかわってきますので、その点はご留意ください。

参考URL:http://www.jp.jobinyvon.horiba.com/product_j/spex/principle/index.htm#01

#1さんの説明の通りですが、いくらか、図などがあった方がわかりやすいかもしれませんので、参考URLにgoogleで出て来たページを紹介します。ページ中程にあるJablonski Diagramの左側が蛍光について示した物です。以下、おそらく溶液の蛍光についての質問であると予想して、述べます。

さて、蛍光の過程について述べますと、蛍光とは図にある青の矢印に対応する励起光を分子が吸収します。その後、図では黒色の矢印で示された光を発しない緩和過程(溶媒などに熱エネルギー等の形でエネルギーを渡し、エネルギ...続きを読む

Q電子配置について

Ni2+(ニッケルイオン)の電子配置と不対電子を示せという問題で僕は、[Ar]3d64s2と考えたのですが・・・答えは[Ar]3d8となっています。電子軌道は4s軌道が満たされてから3d軌道に入るのではないのですか?よくわからないので教えてください。

Aベストアンサー

> 電子軌道は4s軌道が満たされてから3d軌道に入るのではないのですか?
中性の原子では、そうなりますね(CrとCuは例外)。
ですけど、イオンではそうはならないです。

■考え方その1
遷移金属の陽イオンでは、3d軌道が満たされてから4s軌道に入る、と考えます。これらのイオンの4s軌道はふつう空っぽになりますから、第4周期の1族~12族の金属イオンでは、
 3d電子の数=族番号-イオンの価数
という公式が成り立ちます。

■考え方その2
あるいは、中性の原子を基準に考えて、
 軌道から電子が抜けるときには、4s軌道から先に抜ける。
と覚えるのもいいです。

■Ni2+の場合
はじめの考え方に従うと、ニッケルは10族、イオンの価数は2なので、
 3d電子の数=10-2=8
となって、電子配置は[Ar]3d8になります。
 二番目の考え方では、中性のニッケル原子の電子配置[Ar]3d84s2から、電子を2個抜いたのが2価ニッケルイオンなので、4s軌道から電子を2個抜くと、イオンの電子配置は[Ar]3d8になります(Ni3+ならNi2+の電子配置からさらに1個電子を抜いて、[Ar]3d7になります)。

■考え方が破綻する例
Ca+,Sc+,Ti+,V+,Mn+,Fe+,Co+,Ni+,Zn+では、これらの二つの考え方から導かれる答えは一致しません。例えば、考え方その1ではNi+の電子配置は[Ar]3d9になりますが、考え方その2ではNi+の電子配置は[Ar]3d84s1になります。しかしこれらの1価の陽イオンは、きわめて特殊な条件下でしか生成しませんので、通常これらの電子配置が問題になることはありません。
 第4周期の1族~12族の1価金属イオンで重要なものは、K+とCu+です。この二つのイオンに関しては、考え方その1でも考え方その2でも、正しい電子配置を与えます。

■なぜ中性原子とイオンで電子の詰め方が変わるのか?
カリウム(原子番号19)とカルシウム(原子番号20)では、4s軌道の方が3d軌道よりもエネルギーが低いのですけど、じつは、原子番号が20より大きい原子では、エネルギーの順序が逆転して、4s軌道よりも3d軌道の方がエネルギーが低くなります。
 ですので、「エネルギーが低い軌道から電子を詰めていく」というルールに従えば、Sc,Ti,V,Cr,Mn,...では、4s軌道よりも先に3d軌道に電子を詰めていくことになるのですけど、こうやって作った電子配置は、中性原子(と多くの一価イオン)では、正しい電子配置にはなりません。つまり、原子番号が20より大きい中性原子では、「エネルギーが低い軌道から電子を詰めていく」というルールだけでは、正しい電子配置を予測することができません。
 この困難を乗り越えるためには、本当ならば、「電子と電子の間に働くクーロン反発力」を考えに入れなければならないのですけど、これが結構めんどうな話になります。そこで、めんどうな話を避けるために、少し反則気味なのですけど、「エネルギーが低い軌道から電子を詰めていく」というルールだけを使って正しい電子配置を予測できるように、『原子番号が20より大きい原子でも、4s軌道の方が3d軌道よりもエネルギーが低い』ということにしておいて、4s軌道が満たされてから3d軌道に電子が入る、という説明がなされます。
 陽イオンでは、中性原子に比べて電子が少なくなっていますので、電子と電子の間に働くクーロン反発力は、中性原子のそれと比べて小さくなります。そのため、クーロン反発の話を無視しても、正しい電子配置を得ることができます(一価の陽イオンは除く)。本来、4s軌道よりも3d軌道の方がエネルギーが低いのですから、3d軌道が満たされてから4s軌道に電子が入る、ということになります。

■まとめ
中性原子では、4s軌道の方が3d軌道よりもエネルギーが低いので、4s軌道が満たされてから3d軌道に電子が入る。
陽イオンでは、4s軌道よりも3d軌道の方がエネルギーが低いので、3d軌道が満たされてから4s軌道に電子が入る。
中性原子と陽イオンで軌道の順序が変わるのは、電子と電子の間に働くクーロン反発力が陽イオンでは小さくなるからである。

> 電子軌道は4s軌道が満たされてから3d軌道に入るのではないのですか?
中性の原子では、そうなりますね(CrとCuは例外)。
ですけど、イオンではそうはならないです。

■考え方その1
遷移金属の陽イオンでは、3d軌道が満たされてから4s軌道に入る、と考えます。これらのイオンの4s軌道はふつう空っぽになりますから、第4周期の1族~12族の金属イオンでは、
 3d電子の数=族番号-イオンの価数
という公式が成り立ちます。

■考え方その2
あるいは、中性の原子を基準に考えて、
 軌道から電子が...続きを読む

Q分子不斉について教えてください!!

こんにちは!宜しくお願いします★

勉強中なのですが、ちょっとつまってしまいました。調べたのですが、よくわからなくて・・・。助けてください!

キラル炭素は持たないが旋光性を有し、光学異性体が存在するものが『分子不斉』であるという文章がありました。例としては、allene誘導体やbiphenyl誘導体があるとも書いていました。

覚えたらそれでおしまいなのですが、理解できないのがいやなので。もっと詳しく、どういったものが『分子不斉』か教えてください。allene誘導体についても教えてくださるとうれしいです。

どうぞお願いします!

Aベストアンサー

炭素の不斉中心は、炭素原子の手が正四面体のようになっていることから起こる
ものですが、分子不斉は、その構造によってでてくる不斉のことです。

文内にallene誘導体、biphenyl誘導体が出て来ていますが、これらの構造を考えて
みて下さい。

allene誘導体として、αβC=C=Cγδ という分子があるとします。
ギリシャ文字はそれぞれ別の元素もしくは官能基であるとします。
この分子には不斉炭素は含まれていません。しかし、キラルな化合物です。

このC=C=Cという骨格は、中心の炭素はsp混成軌道、両端の炭素は
sp2混成軌道を取っています。
そのため、左の炭素からでている結合の手が出ている平面を基準に考えると、
右の炭素の結合の手は、この平面に垂直に交わる平面上にあることになります。
まるで、C=C=Cの一塊で一つの炭素原子のような感じになっているのが
分かると思います。
この分子構造にそれぞれの官能基を当てはめてみてください。
キラルであることが分かると思います。

ビフェニルの場合は、ベンゼン環同士のつながりの直ぐ隣、
2,6,2’,6’の位置にある水素のために、回転がある程度
固定されてしまっています。(熱などによって回転してしまう事もありますが。)
そのために、分子の構造によって不斉となります。

このように分子の構造上、キラルとなるものが分子不斉と呼ばれます。
他にもheliceneなどがあります。

何か他にも例がありましたら、補足などよろしくお願いします。

炭素の不斉中心は、炭素原子の手が正四面体のようになっていることから起こる
ものですが、分子不斉は、その構造によってでてくる不斉のことです。

文内にallene誘導体、biphenyl誘導体が出て来ていますが、これらの構造を考えて
みて下さい。

allene誘導体として、αβC=C=Cγδ という分子があるとします。
ギリシャ文字はそれぞれ別の元素もしくは官能基であるとします。
この分子には不斉炭素は含まれていません。しかし、キラルな化合物です。

このC=C=Cという骨格は、中心の炭素はsp...続きを読む

Qミラー指数:面間隔bを求める公式について

隣接する2つの原子面の面間隔dは、ミラー指数hklと格子定数の関数である。立方晶の対称性をもつ結晶では

d=a/√(h^2 + k^2 + l^2) ・・・(1)

となる。

質問:「(1)式を証明せよ」と言われたのですが、どうすれば言いかわかりません。やり方を教えてもらえませんか_| ̄|○

Aベストアンサー

「格子定数」「ミラー指数」などと出てくると構えてしまいますが、この問題の本質は3次元空間での簡単な幾何であり、高校生の数学の範囲で解くことができます。

固体物理の本では大抵、ミラー指数を「ある面が結晶のx軸、y軸、z軸を切る点の座標を(a/h, b/k, c/l)とし、(h, k, l)の組をミラー指数という(*1)」といった具合に説明しています。なぜわざわざ逆数にするの?という辺りから話がこんがらがることがしばしばです。
大雑把に言えばミラー指数は法線ベクトルのようなものです。特に立方晶であれば法線ベクトルと全く同じになります。すなわち立方晶の(111)面の法線ベクトルは(1,1,1)ですし、(100)面の法線ベクトルは(1,0,0)です。法線ベクトルなら「ミラー指数」よりずっと親しみがあり解けそうな気分になると思います。

さて(hkl)面に相当する平面の方程式を一つ考えてみましょう。一番簡単なものとして
hx + ky + lz=0  (1)
があります。(0,0,0)を通る平面で法線ベクトルは(h,k,l)です。
これに平行な、隣の平面の式はどうでしょうか。
hx + ky + lz = a  (2a)
hx + ky + lz = -a  (2b)
のいずれかです。これがすぐ隣の平面である理由(そのまた間に他の平面が存在しない理由)は脚注*2に補足しておきました。
点と直線の距離の公式を使えば、題意の面間隔dは原点(0,0,0)と平面(2a)の間隔としてすぐに
d=a/√(h^2+k^2+l^2)  (3)
と求められます。

点と直線の距離の公式を使わなくとも、次のようにすれば求められます。
原点Oから法線ベクトル(h,k,l)の方向に進み、平面(2a)とぶつかった点をA(p,q,r)とします。
OAは法線ベクトルに平行ですから、新たなパラメータtを用いて
p=ht, q=kt, r=lt  (4)
の関係があります。
Aは平面(2a)上の点でもありますから、(4)を(2a)に代入すると
t(h^2+k^2+l^2)=a
t=a/(h^2+k^2+l^2)  (5)
を得ます。
ここにOAの長さは√(p^2+q^2+r^2)=|t|√(h^2+k^2+l^2)なので、これを(5)に代入して
|a|/√(h^2+k^2+l^2)  (6)
を得ます。OAの長さは面間隔dにほかならないので、(3)式が得られたことになります。

bokoboko777さん、これでいかがでしょうか。

*1 (h, k, l)の組が共通因数を持つ場合には、共通因数で割り互いに素になるようにします。例えば(111)面とは言いますが(222)面なる表現は使いません。
*2 左辺はhx+ky+lzでよいとして、なぜ右辺がaまたは-aと決まるのか(0.37aや5aにならないのは何故か)は以下のように説明されます。
平面をhx+ky+lz = C (Cはある定数)と置きます。この平面は少なくとも一つの格子点を通過する必要があります。その点を(x0,y0,z0)とします。
h,k,lはミラー指数の定義から整数です。またx0,y0,z0はいずれもaの整数倍である必要があります(∵格子点だから)。すると右辺のCも少なくともaの整数倍でなければなりません。
次に右辺の最小値ですが、最小の正整数は1ですから平面hx + ky + lz = aが格子点を通るかどうかを調べ、これが通るなら隣の平面はhx + ky + lz = aであると言えます。このことは次の命題と等価です。
<命題>p,qが互いに素な整数である場合、pm+qn=1を満たす整数の組(m,n)が少なくとも一つ存在する
<証明>p,qは正かつp>qと仮定して一般性を失わない。
p, 2p, 3p,...,(q-1)pをqで順に割った際の余りを考えてみる。
pをqで割った際の余りをr[1](整数)とする。同様に2pで割った際の余りをr[2]・・・とする。
これらの余りの集合{r[n]}(1≦n≦(q-1))からは、どの二つを選んで差をとってもそれはqの倍数とは成り得ない(もし倍数となるのならpとqが互いに素である条件に反する)。よって{r[n]}の要素はすべて異なる数である。ところで{r[n]}は互いに異なる(q-1)個の要素から成りかつ要素は(q-1)以下の正整数という条件があるので、その中に必ず1が含まれる。よって命題は成り立つ。

これから隣の平面はhx + ky + lz = aであると証明できます。ただここまで詳しく説明する必要はないでしょう。証明抜きで単に「隣の平面はhx + ky + lz = aである」と書くだけでよいと思います。

参考ページ:
ミラー指数を図なしで説明してしまいましたが、図が必要でしたら例えば
http://133.1.207.21/education/materdesign/
をどうぞ。「講義資料」から「テキスト 第3章」をダウンロードして読んでみてください。(pdfファイルです)

参考URL:http://133.1.207.21/education/materdesign/

「格子定数」「ミラー指数」などと出てくると構えてしまいますが、この問題の本質は3次元空間での簡単な幾何であり、高校生の数学の範囲で解くことができます。

固体物理の本では大抵、ミラー指数を「ある面が結晶のx軸、y軸、z軸を切る点の座標を(a/h, b/k, c/l)とし、(h, k, l)の組をミラー指数という(*1)」といった具合に説明しています。なぜわざわざ逆数にするの?という辺りから話がこんがらがることがしばしばです。
大雑把に言えばミラー指数は法線ベクトルのようなものです。特に立方晶であれば法線ベ...続きを読む


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