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3d電子は自由原子状態では軌道角運動量L=2なので、Lz=2,1,0,-1,-2という5つの縮退した準位を持っています。
ここで例えば結晶場として正八面体対称的な結晶場を考えると、2つのeg軌道が上に、3つのt2g軌道が下に、と分裂します。
このとき、これらの準位の軌道角運動量Lはいくつになっているのでしょうか?
eg軌道は2重縮退だからL=1/2、t2g軌道は3重縮退だからL=1というようになっているんでしょうか?
それとも、全然違う値になっているのでしょうか?

この事情に詳しい方いらっしゃれば、ご教授お願いいたします。

A 回答 (4件)

>このとき、これらの準位の軌道角運動量Lはいくつになっているのでしょうか?


egやt2gに分裂するというのは、結晶場ない時にはL=2の空間全体でエネルギーが一定だったのが、結晶場を導入することで、L=2の空間内でエネルギーの高い状態と低い状態ができるという事ですので、L=2のままです。
(多分、ハミルトニアンはL^2とは可換ではないのでしょうから、固有状態にはL≠2の成分も混ざっているとは思いますが)

まぁ、結晶場→0の極限では、L=2となるような場合を考えている訳ですから、
>eg軌道は2重縮退だからL=1/2、t2g軌道は3重縮退だからL=1というようになっているんでしょうか?
という事になっていたら、気持ち悪いですよね。

結晶場(配位子場)で検索すると、正八面体型の錯イオンの話が転がっているのですが(wikipediaなど)、これによれば、egの基底としてはd[x^2-y^2],d[z^2]を、t2gの基底としてはd[xy],d[yz],d[zx]を選べばよいようです。

この回答への補足

eatern27さん、解答ありがとうございます。

>L=2のままです

そうなのでしょうか。
例えば、正八面体称から更に対称性が下がって斜方対称になると、5重縮退は完全に解けます。
そして、縮退が解けた準位に電子が1つ入った場合、軌道角運動量の期待値はシュレデインガー方程式より厳密に0になります。

このことからも、縮退が解けていくにつれて軌道角運動量は減少していくと思うのですが。。。

補足日時:2007/11/21 02:12
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>pxやpyという状態は軌道角運動量演算子L(ベクトル)の固有状態ではない。


ん~、間違った事は言っていませんが、Lx,Ly,Lzの同時固有状態は(s軌道を除けば)存在しませんので、当たり前の事を言っているだけです。(pzもLx,Ly,Lzの同時固有状態ではありません)

このままだと、この後の話も意味がなくなってしまうので、「軌道角運動量演算子Lの固有状態」を、「Lのz成分(Lz)の固有状態」のように読み替えることにします。

>同様に、t2g、egの波動関数は、もともとの3d軌道波動関数の線形結合なので、ハミルトニアンの固有状態ではあるけるども、L(ベクトル)の固有状態ではなくなっている。
Lzの固有状態だけで、t2g,egの基底を張る事ができない、というだけで、eg,t2gの中にLzの固有状態が存在しない訳ではありません。
実際、egのd[z^2]という状態はLz=0の固有状態ですし、t2gのd[zx],d[yz]という状態はLz=±1を対称(or反対称)に重ね合わせた状態です。

>よって、t2g、egのLの各成分の値は平均値としてしか決まらない。
まぁ、それでいいと思います。
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この回答へのお礼

>「軌道角運動量演算子Lの固有状態」を、「Lのz成分(Lz)の固有状態」のように読み替える

すみません、そのように読み替えてください。誤解を招く文章を書いてしまって申し訳ありません。

何度も回答してくださり、本当にありがとうございました。
これにて締めます。

お礼日時:2007/11/25 20:31

>それは、量子化軸をz方向に取った場合、|L,Lz>=|1,1>と|1,-1>の線形結合を取って実数で表したものがpx、pyだから、ということでしょうか?



そんな感じです。
Lz|pz>∝Lz|1,-1>+Lz|1,1>=-|1,-1>+|1,1>
より、<px|Lz|px>∝(<1,-1|+<1,1|)(-|1,-1>+|1,1>)=0となります。

同じようにLz^2を作用させると、|1,-1>の方からは(-1)が2回でてくるので、結局+1になります。なので,Lz^2の期待値は0ではありません。
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この回答へのお礼

eatern27さん、再びありがとうございます。
おかげで、考えがだいぶまとまってきました。

以下、3d準位の結晶場によるt2gとegへの分裂について考えついたことを述べるのですが、よろしかったらお付き合いください。

pxやpyという状態は軌道角運動量演算子L(ベクトル)の固有状態ではない。
同様に、t2g、egの波動関数は、もともとの3d軌道波動関数の線形結合なので、ハミルトニアンの固有状態ではあるけるども、L(ベクトル)の固有状態ではなくなっている。
よって、t2g、egのLの各成分の値は平均値としてしか決まらない。

これであっているのでしょうか?

お礼日時:2007/11/24 03:04

>例えば、正八面体称から更に対称性が下がって斜方対称になると、5重縮退は完全に解けます。


>そして、縮退が解けた準位に電子が1つ入った場合、軌道角運動量の期待値はシュレデインガー方程式より厳密に0になります。

1.軌道角運動量の2乗(L^2)の期待値がゼロになった
2.軌道角運動量のz成分(or各成分)の期待値がゼロになった。
どちらか意味だとは思うのですが、どちらでしょうか?(それ以外なら補足を)

1の意味の場合。
どこかで計算ミスをしているはずです。

もしも、縮退の解けた5つの軌道におけるL^2の期待値がゼロだとすると、斜方対称の場≠0である限りL^2の期待値がゼロ、特に斜方対称の場→0の極限を考えても、L^2の期待値=0という事になります。
一方、斜方対称の場=0(すなわち、中心原子しかない場合)の場合を考えると、L^2の期待値は2(2+1)=6なので、L^2の期待値が不連続に変化する事になります。
しかし、ハミルトニアンは連続に変化しているので、当然その固有状態(従って,任意の物理量の期待値)も連続に変化しなければなりません。

2or3の意味の場合。
各成分の期待値がゼロだからと言って、L^2(の期待値)=0という事にはなりません。
例えば、px,py,pz(あるいはd[x^2-y^2],d[z^2],d[xy],d[yz],d[zx])の軌道はいずれも、Lx,Ly,Lzの期待値は0です。


例えば、磁場をかけた時にも縮退はとけますが、Lの値は変わりませんよね。結晶場と磁場をかけた時で違うのは、対称性を壊した(結晶場or磁場をかけた)後の固有状態が,Lzの固有状態になっているかどうかだけです。

この回答への補足

eatern27さん、再び回答ありがとうございます。

軌道角運動量の期待値が0になる、の意味は
<L>=0(Lはベクトル)
ということです。なので、
>2.軌道角運動量のz成分(or各成分)の期待値がゼロになった。
です。表現が紛らわしくて申し訳ありませんでした。

>例えば、px,py,pz(あるいはd[x^2-y^2],d[z^2],d[xy],d[yz],d[zx])の軌道はいずれも、Lx,Ly,Lzの期待値は0です。
それは、量子化軸をz方向に取った場合、|L,Lz>=|1,1>と|1,-1>の線形結合を取って実数で表したものがpx、pyだから、ということでしょうか?
式で書くと、
(Lz)|px>=(Lz)(|1,-1>+|1,1>)=(-1+1)(|1,-1>+|1,1>)=0
(Lz)は演算子。
ということでしょうか?

補足日時:2007/11/22 02:12
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この回答へのお礼

すみません、補足の

>式で書くと、
(Lz)|px>=(Lz)(|1,-1>+|1,1>)=(-1+1)(|1,-1>+|1,1>)=0
(Lz)は演算子。
ということでしょうか?

は完全に間違えました。そこは無視してやってください。

お礼日時:2007/11/22 06:18

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