No.2ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
「意志」「理性」「感情」、このようなものは「選択の結果(中枢系の情報処理)」に対する分類です。では、「記憶」とは「選択を行うための基準」であり、そのひとがどのような学習体験を持っているかによって出力される結果が決まります。
ですから、これらは「入出力の関係」にあり、記憶といいますのは出力結果である理性や感情を選択するためのものです。そして、ここでは「自分の意志」もまた我々の脳の学習機能によって成立するのと考えて良いと思います。
我々の脳内で「記憶」といいますのは「情報」であり、これは「状況判断を行うための基準」として用いられるものです。
「感覚」とは「外部情報(状況の変化)」であり、
「記憶」とは「内部情報(学習結果)」です。
我々の脳は過去の体験結果を基に情報処理を行い、入力された状況に対応した適切な行動を選択します。そして、我々が行動選択を行うための学習機能は以下のように複数の中枢に分担されています。
「理性行動:大脳皮質に意識として再生できる情報に基づいて選択される行動」
「情動行動:大脳辺縁系の情動反応に従って選択される行動」
我々が通常「学習記憶」と呼んでいるのは大脳皮質に保持される情報であり、これは意識の上に再生して自覚することができます。これに対しまして、過去の情動体験として大脳辺縁系に学習される「情動記憶」といいますのは環境からの感覚入力に対して無意識に発生する「情動反応の判定基準」として用いられるものであるため、こちらは思い出して自覚するということはできません。
このように、我々の「記憶情報」といいますのは行動を選択するための基準として用いられるものです。そして、これには意識できるものと意識できないものがあり、本能行動を除くならば、「意識行動」も「無意識行動」も、共にそのひとの記憶情報に基づいて選択される「学習行動」ということになります。
では、意識行動である「理性行動(計画行動)」の特徴とは、我々は自分の行動選択において原因と結果を自覚することができるということです。これに対しまして、情動行動といいますのは感情の起伏に従って無意識に選択されてしまうものであるため、理性行動のように未来の結果を予測して論理的な選択を行うことはできません。このため、大脳辺縁系における情動反応の結果を「感情」とするのに対しまして、意識行動とは脳内でそれを抑制するものであり、大脳皮質のこの高次な機能を我々は「理性」と位置付けます。
「意志」というものにきちんとした定義はありませんね。
「生物学的には自由意志は存在しない」
「いや、意志とはこの世の全ての自己組織化現象に対応するものである」
今現在、科学哲学の論議でも解釈はバラバラですが、どちらかを不正解にする理由もまた特にありません。
只今述べましたように、理性行動や情動行動といいますのは大脳皮質と大脳辺縁系、それぞれに異なる中枢系の処理結果としてはっきり区別・分類することができます。ですが、「意志」ということになりますと、我々の脳内にこれと対応する生理学的構造というものは存在しません。つまり、解剖学的に存在しないのですから、それは飽くまで概念でしかないわけです。
では、ここで我々の脳内に発生する意志を「選択の動機」と解釈するならば、それは原因と結果を自覚した理性行動に対応する性質が強いように思われます。ですが、無意識の情動行動といえどもそれは個人体験によって獲得された学習結果に基づく反応であり、これは我々の行動選択において必ずや「内的導因(内在する動機)」として働くものです。ならば、それは断じて他人の体験ということではないのですから、この選択の結果を「自分の意志」としても一向に構わないわけです。
このように、「意志」というものを明確に定義するのはたいへん困難なことです。ですが、ただひとつはっきりとしているのは、それは本能行動といいますのは生得的に定められた判定基準に従うものであるため、これは果たして自分の意志ではなく「生命の意志」であるということです。ならば、生物の定めである本能行動を除くならば、理性行動と情動行動は我々の脳に許される「個別的な選択」でありますから、ここでは自分の意志もまた過去の学習体験を基準に生み出され、成立するものと考えることができると思います。
ruehasさん。この分野の専門の方ですね。この内容を理解出来るレベルにない私は、とりあえず印刷して、あとでゆっくり何度も読み返す必要がありっます。ハチマキでもして取り組まなければ。がんばってみます。ありがとうございました。
No.7
- 回答日時:
どれにも属さないと思います。
理由は・・・
「意志」「理性」「感情」+αが、「記憶」を作り、
「記憶」にαが加わって、“新たな「意志」「理性」「感情」”が形成される。
こうして形成された“新たな「意志」「理性」「感情」”が“新たな「記憶」”を作り、
こうして形成された新たな「記憶」に・・・
人間を形成する上での連関の一部と言う意味では同じ次元ですが、少なくとも「意志」「理性」「感情」に、「記憶」が含まれる関係にはなさそうに思えます。(αの部分にはいろいろ入りそうですが、回答には直接関係なさそうなので、省きます。)
+αが気になりますが、意識の上で思い出す記憶と思い出す必要のない記憶、について新たに質問させていただこうかと思いますので、そちらの方で再度、コメントいただけると、ありがたいです。
No.6
- 回答日時:
>人の心の働きに「意志」「理性」「感情」がありますが、
そうです。これは正確に表記すると「意」「知」「情」
順序は 知 情 意 です。
なぜかというと、知は知覚を含み、理性という以前に
刺激に対しての解釈という意味での「これは何かという
判断」の部分です。
人は外界の刺激に反応するにあたり、脳での判断を加え
それが複雑化しなんどもサーキュレーションを繰り返すのが
理性としての思考です。
情は、思考の結果引き起こされる感情。
意思は、行動の引き金です。
記憶は、知覚の認識によって呼び起こされる思考です。
ですから知覚の下部構造です。イマジネーションとか妄想と
いうものも思考が生み出す知覚です。
刺激とは、物理的刺激のことでしょうか。
感情は理性の思考の結果である、ということでしょうか。
思い出す記憶と、思い出す必要のない(意識の上に)記憶について新たに質問してみようと思います。ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
「記憶」は「意志」「理性」「感情」よりずっと広い概念だと思います。
あるいは、「意志」「理性」「感情」と並列に捉える概念ではないのではないでしょうか。今伝送路に流れている情報も記憶なのであって、脳に固定された思い出のみならず、視神経に流れる信号も全て記憶です。
いわば、物理的時間で今以外の部分は全て記憶である・・・つまり、「意志」→意思表示、「理性」→論理思考、「感情」→情動する過程の中で人間が今と認識する一切は記憶によって形成されるということです。
ちょっと分かりづらいのですが、私に理解するだけの知識がないからでしょう。思い出す記憶と、思い出す必要のない記憶、というものがあるのかもしれないと、ふと感じました。新たに質問してみようとおもいますので、そちらの方でもよろしくお願いします。
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